第30話

宇宙に浮かぶ、別の惑星に、住み始めた生き物たちを見れば…


宇宙に浮かぶ、別の惑星を、作り変え始めた生き物たちを見れば…


彼女は、別の惑星に降り立った生き物たちが、自分たちの住み処を作り始める様を想像しながら、訊いた。


「地上の農耕地で栽培しているジャガイモなどの農作物と、養殖施設で養殖している生き物たちを、地下都市などの居住地に避難させるには、どうしたらいいのかしら?」

「ジャガイモなどを植え替えたり、生き物たちを入れた水槽などを置く場所が必要ですね…

住んでいる人間たちの生活の支障にならない限り、どこにでも、ジャガイモなどを植えたり、水槽を置いて、かまわないでしょうね…!!」

「ジャガイモは、照明の光が当たって、水や肥料などを与えられるスペースでさえあれば、本当に、どこでも栽培出来ると思う…」

「エビさんやカニさんや貝さんや小さなお魚さんや水草さんなどは、水を入れておける容器でさえあれば、飼育出来そうね!!」

「…

養殖している水産物には、ウナギなどの魚もいます。

出来れば、プールなどの広い場所で、飼育したほうが、よく生育して、繁殖も上手く行くでしょうね…!!」

「プル、ンケ、ルム、ベズのウナギは、淡水で繁殖するんだよね!!」

「…

地上の養殖施設での飼育が再開出来るまでの間だけ、期間限定で、プールなどを使わせて貰えば、大きなお魚さんたちも、元気に育つわね!!」

「噴火から半年間以上経って、降灰量が減って来れば、地上の養殖施設で、飼育を再開出来るだろうね!!」

「…地下都市などの居住地には、ジャガイモなどの農作物を植えたり、プランターを置いたり、生き物たちを入れた水槽などを置いたりするスペースが、十分あると思いますが…

もし仮に、スペースが不足した場合に、どうするか、考えておいたほうがいいでしょうね…」

「…

甘い見通しを立ててはダメだものね…!!

棚を置いて、何段も上に重ねて、プランターや水槽を置けば?」

「いいね!!

同じ広さの場所に、何倍も置けるね!!

棚は、室内に限らず、地下都市の屋外にも、置いても支障ないはずだね!!」

「…

地下都市の天井まで届く高さの棚も、作れますね!!」

「…他には…

屋根の上はどうかしら?」

「…

地下都市だから、雨は降らないね…?

屋根ってあったかな?」

「地下都市の建物は、ほとんど、天井までの高さいっぱいに、造られているので、屋根は、僅かしかありません…

屋根といっても、屋上スペースになっているのがほとんどです。」

「…

そうなんだ…

まあ、屋上スペースなら、プランターや水槽を置けそうね!!」

「…

あとは…

歩道や車道のスペースを、利用する方法もあるね…!!」

「…

道路を?

確かに、地下都市の道路は、広いスペースを持っていますね…!!」

「…

歩道は、人が通る道幅を、少し狭くしてもらうのね?!

そして、道沿いに、プランターや水槽を並べて…?!」

「うん!!

もし、それでも足りないなら、人の背丈よりも高い位置に、足場のようなスペースを、歩道の上に重なるように、ずーっと造って、そこにプランターや水槽を置けばいいね!!」

「…

それなら、人や自転車などの通行も、今まで通り、自由に出来ますね!!」

「…

歩道の上の空間を、利用するのね!!」

「…

車道でも、同じように、道路の上の空間を利用出来るかもしれない…!!

車道を通る車の高さよりも高い位置に、スチール製の足場のようなスペースを、ずーっと造れば…!!

そこにプランターや水槽を置けるね!!」

「…

都市によっては、車道が、トンネルのようになっていて、車道の上の空間が、居住スペースになっている道路もあります。

その場合は…?」

「…

車道の上が居住スペースに…?」

「…

車道の上の空間を、ちゃんと利用してるんだね…!!

