第41話

ネー、ベルは、カード端末を、私の方に戻した。


私は、カード端末を、私の右隣に座っている彼女の前に置きながら、彼女を見た。


彼女も、私を見ながら、目を丸くして、驚きをあらわにした。


ネー、ベルが、突然、原稿と違う話をしたのだから、無理もない…


原稿では、プル、ンケ、ルム、ベズは、巨大噴火によって発生する火山灰によって、今よりもさらに寒冷化すると予想されると書いていた。


…しかし、ネー、ベルが、説明した通り、その予想は、誤りだった!!


火山灰は、氷よりもずっと多くの太陽エネルギーを吸収するから、この星は、温暖化するのだ…!!


真実とは正反対の予想をしていたことに、私たちは気付かなかった…


火山灰は、星を寒冷化させるものだと、思い込んでいたのだ。


今までは、ずっと、そうだったから…


地球でも、プル、ンケ、ルム、ベズでも…


火山の噴火によって、火山灰が大気中に滞留すると、惑星は、寒冷化する…


それが、常識だった。


しかし、記者会見の本番の最中に、ネー、ベルは、気付いたのだ…!!


氷に覆われたこの星では、全く逆の現象が起きると…!!


そして、とっさに、正しい予想を話すことにしたのだ!!


…ネー、ベルの機転に、私たちは、救われたのだった。


プル、ンケ、ルム、ベズの人たちに、誤った予想を伝えてしまうという、失敗から…


そして、幸いにも、プル、ンケ、ルム、ベズの温暖化は、彼女が、これから話そうとしていることには、影響しないと思われる…


巨大噴火後、半年間以上は、地上で食料の生産が出来なくなるのは、寒冷化が原因ではなくて、太陽光が火山灰に遮られるからだ。

大気中に滞留する火山灰によって、太陽光が遮られて、日照不足になるから、気温がいくら上昇しても、ジャガイモなどの農作物は、光合成が出来なくて、育たないはずだ…

したがって、巨大噴火後、温暖化が始まっても、半年間以上は、地上で食料の生産が出来ないことに変わりは無いのだ…


つまり、彼女は、原稿通りに話せばいいのだ…


温暖化は、この星に、災いをもたらすものではないはずだから…

温暖化は、この星に、恵みをもたらすはずだから…


もしかしたら、この星を、地球のような、温暖な星に…


64万年前の巨大噴火が起きる前の、暖かかったこの星に…


戻してくれるかもしれない!!


彼女は、虹色の瞳を、キラキラさせて、話し始めた。


「プル、ンケ、ルム、ベズの黄色キ大地ノ国にある火山が巨大噴火を起こした場合に、被害を最小限に食い止めるには、どうしたらいいか、これから、お話しさせて頂きますね!!」



「黄色キ大地ノ国にある火山が巨大噴火を起こすと、黄色キ大地ノ国の地下都市は、巨大な火口に飲み込まれてしまうでしょう。

したがって、黄色キ大地ノ国に住む皆様は、噴火が起きる前に、別の国に避難しなければなりません。

40年ほど前に、地球で起きた巨大噴火では、噴火が始まる3日前から、火山の地下深くで、地震が急に増えて、震源地も上昇して来るという、明らかな前兆現象が起きました。

おそらく、プル、ンケ、ルム、ベズでも、噴火の数日前から、同じような前兆現象が起きると予想されます。

しかし、前兆現象が観測されてから、噴火が始まるまでの数日間では、黄色キ大地ノ国にお住まいの約40万人の皆様のうちの一部の方々しか、外国に避難出来ないでしょう。

大陸間鉄道は、1日当り33000人の人々を、黄色キ大地ノ国から灼熱ノ岩流ルル国に運べますから、3日間では、99000人運べる計算になります。

軌道建設中の引キ裂カレル大地ノ国への路線が完成すれば、さらに99000人運べる計算になります。

しかし、それでも、198000人の方々しか、外国に避難出来ないことになります。

したがって、外国への避難は、前兆現象を待たずに、可能な限り、早く始めるべきです。

外国への避難…移住において、いちばん問題となるのが、食料です。

皆様もご存じの通り、この星の国々は、食料を自給自足しています。

そして、いずれの国も、生産出来る食料の余剰は、わずかしかありません。

したがって、40万人の皆様が、外国に移住すると、移住先がどの国であれ、40万人分の食料が不足することになります。

この問題を解決するには、移住される皆様が、それぞれ、ご自分の食料を自給自足出来る数のジャガイモの苗や野菜や果物や養殖している生き物たちを、一緒に連れて、外国に移住されるという方法が、いちばんいいと思われます。

