第36話

睡眠を取った私たちは、早めに起きた。


「おはよう!!」

「おはよう!!」


レストランで、ネー、ベルとパヌ、シー、レカ、ンネさんに合流した。 


「おはようございます!!」

「おはようございます。」


朝食を摂って、リハーサルに備えた。


私と彼女は、パヌ、シー、レカ、ンネさんから、通訳器をお借りした。


パヌ、シー、レカ、ンネさんは、通訳器を首に掛けながら、言った。


「私も、おふたりとオーナーさんと同じ設定の通訳器を使用します。

プル、ンケ、ルム、ベズ語から日本語への訳が正しいかどうか…

私も、通訳器による逐次通訳を、イヤホーンで聞いてチェックします。

もし、誤訳などの問題があった場合は、すぐに、おふたりとオーナーさんに、正しい訳をお知らせします。」


私たちは、頷いた。


「日本語からプル、ンケ、ルム、ベズ語への通訳は、ふたつの方法で行います。

オーナーさんは、いつもお使いになっている通訳器を使用されます。

オーナーさんが話された日本語は、オーナーさんの通訳器でプル、ンケ、ルム、ベズ語に逐次通訳されて、記者会見場に流れます。

おふたりが話された日本語は、電話で記者会見場に送られて、あちらにある通訳器でプル、ンケ、ルム、ベズ語に逐次通訳されて、記者会見場に流れます。」


私は、尋ねた。


「ネー、ベルは何語で話すんだい?」


ネー、ベルは、答えた。


「私は、日本語は、まだまだ勉強中で…

今まで通り、プル、ンケ、ルム、ベズ語で話して、私の通訳器で日本語に逐次通訳して、お話しさせて頂きます。」


彼女が、訊いた。


「…じゃ、ネー、ベルが話した、プル、ンケ、ルム、ベズ語は、ネー、ベルの通訳器で日本語に訳されて、それから、電話で記者会見場に送られて、あちらの通訳器で、プル、ンケ、ルム、ベズ語に訳されて、記者会見場に流れるの?」


パヌ、シー、レカ、ンネさんが、答えた。


「はい。

2回通訳器を通すことになりますが、記者会見場に流れる訳は、私が聞いてチェックしますから、大丈夫です。」


私は、訊いた。


「記者会見場に流れる音声を、パヌ、シー、レカ、ンネさんは、どうやって聞くんですか?」


パヌ、シー、レカ、ンネさんは、答えた。


「こちらの音声を記者会見場に送る電話回線で、記者会見場の音声を、こちらのカード端末のスピーカーから流して、こちらで聞きます。

オーナーさんが話された日本語が、プル、ンケ、ルム、ベズ語に正しく訳されているかどうか…

おふたりが話された日本語が、プル、ンケ、ルム、ベズ語に正しく訳されているかどうか…

私が聞いてチェックします。」


彼女が、訊いた。


「じゃ、私たちも、記者会見場に流れる音声を聞けるのね?」


パヌ、シー、レカ、ンネさんは、答えた。


「もちろんです。

記者さんたちからの質問も、プル、ンケ、ルム、ベズ語のまま、電話回線でこちらのスピーカーから流れて、葵様おふたりの通訳器で、日本語に逐次通訳されて、イヤホーンでお聞きになれます。」


彼女は、虹色の瞳を輝かせて、言った。


「プル、ンケ、ルム、ベズ語から日本語への訳も、日本語からプル、ンケ、ルム、ベズ語への訳も、パヌ、シー、レカ、ンネさんが聞いてチェックしてくれるから、安心して話せるわね!!」



オーナーさんから、電話がかかって来た。


「おはよう!!」

「おはようございます!!」


真っ白なドレスを身にまとったオーナーさんは、まるで、花嫁のようだった…


彼女も、オーナーさんに挨拶した。


「おはようございます!!」

「おはよう!!」

「…なんて綺麗なの?!

オーナーさん!!」

「…あら?

そうかしら?

ありがとう!!」

「…スゴイわ!!

ウェディングドレスみたい…!!」


オーナーさんは、少し頬を赤らめて、照れ臭そうに微笑んだ。


「実際そうなのよ…

…どういう訳か、今まで、人前で着る機会が無かったんだけど…

…何を着ようか考えた時に、真っ白い服が浮かんで…

このドレスことを思い出したの。」


オーナーさんは、ドレスの生地をそっと撫でた。


「この星みたいでしょ?」


私は、言った。


「本当に、本当に、綺麗です!!」


オーナーさんは、ニッコリして、私をたしなめた。


「ダメよ!!

新婚ほやほやの旦那さんが、奥さん以外の女にそんなこと言っちゃ…」


彼女は、なぜか真っ赤になって、言った。


「しょうがないですよ!!

だって、本当に、本当に、スゴイ綺麗なんだもん…!!」


オーナーさんは、ニコニコしながら、答えた。


「ありがとう…

そこまで誉められると、私も、ちょっと自信が出て来るわ!!

私も、そろそろ、覚悟を決めて、お嫁に行くべき時なのかもね…」


彼女は、虹色の瞳をキラキラさせて、言った。


「オーナーさんなら、絶対に、幸せなお嫁さんになれますから、頑張って、イイ人見つけて下さいね!!」



オーナーさんは、ニッコリして、言った。


「そうね…

イイ人か…」


彼女は、虹色の瞳を輝かせて、言った。


「オーナーさんを、宇宙一幸せにしてくれる人が絶対いますから、頑張って探して下さいね!!」



オーナーさんは、ニコニコしながら、訊いた。


「…宇宙一幸せにしてくれる人か…

星美さんは、宇宙一幸せにしてくれる人を見つけた訳ね?

どうすれば見つけられるんだろ?」


彼女は、首をちょっと傾げて、答えた。


「…私は…

彼にお茶に誘われて、行ってみたら、そこが『無限分岐宇宙』だったんです…」


オーナーさんは、微笑んで、言った。


「なるほどね…!!

…行ってみたってところが、たぶん、重要なのね…

もし、あなたが、彼からの誘いを断っていたら…

宇宙一幸せにしてくれる人を、見つけ損なうところだったわね…」


彼女は、私を見ながら、頷いた。


「…最初は断ったんですけどね…

彼が、一生懸命だったから…」


私は、照れ隠しに、頭を掻きながら、言った。


「嬉しかったなあ…」


オーナーさんは、微笑みながら、頷いた。


「『無限分岐宇宙』が、おふたりの距離をグッと縮めるキューピッドになったのね!!

嬉しいわあ!!」


彼女は、虹色の瞳をキラキラさせて、言った。


「諦めず、探し続ければ、いつか必ず、オーナーさんを、宇宙一幸せにしてくれる人と巡り会えますから、頑張って探して、運命の人を見つけて、宇宙一幸せになって下さいね!!」

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