2話 学校案内

「どこからいく?」

私たちは、給食の片付けが終わるとともに教室から出た。

「1番上の階からがいい」

「じゃあ3階からね」


普通転校生が来たらみんな興味本位で集まって来るのに、莉彩ちゃんの場合は愛想が悪いって言うか、無表情なせいか、休み時間に話しかけに来る子はほとんどいなかった。

おかげで莉彩ちゃんを独り占め出来て嬉しかった。

時間が許す限り、入れる限りの全ての教室を一緒に見て回った。莉彩ちゃんの反応はシンプルなもので、「ふうん」とたまに言うくらいだった。

一通り見て回ったらもう5時間目が始まる5分前だった。


「5時間目の算数、早く教室に戻って準備した方がいいよ。」

「なんで?」

「先生さ、午後は眠いせいで機嫌悪いんだよ、少しでも遅れたら怒られちゃう」

「分かった、すぐにもどろう」

莉彩ちゃんはくるりと踵を返すと、スタスタと歩き出した。慌てて私も追いかける。莉彩ちゃんは早足ではあっても、私がついてこられる位の速さで歩いてくれているようだった。

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