具体的には、おひとりあたり94.5キログラム以下のジャガイモの苗や麦や野菜や果物や養殖している生き物たちと、400人あたり1頭の羊さんを、ご一緒に連れて、大陸間鉄道で、外国に移住されれば、移住先でも、ずっと自給自足が維持出来ると予想されます。

このような、自給自足維持型移住を行えば、巨大噴火後も、移住先で、食料の自給自足が維持出来るはずです。

ただし、巨大噴火後は、半年間以上、地上での食料生産が出来なくなると予想されるので、ジャガイモなどの農作物や養殖している生き物たちは、地下農場や地下都市などの地下のスペースに移して、そこで栽培・飼育する必要があるでしょう。」


彼女は、虹色の瞳を輝かせながら、結論を話した。


「黄色キ大地ノ国にお住まいの皆様は、出来るだけ早く、おひとりあたり94.5キログラム以下のジャガイモの苗や麦や野菜や果物や養殖している生き物たちと、400人あたり1頭の羊さんを、ご一緒に連れて、大陸間鉄道で、外国に移住されて、地下農場や地下都市などで農作物や生き物たちを栽培・飼育されれば、巨大噴火後も、食料の自給自足が維持出来ると予想されますね!!」



彼女は、話を続けた。


「プル、ンケ、ルム、ベズで、近い将来起きると予想される巨大噴火によって発生する火砕流は、標高の高い山脈や高原地帯以外のこの星の全域に襲来すると予想されます。

スウ、ゴル、ナー山脈の西側の地域と、灼熱ノ岩流ルル国には、重い岩を含まない火砕流が襲来すると予想されますが、それ以外の地域には、重い岩を含む火砕流が襲来すると予想されます。

重い岩を含む火砕流が襲来した地域では、地表に存在する全てのものに、火砕流に含まれる岩石や溶岩や噴石や火山灰などが衝突して、大きな被害が出ると予想されます。

そのままでは、地上にある農耕地、養殖施設、地熱発電所、太陽光発電施設、大陸間鉄道の駅と軌道などは、全て破壊されて、使用不能になると予想されます。

幸い、地下都市などの居住地は、地下にあるので、直接の被害は受けないでしょう。

しかし、重い岩を含む火砕流が襲来した地域では、岩石や溶岩や噴石や火山灰、さらには、火砕流によって破壊された建築物、乗り物、植物などからなる、火砕流の残留物が、地表に堆積します。

地下都市などの居住地の、地表への出入り口と、通気口の上にも、火砕流の残留物が堆積して、そのままでは、地表への人間や車両などの出入りも、大気からの吸気と居住地からの排気も、出来なくなると予想されます。

地下都市には、隣接する地下農場で栽培されている農作物が光合成によって吸収する二酸化炭素と、放出する酸素を、相互に交換しているところもありますが、いずれの地下都市でも、住んでいる人々が必要とする酸素の全てを賄うには足りていないので、通気口による外気との換気が出来なくなれば、酸素が不足して、人々の生命が危険にさらされます。

火砕流の残留物が上や外に積もった出入り口を、内側から開けると、残留物が地下に流れ込む恐れがあるので、大きな危険を伴います。

また、世界中の国々が同時に火砕流に襲われるので、外部からの救助活動は、期待出来ないと考えるべきでしょう。

したがって、今の状態で、地下都市などの居住地が火砕流に襲われると、地下都市に住む皆様が、遭難する恐れがあります。

このような被害を防ぐには、地下都市の出入り口と通気口を、コンクリート製の防壁で囲って、火砕流の残留物が、出入り口と通気口の上に堆積しないようにするのがいいと思われます。

