第4話 消去(2)

「31! 弱点の解析をお願い! 解析の間、私一人で持ちこたえてみせる」

「了解――解析終了まで180s」


 凄い戦いだ。列車の上に飛び乗ると、その刀でダメージを与え続けている。火花が飛び散り、昼の空だというのに、花火が舞っているように見えた。


「逞帙>逞帙>」


 列車は叫ぶとグルグルと身体を回転させていく。「7」を振り落とすつもりなのだろう。流石に回転する車両の上にずっとは乗れない。今度はロボットの方に飛び移ると今度は拳銃を取り出し、発射し続ける。


「弱点解析完了――弱点。一両目の運転席にある人形を破壊」

「運転席に乗れって? あんな激しく動いている奴に乗る方が難しいよ。さっきだって振り下ろされたのに」

「推奨――車輪の破壊」

「空飛んでいる奴の車輪を破壊しても意味なくないか?」

「否定――相手は「消去」。バグを取り除くという観点な以上、それぞれの機関は機能を果たしているはず」

「分かった。やってみるよ」


ダダダダダダッ!


「7」と「31」の動きが今度は変わった。車両と一定の距離を保ちながら射撃で車輪を破壊していく。一撃でも食らえば致命傷は間違いない攻撃をするすると躱しながら。


「かっこいい」


 思わずそう呟いてしまうほどに彼女は綺麗だった。


「繧?a縺ヲ?√??繧?a縺ヲ?」


 破壊され、車輪が減るにあたってスピードが僅かながら下がっていく。


「これなら……いける!」


 そう言って「7」が車両内部に飛び移ろうとした時。突然、電車は一度キランと赤く点滅すると加速しながら下に落ちてきた。


 そう、俺のいる駅のホームに向かって。早く逃げないと。


 しかし、向かってくる速度が速すぎる。避けられ……。


 ズシャッ。


 鈍い音と同時に機械仕掛けのネジが飛ぶ。アンドロイドのネジ。俺を庇う「7」とう少女がそこにはいた。


 ――バキバキ

 ――ガラガラッ


 けたたましい音を立てて、電車は動きが止まった。

「陦悟虚荳榊庄閭ス 陦悟虚荳榊庄閭ス」

 そんな音を立てながら。


「「7」さん、しっかりして!」


 下半身の部分が殆ど壊れてしまっている。これでは歩くのは。


「推測――メモリにダメージはなし、パーツを用意して修理をすれば直る。だが、その前に、この『消去』の破壊を推奨する」


「この電車、まだ生きているのか」

「運転席にある人形を破壊すれば破壊可能。破壊するには専用の武器が必要。「7」の刀を使用することを推奨」


 あの真っ白な刀か。でも、俺に出来るだろうか。


「「31」さん、代わりにやってくれませんか?」

「不可能——私は刀を掴むための手の機能は存在しない」

 

 確かに腕の先にはぽっかりと銃口と思われる穴があった。


「行くしかないか」


 唾を飲むと電車の中に恐る恐る入っていった。

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