その場合は…

2車線のうちのひとつの車線を、期間限定で、プランターや水槽を置くスペースにすれば…」

「…

なんと…?

1車線だけで?

それでは、一方通行になってしまいますね?」

「…

期間限定だからね…

他に方法が無い場合は、しばらく、我慢してもらうのね…!!」

「…

一方通行にすると、不便になるような所では、片側交互通行で、時間を分けて、双方向に車が通れるようにすればいいね!!」

「…片側交互通行…?」

「…

もし、それでも、スペースが足りない場合は、どうしたらいいのかしら…?」

「…

その場合は…

車道を全部、プランターや水槽を置くスペースにすればいいよ!!

その道路は、地上での食料生産が再開出来るまでは、しばらく、車が通れなくなるけど…

そこに住む人たちが必要とする食料を作るためだから…

きっと、協力して貰えるはずだよ!!」


彼女は、虹色の瞳をキラキラさせて、プランターや水槽で満たされた街並みを思い浮かべながら、言った。


「地下都市などの居住地で、ジャガイモなどの農作物を植えるスペースや、生き物たちを飼育する水槽などを置くスペースが不足した場合は、棚を置いて、何段も重ねて、プランターや水槽などを置いたり、歩道や車道の上の空間を利用して、スチール製の足場のようなスペースを造って、そこにプランターや水槽を置いたり、車道の車線を、1車線だけ、プランターや水槽を置くスペースにしたり、それでも足りない場合は、車道全部を、プランターや水槽を置くスペースにすればいいのね!!」



宇宙に浮かぶ、別の惑星で、食べ物を作り始めた生き物たちを見れば…


宇宙に浮かぶ、別の惑星で、作った食べ物を食べる生き物たちを見れば…


彼女は、別の惑星に住み始めた生き物たちが、食べ物を作って食べる様子を想像しながら、訊いた。


「地上の農耕地で栽培しているジャガイモなどの農作物と、養殖施設で養殖している生き物たちを、出来るだけ早く、地下都市などの居住地に避難させるには、どうしたらいいのかしら?」

「プル、ンケ、ルム、ベズにある地上の農耕地と養殖施設は、全て、地熱湧出地にあります。

地熱湧出地以外の場所では、地上の平均気温も平均地温も、氷点下数度~数十度の寒さで、農耕も養殖も出来ません。

地上の農耕地と養殖施設で生産された食料は、僅かな例外を除いて、それらがある地熱湧出地と、その近傍にある、地下都市などの居住地で、消費されています。

例外として、特定の地域でしか生産されていない特産品などは、他の地熱湧出地や国などにも輸送されて、消費されています。」

「…特産品ね…

たとえば、ワサビは、熱キ水出ル国の特産品だね!!」

「プル、ンケ、ルム、ベズの国々は、どこも、食料を自給自足しているのね?!」

「そうです。

どの国も、自国民が必要とする食料の100%以上を生産しています。

余剰の食料は、非常用備蓄食料として備蓄されています。

異なる地熱湧出地間で取引されている特産品は、カロリーベースでは、1%にも満たない僅かな量です。

したがって、仮に、特産品の取引が出来なくなったとしても、どの国も、100%の自給自足を維持出来ます。」

「…地産地消なんだね…!!

とすると、地上の農耕地と養殖施設で生産している食料を、消費している地下都市などの居住地は、すぐそばにあるんだね?!」

「…

地下都市などの居住地は、地熱湧出地のそばにあるのね?」

「はい。

地熱湧出地の地下にある地下都市などの居住地もあります。

地熱湧出地や、その周辺は、地温が高いので、エアコンに必要なエネルギーが少なくて済むのです。

地下都市は、全て、地熱湧出地か、その近傍にあります。」

「…

とすると、地上の農耕地で栽培しているジャガイモなどの農作物や、養殖施設で養殖している生き物たちを、それらを消費している地下都市などの居住地に避難させれば、100%の自給自足を維持出来ることになるね!!」

「…すぐそばだから、すぐに輸送出来るわね!!」

「…

ジャガイモの場合、農耕地で収穫されたジャガイモは、トラックで地下都市などの居住地に運ばれて、市場で取引されて、小売店で販売されて、消費されています。

ジャガイモを避難させる場合は、苗のまま、畑から抜いて、トラックなどで、地下都市などの居住地に運んで、移植先に届いてから、プランターや家庭の庭などに植え替えることになりますね…」

「…

自給自足維持型移住のジャガイモなどの輸送に似ているね!!