必要な防壁の高さは、重い岩を含む火砕流が襲来すると予想される地域では、30~40メートル。

重い岩を含まない火砕流が襲来すると予想される地域では、15メートルと思われます。

このような防壁によって、地表を転がって来る岩石や溶岩は、防ぐことが出来るはずです。

しかし、火砕流に含まれる軽い噴石や火山灰は、多くの地域で、高さ40メートルを上回る高さに届く恐れがあります。

そのような場合、火砕流に含まれる噴石や火山灰が、防壁を越えて、出入り口と通気口の上に、大量に降り積もる恐れがあります。

このような被害を防ぐには、防壁の上に、鋼鉄製の切り妻屋根を掛けて、噴石や火山灰が、出入り口と通気口の上に積もらないようにするのがいいと思われます。

防壁は、高さの低いものをまず造って、その上にコンクリートを追加して、少しずつ高くして行く工法で建設すれば、いつ巨大噴火が起きても、可能な限り高くした防壁で、火砕流の下方の部分に含まれる岩石などを防ぐことが出来るはずです。

切り妻屋根は、防壁が完成してから、その上に掛けることになりますが、もしも、屋根を掛ける前に、巨大噴火が起きた場合は、潜水ロボット艇を、防壁の中に設置して、出入り口と通気口の上に積もった噴石や火山灰を、ポンプで吸引させて、防壁の外に排出させるのがいいと思われます。

地下都市以外の人口の少ない、小規模な居住地では、防壁や切り妻屋根を建設するための建設費や人手や資源やエネルギーなどが不足して、これらを造れない場合が少なくないと思われます。

そのような場合は、それらの居住地にお住まいの皆様は、最寄りの地下都市に避難されるのがいいと思われます。

巨大噴火の前兆現象が観測されてからでは、避難が間に合わない恐れのある、地下都市から遠く離れた地域にお住まいの皆様は、前兆現象を待たれずに、出来るだけ早く、地下都市に移住されるのがいいと思われます。

いずれの場合も、黄色キ大地ノ国の皆様と同じような自給自足維持型移住で移住されると、移住後も、食料の自給自足が維持出来ると予想されます。」


彼女は、虹色の瞳をキラキラさせて、結論を話した。


「地下都市などの居住地を火砕流から守るには、出入り口と通気口を、コンクリート製の防壁で囲って、さらにその上に、鋼鉄製の切り妻屋根を掛けて、火砕流の残留物が、出入り口と通気口の上に堆積しないようにするのがいいと思われますね!!」



彼女は、話を続けた。


「地下農場や地下都市での食料の生産には、電力が必要です。

プル、ンケ、ルム、ベズで発電される電力の比率は、地上の地熱発電所の発電量が15%、地上の太陽光発電施設の発電量が15%、地下の地熱発電所の発電量が5%、地下の火力発電所の発電量が30%、地下の原子力発電所の発電量が35%となっています。

このうち、太陽光発電については、巨大噴火後、少なくとも半年間は、日照不足のために、発電が出来なくなると予想されます。

しかし、火力発電所と原子力発電所での発電力に余力があるので、それらの発電所での発電量を増やせば、15%分は補えると予想されます。

もし、地上の地熱発電所が、火砕流の被害を受けると、発電量が15%減って、食料の生産も不足する恐れがあります。

したがって、地上の地熱発電所を、火砕流から守る必要があります。

地上の地熱発電所を、火砕流から守るには、発電所の施設を、コンクリートの防壁で囲って、その上に、鋼鉄製の切り妻屋根を掛けるのがいいと思われます。

切り妻屋根を掛ける前に、巨大噴火が起きた場合は、発電所の敷地を囲う防壁の内側に、地下から湧出している熱水を貯めて、その中に潜水ロボット艇さんを泳がせて、防壁を越えて敷地内に降り注いだ噴石や火山灰を、ポンプで吸引して、防壁の外に排出させるのがいいと思われます。

潜水ロボット艇さんは、発電所の電源からケーブルを繋いで、燃料電池の充電を続けながら、休み無く作業してもらうことも出来るはずです。」


彼女は、虹色の瞳を輝かせながら、結論を話した。


「地上の地熱発電所を、火砕流から守るには、発電所の施設を、コンクリートの防壁で囲って、その上に、鋼鉄製の切り妻屋根を掛けるのがいいと思われますが、もし、切り妻屋根を掛ける前に、巨大噴火が起きた場合は、防壁の内側に、地下から湧出している熱水を貯めて、その中に、潜水ロボット艇さんを泳がせて、敷地内に降り注いだ噴石や火山灰を、ポンプで防壁の外に排出してもらうのがいいと思われますね!!」



