第29話

星の空に、羽根を羽ばたかせる生き物たちを見れば…


星の空に、羽根を回転させる生き物たちを見れば…


彼女は、大空に飛び立った生き物たちが、宇宙を目指して、飛び続ける様子を想像しながら、訊いた。


「プル、ンケ、ルム、ベズで起きると予想されている巨大噴火によって発生する火山灰が、大気中に拡散して、滞留して、降り積もった場合、どうしたらいいのかしら?」

「大気中に拡散して、滞留してから、地表に降り積もった火山灰は、気温と同じ温度なので、人間でも、気密性の高いマスクとゴーグルをしていれば、守るべき施設などから取り除いて、処理出来るでしょう。」

「…

地球では、マスクとゴーグルが、必要な数に、全く足りなかった…

世界中に、半年間以上、マスク無しでは息が出来ない濃さの火山灰が、降り積もり続けた…」

「…

プル、ンケ、ルム、ベズには、マスクとゴーグルは、備えられているの?」

「…

活火山の噴火に備えた災害時用備蓄品に、マスクとゴーグルがありますが…」

「活火山…?

ということは、イエローストーン火山は?」

「この星では、まだ、再噴火してないから…」

「…

残念ながら、黄色キ大地ノ国での巨大噴火に備えたものではありません…」

「…

じゃ、この星でも、足りてないんだね?!」

「…

今からでも遅くないわ!!

マスクとゴーグルを作って備えるよう、この星の人たちに勧めなきゃ!!

オーナーさんのお力をお借りして!!」

「…

そうですね…!!

防壁の上に掛ける切り妻屋根が完成すれば、居住地も、地上の地熱発電所も、火山灰は、防壁の内側には降り積もらなくなりますが、通気口を機能させるためには、防壁の扉を開けて、外気を取り入れる必要がありますから、外気と共に、ある程度は、火山灰が侵入するでしょうから…」

「…

防壁の外には、火砕流の残留物が、見渡す限り、堆積しているはずだ…

重い岩を含む火砕流が襲来した地域では、重い岩石や溶岩なども含まれているだろうから、それらを取り除かなければ、人が歩くことも出来ない。

ブルドーザーやパワーショベルなどの重機を用いて、火砕流の残留物と、防壁の外に貯まった火山灰や噴石を、フレキシブルコンテナなどに入れて、車で、廃棄場所まで運んで、廃棄しなければならないだろうね…」

「…フレキシブルコンテナってなにかしら?」

「粉状のものや液体や、瓦礫など、不定形のものを運ぶのに使われる、大きな袋みたいなものだよ。」

「わかったわ…

その作業も、火山灰が降っている中でしなければならないのね…?」

「…

火山灰をそのまま、屋外に廃棄すると、風で再び飛散する恐れがありますからね…

コンテナに入れるか、何らかの方法で固めてから、廃棄場所に運んだほうがいいでしょうね…」

「…

火山灰の降灰の濃度が低くなるまでは、地上での農作物の生産は出来ないだろうし、太陽光発電も出来ないだろうね…」


彼女は、虹色の瞳に、火山灰と闘う人たちの姿を浮かべながら、言った。


「大気中に拡散して、滞留して、降り積もる火山灰は、防壁の上に掛ける切り妻屋根があれば、防壁の内側には降り積もらないけど、通気口から外気を取り入れる際や、防壁の外に堆積している火砕流の残留物や火山灰を取り除いて、廃棄する際に、作業する人たちに、火山灰が接触するのを防ぐためには、気密性の高いマスクとゴーグルが、十分な数、必要なのね!!」



星の空に、自分で作った乗り物に乗って、飛び立った生き物たちを見れば…


星の空に、知恵と工夫で、飛び立った生き物たちを見れば…


彼女は、星に生まれた生き物たちが、宇宙へと旅立つ様を想像しながら、訊いた。


「プル、ンケ、ルム、ベズで起きると予想されている巨大噴火によって、不足する食料を補うには、どうしたらいいのかしら?」

「プル、ンケ、ルム、ベズでの食料生産の比率は、地上の農耕地での生産が42%ほど、地上の養殖施設での生産が3%ほど、地下農場での生産が36%ほど、野菜工場と果物工場での生産が8%ほど、地下牧場での生産が1%ほど、深海での底引き網漁での収穫が10%ほどです。

巨大噴火が起きると、地上での食料生産は、長期間、不可能になるでしょう…」

「地下農場などの地下での食料生産には、電力と水と二酸化炭素が必要だね。

水は、地熱湧出地の地下水や、必要なら、氷を電力で溶かせば、得られるはずだね!!」

「…

二酸化炭素は、地下都市に住む人たちの呼気から得られる訳ね…?」

「おっしゃる通りです。

水も二酸化炭素も、不足の心配はありません。

二酸化炭素については、通気口から地下都市に取り込んだ大気にも含まれています。」

「…

電力については、地上の地熱発電所は、防壁の上に掛ける切り妻屋根があれば、ずっと発電が続けられるはずだし、屋根が間に合わなかった場合は、潜水ロボット艇が、火砕流の火山灰や噴石を取り除けば、防壁の内側に貯めた水を、防壁の扉から外へ排出して、発電を再開出来るはずだね!!」