黄色キ大地ノ国からの…」

「…

そうね…

黄色キ大地ノ国から外国への避難のための移住では、ジャガイモなどの農作物や養殖している生き物たちや飼育している羊さんたちを、移住する人と一緒に、大陸間鉄道で運ぶのが、いちばんいいとわかったのよね!!

移住してからも、食料の自給自足が維持出来るから…!!」

「…

今考えている、地上の農耕地と養殖施設から地下都市などの居住地への、ジャガイモなどの農作物と養殖している生き物たちの避難では、人の移動はありませんから、行動としては、ずっとシンプルになるでしょうね!!」

「…

地下都市などの居住地にジャガイモなどの農作物が植え替えられたあと、水や肥料などを与えて、生育させて、収穫することになるから、その作業をする人について考えておかなければならないね!!」

「…

地上の農耕地で働いている人たちに、そのまま、地下都市でも、働いてもらえれば、いちばんいいんだけど…」

「…

養殖施設で働いている人たちについても、そのまま、地下都市に置かれた水槽などの生き物たちの飼育と収穫をしてもらえれば、いちばんいいでしょうが…」

「…

歩道や車道の上の空間を利用して、足場のようなスペースに、ジャガイモなどを植えたプランターや、生き物たちを入れた水槽などを置く場合と、車道の車線をプランターや水槽を置くスペースにする場合は、多くのプランターや水槽がまとまって置かれているから、農耕地や養殖施設で働いている人たちに任せるのがベストだろうね…」

「…

プールなどを使わせて貰って、大きなお魚さんたちを育てる場合も、専門の人たちに任せるべきね!!」

「…

問題は、地下都市の家庭などに分散して置かれたプランターや水槽などを、誰が世話するか…ですね…」

「…そうだね…

農耕地や養殖施設で働いている人たちには、とても、担当しきれないだろうね…

ひとつの地下都市の中の、何千ヶ所、あるいは何万ヶ所という場所に、分散して置かれているはずだからね…」

「…

そばにいる人たちに、任せればいいのよ…!!

家庭の庭に植えたジャガイモは、その家庭の人たちに…

ベランダに置いたプランターのジャガイモは、そこに住んでいる人たちに…

お店に置かれたプランターのジャガイモは、そのお店の人たちに…

水や肥料などを与えて貰えばいいのよ!!」

「…

屋外の余地に置かれたプランターや水槽などは…

近くに住んでいる人たちや、近くのお店や企業で働いている人たちに、任せるのですね…?」

「…

それがいいね!!

近くにいる人たちに任せるのが、いちばん合理的だね!!

水槽で飼育している生き物たちの世話も…

そばにいる人たちにしてもらえれば、みんな助かるね…!!」

「…

どうしても、世話してくれる人がみつからないジャガイモなどの農作物や生き物たちは、農耕地や養殖施設で働いている人たちに任せるか…

その作業をする人を、新たに雇えば…」

「…

なるほど…

分散して置かれたプランターや水槽などの世話をする仕事について、新たに人を募ればいいのですね?!」

「…

収穫についても、世話をしていた人たちに任せるのが、いちばんいいと思う…

何ヵ月もかけて世話して、育てた農作物や生き物たちを、知らない人に収穫されたら…」

「…

そうね…

自分で育てたジャガイモなどの農作物や生き物たちは、自分で収穫して貰うのが、いちばんいいでしょうね…!!」

「…

まさに、地産地消ですね!!