彼女は、話を続けた。


「この星で巨大噴火が起きると、少なくとも半年間は、地上での食料の生産が出来なくなると予想されます。

この星の食料生産力の比率は、地上の農耕地での生産が約42%、地上の養殖施設での生産が約3%、地下農場での生産が約36%、地下の野菜工場と果物工場での生産が約8%、地下牧場での生産が約1%、深海での底引き網漁での収穫が約10%となっています。

したがって、巨大噴火が起きると、そのままでは、約45%の食料生産力が、少なくとも半年間、失われます。

潜水ロボット艇さんによる深海での底引き網漁については、地熱発電所での作業と同じように、電源ケーブルを繋いだまま、圧送ポンプで海産物を吸引して、発着港まで送る漁法に変えれば、約10%から約24%にまで、生産力を増やすことが出来ると予想されます。

そして、この星の全ての皆様に、食料の消費を10%減らして頂ければ、不足する食料は、45-14-10=21%…

人口にすると、この星の全人口約1000万人のうちの210万人の方々の食料が、足りなくなります。

各国の備蓄食料の合計約1000万人の1ヶ月分を、210万人に割り当てると、143日間は持ちますが、地上での食料生産が再開出来るのは、早くても、噴火から半年間以上先になるとすると、37日間以上、210万人の方々の食べる食料が足りなくなります。

水と二酸化炭素と電力から、栄養素と酸素を合成する方法によって、合成食料を生産する工場を造ることも考えられますが、工場の建設に1年間は必要と予想されるので、巨大噴火が今から半年以内に起きた場合は、生産が間に合わないことになります。

残る手段は、巨大噴火が始まる前に、21%の食料生産力を、地上から地下に移す方法だけと思われます。

45%のうちの21%…

すなわち、地上の農作物と、養殖している生き物たちの約半分を、地下に移せれば、210万人の方々が必要とされる食料を、巨大噴火後も、生産し続けることが出来るはずです。

ただ、地下農場や野菜工場や果物工場では、常に、最大限効率よく地下のスペースを利用して、生産が続けられているので、地上の農作物と養殖している生き物たちを移す余地は、ほとんど無いと思われます。

したがって、地上の農作物と養殖している生き物たちは、地下都市などの居住地に移すのがいいでしょう。」


彼女は、虹色の瞳をキラキラさせて、結論を話した。


「地上の農耕地で栽培しているジャガイモなどの農作物と、養殖施設で養殖している生き物たちのうちの約半分を、巨大噴火が始まる前に、地下都市などの居住地に避難させれば、この星の全ての皆様が必要とされる食料を、巨大噴火後も、生産し続けることが出来ると予想されますね!!」



彼女は、話を続けた。


「地下都市などの居住地で、ジャガイモなどの農作物を育てるには、プランターのような器を用いるのがいいと思われます。

プランターは、重ねて置いても、植えたジャガイモなどが傷まずに、プランターの間から横にジャガイモなどの葉だけを出して、栽培出来るデザインのものを、大量生産するのがいいと思われます。

地下都市などの居住地で、養殖している生き物たちを育てるには、人手で運べる大きさの水槽を用いるのがいいと思われます。

水槽は、重ねて置いても、水槽の中の生き物たちを飼育出来るデザインのものを、大量生産するのがいいと思われます。

たとえば、上に重ねて置かれた水槽の荷重を支えるための鋼鉄製のフレームの内側に、プラスチックかガラス製の水槽を入れたデザインのものがいいと思われます。

このようなデザインのプランターや水槽は、ジャガイモなどの農作物や生き物たちを入れたまま、トラックに重ねて積んで、地下都市などの居住地の配置先に運ぶことが出来るはずです。

養殖している生き物たちのうち、広い場所で飼育する必要があると、養殖施設の方々が判断された生き物たち…

たとえば、ウナギさんなどのお魚さんたちについては、水槽車で、期間限定で使わせてもらえるプールなどに移して、そこで飼育するのがいいと思われます。

ジャガイモなどの農作物を植えたプランターや、養殖している生き物たちを入れた水槽は、皆様のご生活のご支障にならない限り、地下都市などの居住地の中のありとあらゆる余地に置いて、栽培・飼育することが出来るはずです。

もしも、地下都市などの居住地で、プランターや水槽を置くスペースが不足した場合は、棚を置いて、そこに何段もプランターや水槽を置いたり、歩道や車道の上の空間を利用して、金属製の足場のようなスペースを造って、そこにプランターや水槽を置いたり、車道の車線を、1車線だけ、プランターや水槽を置くスペースにしたり、それでも足りない場合は、車線全部を、プランターや水槽を置くスペースにするのがいいと思われます。」