おそらく、プル、ンケ、ルム、ベズの全ての人たちが、多かれ少なかれ、ジャガイモなどの農作物や生き物たちを育てて、収穫することになるのですね!!」

「…

自分で生産して自分で消費するから…

自産自消と言うべきかもね…」


彼女は、虹色の瞳を輝かせて、生き物たちの世話をする人たちの姿を思い浮かべながら、言った。


「地上の農耕地で栽培しているジャガイモなどの農作物と、養殖施設で養殖している生き物たちは、それらを消費している最寄りの地下都市などの居住地に避難させれば、すぐに植え替えたり、水槽などに移せるし、歩道や車道の上の空間を利用して、足場のようなスペースにプランターや水槽を置いたり、車道の車線をプランターや水槽を置くスペースにする場合や、プールなどでお魚さんたちを育てる場合は、農耕地や養殖施設で働いている人たちに、生き物たちの世話と収穫を任せればいいし、家庭やお店や企業などに置かれたプランターや水槽などの生き物たちは、それらの家庭やお店や企業の人たちに、世話と収穫をしてもらえばいいし、どうしても、世話と収穫をする人がみつからない場合は、その作業をする人たちを、新たに募って、世話と収穫をしてもらえばいいのね!!」



宇宙に浮かぶ惑星で、食べ物を作り続ける生き物たちを見れば…


宇宙に浮かぶ惑星で、環境の変化と闘う生き物たちを見れば…


彼女は、惑星に住む生き物たちが、環境の変化と闘いながら、生き続ける様を想像しながら、訊いた。


「地上の農耕地で栽培しているジャガイモなどの農作物と、養殖施設で養殖している生き物たちの全てを、地下都市などの居住地に避難させる前に、巨大噴火が始まったら、どうしたらいいのかしら?」

「プル、ンケ、ルム、ベズでの全ての食料生産に対する、地上の農耕地と養殖施設での食料生産の比率は、それぞれ、約42%と約3%です。

もし、仮に、これらの生き物たちの避難を始める前に、巨大噴火が始まったら、少なくとも、半年間以上、約45%の食料生産が出来なくなります。

全ての人たちに、精一杯食料の消費を減らしてもらって、消費を10%減らして、潜水ロボット艇に電源ケーブルを繋いだまま、圧送ポンプ漁法で、深海での漁を行うことで、生産を14%増やして、不足する食料は、約21%…

人口にすると、この星の全人口約1000万人のうちの210万人の食べる食料が、生産出来なくなります。

各国の備蓄食料の合計約1000万人の1ヶ月分を、210万人に割り当てると、143日間は、持ちますが、地上での食料生産が再開出来るのは、早くても、噴火から半年間以上先になるとすると、37日間以上、210万人の食べる食料が足りなくなります。」

「半年間過ぎても、降灰は続いているだろうから、地上での食料生産は、僅かずつしか増やせないだろうね…

噴火前の生産力に戻るには、何年もかかるかもしれない…」

「…

37日間の不足が生じないようにするには、210万人分の食料が生産出来る、21%の地上の農耕地と養殖施設での食料生産を、地下に移すことが必要なのね…!!」

「備蓄食料では、210万人の人たちを、生き延びさせることが出来ません…

合成食料の生産も、噴火が今から半年以内に起きれば、間に合いません。

残る手段は…

噴火が始まる前に、21%の食料生産力を、地上から地下に移す方法だけでしょうね…!!」

「…

45%のうちの、21%…

つまり、地上の農作物と、養殖している生き物たちの約半分を、地下に移せれば、210万人の人たちも、生き延びられるんだね!!」


彼女は、虹色の瞳をキラキラさせて、生き物たちを避難させる人たちの姿を思い浮かべながら、言った。


「地上の農耕地で栽培しているジャガイモなどの農作物と、養殖施設で養殖している生き物たちのうちの約半分を、巨大噴火が始まる前に、地下都市などの居住地に避難させれば、プル、ンケ、ルム、ベズの全ての人たちが必要とする食料を生産し続けることが出来るのね!!」



宇宙に浮かぶ星で、環境の変化と闘う生き物たちを見れば…


宇宙に浮かぶ星で、災害と闘う生き物たちを見れば…


彼女は、星に住む生き物たちが、災害と闘いながら、生き続ける様を想像しながら、訊いた。


「地上の農耕地で栽培しているジャガイモなどの農作物と、養殖施設で養殖している生き物たちのうちの半分以上を、巨大噴火が始まる前に、地下都市などの居住地に避難させるには、どうしたらいいのかしら?」

「巨大噴火がいつ始まるのかが、わかっていれば、その時までに、避難させるべき生き物たちを避難させるための長期の計画を立てることが出来るでしょうが、現実には、巨大噴火がいつ始まるのか、我々にはわかっていませんから、可能な限り早く、生き物たちを避難させるしかありませんね…」

「巨大噴火がいつ始まるか、ということについて、今、わかっていることは…

過去の巨大噴火の周期から判断して、前回の巨大噴火から64万年が経過した現在、いつ巨大噴火が起きてもおかしくない、ということと…

僕たちの地球で、約40年前に起きた巨大噴火が始まる3日前から、有感地震が急に増えて、震源地が上昇して来たという、明らかな前兆現象があったということと…

このふたつだけだね。」

「…

プル、ンケ、ルム、ベズで、黄色キ大地ノ国の地下で、地球で起きたのと同じような、有感地震と震源地の上昇が起きたら、その3日後に巨大噴火が始まるのかしら?」

「…

巨大噴火の前兆現象であることは間違いないでしょうが…

3日後に噴火が始まるかどうかは、わかりませんね…」

「地球と、プル、ンケ、ルム、ベズは、とても似ているけれど、違っているところもある。

その違いが原因で、地球では40年前に起きた巨大噴火が、プル、ンケ、ルム、ベズでは、まだ起きていないんだ…

プル、ンケ、ルム、ベズでも、有感地震の急増と震源地の上昇という、前兆現象がある可能性が高いけど、地球と同じ3日後に噴火が始まるという保証は無いね…」

「…

前兆現象があっても、何日後に噴火が始まるか、わからないのね?」

「…

噴火が差し迫っている、ということしか、わからないかもしれません…」

「…

震源地の上昇するペースから、噴火の数日前には、予知出来るはずだ…!!

何日後に噴火が始まるだろうって…」

「…

噴火が予知されてから、生き物たちの避難を始めたのでは、間に合わないのね?」

「…数日間では、到底間に合わないでしょうね…」

「…

だから、生き物たちの避難は、今すぐにでも始めて、出来るだけ早く、半分以上を、地下都市などの居住地に移さなければならないね!!

いつ、噴火が始まるか、わからないから…!!」


彼女は、虹色の瞳を輝かせて、大急ぎで生き物たちを避難させる人たちの姿を思い浮かべながら、言った。


「地上の農耕地で栽培しているジャガイモなどの農作物と養殖施設で養殖している生き物たちを、地下都市などの居住地に避難させるには、巨大噴火がいつ始まるか、わからないので、出来るだけ早く避難を始めて、出来るだけ早く、半分以上の生き物たちを、地下に避難させればいいのね!!」