彼女は、虹色の瞳を輝かせながら、結論を話した。


「地下都市などの居住地で、ジャガイモなどの農作物や養殖している生き物たちを栽培・飼育するには、重ねて置いても、植えたジャガイモなどの農作物を栽培出来たり、入れた生き物たちを飼育出来るデザインのプランターや水槽を、大量生産して、地下都市などの居住地のありとあらゆるスペースを活用して、栽培・飼育して、広い場所で飼育する必要があると判断された生き物たちについては、期間限定で使わせてもらえるプールなどで飼育するのがいいと思われますね!!」



彼女は、話を続けた。


「地上の農耕地で栽培しているジャガイモなどの農作物と、養殖施設で飼育している生き物たちは、それらを主に消費している最寄りの地下都市などの居住地に移して、そこで栽培・飼育して、収穫して、消費すれば、皆様は、食料を自給自足し続けることが出来るでしょう。

地上の農耕地で栽培しているジャガイモを、地下都市などの居住地に移す方法の一例をご説明します。

主にコンバインで収穫された、葉の付いたままのジャガイモの苗を、トラックで、最寄りの地下都市の市場に運びます。

収穫後の畑の土は、ダンプで、市場に運びます。

大量生産されたプランターも、市場に運びます。

市場で、プランターに、土を入れて、ジャガイモの苗を植えます。

苗が傷んでいるジャガイモも、芋の半分の部分を植えれば、新たな苗として、生育させることが出来ます。

ジャガイモのプランターを、トラックに積んで、地下都市の配置先に配布します。

地上の養殖施設で飼育している生き物たちを、地下都市などの居住地に移す方法の一例をご説明します。

大量生産された水槽を、養殖施設に運びます。

水槽に、養殖池の水を入れます。

養殖池にいる生き物を、網で採って、水槽に入れます。

水槽を、トラックで、地下都市の配置先に配布します。

広い場所で飼育する必要があると、養殖施設の方々が判断された生き物たちについては、水槽車で、プールなどに運びます。

地下都市などの居住地に配置されたプランターのジャガイモなどの農作物と水槽の生き物たちの栽培・飼育は、基本的に、近くにいらっしゃる皆様にご担当して頂くのが、いちばんいいと思われます。

ご家庭に配置されたジャガイモなどの農作物や生き物たちは、ご家庭の皆様に…

お店に配置されたジャガイモなどの農作物や生き物たちは、お店の皆様に…

法人様に配置されたジャガイモなどの農作物や生き物たちは、法人様の皆様に…

水やりや餌やりなどのお世話をして頂くのが、いちばんいいでしょう。

歩道や車道の上の空間を利用して、足場のようなスペースにプランターや水槽を置いたり、車道の車線をプランターや水槽を置くスペースにする場合や、プールなどでお魚さんたちを育てる場合は、農耕地や養殖施設で働かれている皆様に、お世話をして頂くのが、いちばんいいでしょう。

そして、ジャガイモなどの農作物や生き物たちのお世話をして下さる方が見つからない場合は、その作業をして下さる方々を、新たに募って、お世話をして頂くのが、いちばんいいでしょう。

そして、ジャガイモなどの農作物や生き物たちの収穫も、それらを育てて頂いた皆様にお任せするのが、いちばんいいでしょう。

巨大噴火は、今から1年以内にも起きる可能性があります。

したがって、地上の農耕地で栽培しているジャガイモなどの農作物や、地上の養殖施設で飼育している生き物たちは、出来るだけ早く、地下都市などの居住地に移すべきでしょう。」


彼女は、虹色の瞳をキラキラさせて、結論を話した。


「地上の農耕地で栽培しているジャガイモなどの農作物と、養殖施設で飼育している生き物たちを、それらを主に消費している最寄りの地下都市などの居住地に、巨大噴火が始まる前に移せば、そこで栽培・飼育・収穫・消費することが出来るので、巨大噴火後も、皆様は、必要な食料を自給自足することが出来るでしょうね!!」