宇宙に浮かぶ星で、災害の可能性に気付いた生き物たちを見れば…


宇宙に浮かぶ星で、災害を予見した生き物たちを見れば…


彼女は、生き物たちが、まだ経験したことの無い災害の可能性に気付く様を想像しながら、訊いた。


「地上の農耕地で栽培しているジャガイモなどの農作物の半分以上を、出来るだけ早く、地下都市などの居住地に避難させるには、どうしたらいいのかしら?」

「何を地下都市などの居住地に移動させるのかを、確かめておきましょう。

まず、ジャガイモの苗ですね。

地上の農耕地の畑に植わっているジャガイモの苗を、抜いて、地下都市に運ぶことになります。

次に、プランターや植木鉢のような器が必要です。

地下都市などの居住地では、地面のほとんどが舗装されたり、人工の床で覆われていて、地下の土が露出している場所は、ほとんどありません。

僅かに、家庭の庭に、土が運び込まれて、植物などが植えられている所がありますが…

ジャガイモは、プランターなどの器に植え替えて、栽培することになるでしょう。

プランターは、大量に必要になるので、新たに製造することになるでしょう。

次に、苗を植える土が必要です。

地下都市などの居住地には、土はほとんどありませんから、地上の農耕地のジャガイモを抜いた畑から、土を採って、地下都市に運ぶことになるでしょう。」

「プランターは、工場で大量生産するしかないね…

土は、ジャガイモを抜いたあとの畑から、パワーショベルなどの重機で、採って、ダンプに積んで、地下都市に運べるだろうね…

ジャガイモの苗は、人手で抜いて、傷めないように、小分けして梱包してから、トラックで地下都市に運ぶことになるだろうね…」

「…

その3つを、地下都市で、合流させて、プランターに土を入れて、苗を植えて、出来上がったジャガイモのプランターを、配置先に運んで、配置して行くのね…?」

「…

地下都市で、そのような作業をするなら、市場で行うのがいいでしょうね…

毎日、ジャガイモなどの農作物が、トラックで運ばれて来て、競りにかけられ、小売店の車に載せられて、地下都市のお店に運ばれて行きます。

小売店の車は、ジャガイモのプランターも運べるはずです…!!」

「…

プランターのデザインを工夫して、土にジャガイモを植えたままで、プランターの上にプランターを重ねて置いても、荷重が、プランターにだけかかるようにして、下側のプランターのジャガイモの葉が、潰れないように出来ればいいね!!

ジャガイモを植えたままで、何個もプランターを縦に重ねて、車に積めるようになるから、配布の能率が上がるはずだ…!!」

「…もしかして、プランターを重ねて置いたままで、配置して、栽培することも出来るかもしれないわね…!!」

「…ジャガイモの葉だけ、重ねたプランターの横から出して成育させるのですね…?!

スペース効率がよくなりますね!!」

「…

ジャガイモを畑から抜く作業も、人手よりも、コンバインの方が、効率がいいはずだね…?!」

「…そうだ!!

コンバインがあったわね!!

あれなら、人手よりも、ずっと早く、大量のジャガイモを、畑から抜けるわ!!」

「…

確かに…!!

通常の収穫作業では、コンバインによって、苗ごと収穫されたジャガイモから、人手で、ジャガイモだけを切り取って、梱包して、トラックに積んで、地下都市に運んでいます。

今考えている避難では、切り取る作業は、無くなりますから、さらに早く作業出来るはずですね…!!」

「コンバインで収穫された苗を、そのまま、地下都市に運んでもいいはずだね…!!

ジャガイモの苗が、ひどく傷まないかぎり、植え替えたプランターで、また成育してくれるはずだね…!!」

「…ジャガイモは、芋を半分に切って、土に植えるだけで、また、芽が出て、成育するから、芋の部分さえあれば、また収穫出来るようになるはずね…!!」

「…

その場合は、プランターに植えてから、収穫出来るようになるまで、2ヶ月以上はかかるでしょうが、その間の食料は、備蓄食料で賄えるでしょう…!!」

「収穫までに2ヶ月以上かかるのは、苗がひどく傷んでいる場合だけだからね!!