彼女は、話を続けた。


「この星で起きると予想されている巨大噴火によって発生した火山灰は、大気中に拡散して、滞留して、半年間以上の長期間、地表に降り積もると予想されます。

防壁の上に掛ける切り妻屋根が完成すれば、地下都市などの居住地でも、地上の地熱発電所でも、防壁の内側には、火山灰が降り積もらなくなります。

しかし、防壁の外には、火山灰が次第に堆積して行きます。

そのままにしておくと、施設が火山灰に埋もれて、通気口による外気との換気が出来なくなる恐れがあります。

したがって、防壁の外に堆積した火山灰は、まめに取り除く必要があります。

大気中に拡散して、滞留して、降り積もった火山灰は、気温とほぼ同じ温度なので、人手でも、気密性の高いマスクとゴーグルをしていれば、守るべき施設から取り除いて、処理出来るでしょう。

もちろん、ブルドーザーやパワーショベルなどの重機も活用出来ます。

取り除いた火山灰は、そのまま廃棄すると、風などで再び飛散する恐れがありますから、コンテナに入れたり、何らかの方法で固めてから、車で廃棄場所まで運んで、廃棄するのがいいでしょう。

地表には、火砕流の残留物も、至るところに堆積しているはずです。

地下都市などの施設間を結ぶ道路などに積もった火砕流の残留物や、火山灰も、取り除く必要が生じるでしょう。

これらの作業を行われる皆様が、火山灰に接触されるのを防ぐためには、十分な数の気密性の高いマスクとゴーグルが必要です。

しかし、今のところ、この星には、黄色キ大地ノ国にある巨大火山とは別の、比較的小規模な活火山の噴火に備えた災害時用備蓄品として、わずかな数のマスクとゴーグルが備えられているだけです。

したがって、出来るだけ早く、十分な数のマスクとゴーグルを作って、地下都市などの居住地や、地上の地熱発電所や、各ご家庭などに備えるべきでしょう。」


彼女は、虹色の瞳を輝かせて、結論を話した。


「降り積もった火山灰や火砕流の残留物を取り除いて廃棄する作業などを行うために、屋外で活動される皆様が、火山灰に接触されるのを防ぐために必要となる、十分な数の気密性の高いマスクとゴーグルを、出来るだけ早く作って、地下都市などの居住地や、地上の地熱発電所や、各ご家庭に備えるべきでしょうね!!」



彼女は、話を続けた。


「この星で起きると予想されている巨大噴火は、この星の自然環境を激変させるでしょう。

その結果、この星に生きる多くの生き物たちが、命を奪われ、絶滅の危機に瀕することになるでしょう。

大昔から、寒冷化した自然界では絶滅してしまった数多くの生き物たちを、ご自身の手で、保護し続けて来られた皆様は、命の尊さを、誰よりもよくご存知に違いありません。

40年ほど前の巨大噴火で、数多くの生き物たちが絶滅していくのを、救えなかった私たち…

地球の人間たちよりも、ずっと…

この星の皆様に、お願い申し上げます。

この星の全ての皆様が、巨大噴火後も、安全に暮らしていけるという目処が立ったなら、他の生き物たちの未来も、どうか、救ってあげて下さい。

黄色キ大地ノ国にある動物園や植物園や水族館で飼育されている生き物たちは、巨大噴火が始まる前に、出来るだけ早く、外国の動物園や植物園や水族館に、分散して移すのがいいでしょう。

黄色キ大地ノ国に棲息している全ての野生の生き物たちも、全ての種について、少なくとも雌雄のワンペアずつ、保護してあげて下さい。

動物も植物も昆虫も微生物も…

巨大噴火によって、世界中の地表に棲息している生き物たちが、絶滅の淵に追いやられることになるでしょう。

巨大噴火が起きる前に、出来るだけ早く、それらの生き物たちも、少なくとも雌雄ワンペアずつ、保護してあげて下さい。

ネー、ベル、プン、ユフがご説明したように、この星は、巨大噴火後、温暖化する可能性があります。

保護した生き物たちを、自然に戻してやれば、きっと、再び、自らの力で、この星の上で、生き続けて行くことでしょう。

もしかしたら、今よりも、ずっと暖かくて、ずっと多くの生き物たちであふれた、にぎやかな星で…

皆様と一緒に…

いつまでも…」


彼女は、虹色の瞳を、泪でいっぱいにして、結論を話した。


「この星の全ての皆様が、巨大噴火後も、安全に暮らしていけるという目処が立ったなら、この星に生きる他の全ての生き物たちも、皆様と一緒に、この星で生き続けて行けるように、巨大噴火が始まる前に、出来るだけ早く、保護してあげて下さいね!!」

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