傷めずに植え替えられれば、地上での収穫ローテーションと同じペースで、継続的に収穫が続けられるはずだよ!!」


彼女は、虹色の瞳をキラキラさせて、プランターへと植え替えられるジャガイモたちを思い浮かべながら、言った。


「地上の農耕地で栽培しているジャガイモは、コンバインで、苗ごと、畑から抜いて、トラックで地下都市に運んで、土は、畑から、重機で採って、ダンプで地下都市に運んで、プランターは、重ねて置いても、植えたジャガイモが傷まず成育出来るデザインのものを、大量生産して、これら3つを、地下都市の市場で合流させて、プランターにジャガイモを植え替えて、小売店の車で、配置先に配布して、苗が傷んでいるものは、芋から成育させて、収穫すればいいのね!!」



宇宙に浮かぶ星で、災害による被害を予想する生き物たちを見れば…


宇宙に浮かぶ星で、災害による被害を減らそうとする生き物たちを見れば…


彼女は、生き物たちが、まだ経験したことの無い災害による被害を減らそうとする様子を想像しながら、訊いた。


「地上の養殖施設で養殖している生き物たちの半分以上を、出来るだけ早く、地下都市などの居住地に避難させるには、どうしたらいいのかしら?」

「何を移動させるのかを、確かめておきましょう。

まず、地上の養殖施設で養殖している、いろいろな生き物たちです。

地上の養殖施設は、地熱湧出地にある湖、池、河川などの淡水の環境に、造られています。

そこで飼育されている魚、エビ、カニ、貝、水草などを、地下都市などの居住地に運ぶことになります。

次に、水槽などの器が必要です。

水を入れられる十分な大きさの器であれば、水槽として使えるでしょうが、やはり、新たに製造する必要があるでしょう。

次に、淡水が必要です。

地下都市には、もちろん、水道がありますが、生き物たちは、移送中も、水の中に入れておく必要があるので、養殖施設の淡水を採って、生き物たちと一緒に、地下都市に運ぶことになるでしょう。」

「水槽は、やっぱり、大量生産するしかないね…

プランターに比べれば、ずっと少ないだろうけど…

水槽も、プランターと同じように、重ねて置けるデザインのものがいいね!!」

「…重ねて置くことで、占有面積が減らせるわけね…!!

2段重ねて置くだけで、必要な面積が半分になるんだから…」

「…

重ねて置いても、それぞれの水槽の中に、餌などを入れられるデザインのものがいいですね!!」

「水を入れるから、重くなるね…

鋼鉄でフレームを作って、その中に、プラスチックかガラスで、器を入れればいいね!!

荷重は、フレームだけで支えて…」

「…生き物たちが市場に出荷される際は、人手で採って、トラックで地下都市に運ぶの?」

「はい。

養殖池などにいる生き物たちを、網で採って、トラックで地下都市の市場に運んで、競りにかけ、小売店に引き取られて、地下都市のお店に運ばれて、販売されています。」

「…

養殖施設から地下都市までの運び方が、問題だね…

避難の場合は、生き物たちを、もちろん、生きたまま、運ばなければならない…

市場に出荷される場合は、生き物たちは、水から揚げられて、生き物たちだけが運ばれる場合もあるだろうね…」

「…

その運び方だと、生き物たちは死んじゃうわ…

生きたまま、市場に出荷される場合は無いのかしら?」

「あります。

大きな水槽を積んだ、水槽車と呼ばれるトラックで、魚などを生きたまま、地下都市に運んでいます。

エビ、カニ、貝、水草などは、水を入れた容器に入れて運ぶ場合もあります。」

「…

その運び方がいいね!!

魚は、小さな容器に水と一緒に入れると、弱りやすいんだよね…

ある程度、泳げるスペースが必要なんだ…

魚は、水槽車で、地下都市に運んで、市場で、水槽に移し替えるのがよさそうだね!!」

「…

エビさん、カニさん、貝さん、水草さんは、広くない容器に入れても、大丈夫なのかしら?」

「…生き物の種類によって、小さな容器でも大丈夫なものもあるようですが…

どんな種類の生き物が大丈夫かまでは、私も承知していません…」

「…

生き物を水槽車に入れた方がいいか、容器に入れても大丈夫か、の判断は、養殖施設で働いている人たちに任せよう!!

生き物たちのことを、いちばんよく知っている人たちだから…」

「…

容器に入れても大丈夫な生き物の場合は、輸送用の容器の代わりに、水槽に入れても、大丈夫かもしれないわね…?」

「…

なるほど…!!

生き物を養殖池から採って、すぐに、水槽に入れて、そのまま、地下都市まで運ぶのですね…?」

「…いい方法だね!!

容器に入れて運んだ場合は、市場で、水槽に移し替える作業が必要になるから、時間と手間が、その分かかるね…

最初から水槽に入れて運ぶ方が、効率がよくなるね!!」

「…

ジャガイモの場合は、苗と土は、別々に運んで、市場でプランターと合流させて、プランターに土を入れて、苗を植えて、小売店の車で配置先に配布するのよね…

養殖している生き物たちの場合は、生き物たちと水は、一緒に運んで、市場で水槽と合流させて、最初から水槽に入れている生き物たちは、そのまま、小売店の車に積んで、地下都市の配置先に配布することになるのね…!!」

「…水槽車で運んだ生き物は、水と一緒に、水槽に移し替えることになりますね!!」

「…

それだと、たぶん、狭すぎて、生き物たちが、すぐに弱ってしまうだろうね…

なるべく、広いプールとかに移し替えたいね…!!」

「…地下都市にもプールはあるのかしら?」

「もちろん、ありますよ!!

学校や競技場やスポーツクラブなどにあります。

地上での養殖が再開されるまで、しばらくの間、魚やエビ、カニ、貝、水草などを、棲まわせて頂けるはずですね…!!」

「そうだね!!

とすると、水槽車は、市場ではなくて、プールのある場所に行けばいいんだね!!」

「…

養殖施設で、生き物たちを最初から水槽に入れて、地下都市に運ぶ場合、市場に寄らずに、直接、配置先に配布することは出来ないかしら?」

「…

それは…

車が通れさえすれば…

可能でしょうね…!!」

「…

養殖施設から地下都市までの出荷に使われているトラックは、大きな車が多いと思う…

地下都市の市場までの道路は、いつも通っているだろうから、もちろん、通れるはずだけど…

水槽の配置先は、家庭やお店や企業や、利用されていない僅かなスペースなど、地下都市のあらゆる場所の余地になるから、大きな車だけでは、配布し切れないだろうね…

小売店の車は、地下都市のいろんな道路を通るから、水槽をいろんな所に配布することが出来るはずだから…」

「…ということは、小売店の車で、養殖施設まで行って、水槽に入った生き物たちと水を、車に積んで、地下都市の配置先に配布するのが、いちばん、効率がいいのね?」

「…

歩道や車道の上のスペースに足場のようなスペースを造って、そこに水槽を並べる場合や、車道の車線を、水槽を置くスペースにする場合は、一度に多くの水槽を配置することになるので、大型のトラックで水槽を運ぶ方が、効率がいいでしょうね!!」

「…

ということは、どの場合も、市場に寄らずに、直接、配置先に、生き物たちを運べるんだね!!」

「…市場に行くのは、競りにかける必要があるからなのね!!

生き物たちを避難させる場合は、競りにかける必要が無いから、市場に行く必要も無いのね!!」

「市場で、大型のトラックから、水槽を降ろして、小売店の車に積み直すという作業が無くなるから、効率がスゴくよくなるね!!」


彼女は、虹色の瞳を輝かせて、水槽とプールに移り棲む生き物たちを思い浮かべながら、言った。


「地上の養殖施設で養殖している生き物たちは、広い場所で飼育する必要があると、養殖施設で働いている人たちが判断した生き物たちについては、水槽車で、期間限定で使わせてもらえるプールに移して、それ以外の生き物たちについては、重ねて置いても、それぞれの水槽に餌などを与えられるようなデザインの水槽に、養殖施設で移して、歩道や車道の上に造ったスペースや、車道の車線に、一度に多くの水槽を配置する場合は、大型のトラックで水槽を運んで、それ以外の場合は、小売店の車で、配置先に、直接、配布すればいいのね!!」

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