「…

潜水ロボット艇さんは、深海での底引き網漁に戻ればいいのね?」

「…

地熱発電所から、海辺の深海発着港まで、専用氷上車に載せて運ぶことになりますが、帰路の氷上には、火砕流の残留物があるはずですから、それを退けてからでないと、漁には戻れませんね…!!」

「…

重い岩を含まない火砕流の残留物なら、ロボットの圧送ポンプでも取り除けるだろうけど、重い岩を含む火砕流の残留物は、潜水ロボット艇のマニピュレーターの腕力では、退けられない可能性があるね…」

「…

熱キ水出ル国には、重い岩を含む火砕流が襲来する可能性があるのよね…?!

北と南から…」

「…重い岩を含む火砕流が襲来した場合は、ブルドーザーなどの重機によって、海辺への帰路を整地してから、深海発着港に戻ることになるでしょうね…」

「とすると、深海での底引き網漁の再開が、その分、遅れることになるね…

帰路の整地に、何日ぐらいかかりそうかな?」

「10ヶ所の地熱発電所全てにロボットを派遣したとすると、深海発着港からいちばん遠い発電所からの帰路の整地には、1ヶ月以上かかるかもしれませんね…」

「…

深海発着港って、どこにあるの?」

「皆さんの地球で言うところの、駿河湾に出るトンネルが、ぶ厚い氷に穿たれています。

その、深海への出口に、発着港があります。」

「…

駿河湾か…

すごく深いんだよね…

いちばん遠い地熱発電所は、どこなんだい?」

「皆さんの地球で言うところの、北海道にあります。」

「北海道?!

…確かに遠いわね…」

「…

その間の深海での底引き網漁による収穫は、減ることになるね…

漁の再開後に、収穫量を増やすことは可能かな?」

「…

ある程度は、可能でしょうが…

元々、潜水ロボット艇による漁ですから、可能な限り、フルに作業していますから、増やせたとしても、わずかでしょうね…」

「…

電源ケーブルを繋いだまま、泳がせて、漁を出来ないかしら?」

「…

スゴイアイデアだね!!

それが出来れば、燃料電池を充電する時間も働けるだろうから、収穫量を増やせるだろうね…!!」

「…

電源は、発着港から取ることになりますね?

とすると、深海での漁場までの長さのケーブルが必要ですね…?」

「…そうなるわね…

どれくらいの長さのケーブルが必要かしら?」

「…

深海での底引き網漁は、少しずつ漁場を変えながら、続けられています。

漁の開始から10年ほど経って、現在は、発着港から100キロメートル以上離れた漁場で、漁をしています。」

「100キロメートルか…!!

…でも、その長さのケーブルさえあれば、なんとか、出来るはずだね!!」

「ケーブルには、浮きを付けて、浮力で重さを打ち消せばいいのね?!」

「…

底引き網で収穫した海産物を、発着港に持ち帰る必要がありますから、残念ながら、その間は、漁は出来ませんね…」

「…

その作業があったか…

地熱発電所での作業みたいに、何日間でも、連続で漁が出来ればなあ…?」

「…

圧送ポンプで、収穫した海産物を、発着港まで送れないかしら?」

「…

なんと…?

圧送ポンプで…?」

「…

長さ100キロメートル以上のチューブが必要だけど…!!

可能かもしれない!!」

「…

もしかしたら、底引き網を使わなくても、ロボット艇さん自身で、圧送ポンプで海産物を吸入して、それを発着港まで送れるかもしれないわね?!」

「…

底引き網を使うよりも、収穫するスピードが、上がるかもしれませんね…?!」

「…

有り得るね!!

圧送ポンプの圧力は、チューブが長い分、より強い力が必要だから、発着港の方から、十分強力なポンプで、吸引した方がいいね!!」


彼女は、虹色の瞳を輝かせて、黙々と漁を続けるロボットの姿を思い浮かべながら、言った。


「潜水ロボット艇さんが深海発着港に戻るまでは、深海での底引き網漁が出来ないけど、地熱発電所での作業と同じように、電源ケーブルを繋いだまま、圧送ポンプで海産物を吸入して、発着港まで送れば、漁をする時間とスピードが増えて、収穫量を増やせるのね!!」



星の外へと、自分で作った乗り物に乗って、飛び立った生き物たちを見れば…


宇宙へと、知恵と工夫で、飛び立った生き物たちを見れば…


彼女は、宇宙へと旅立った生き物たちの大冒険を想像しながら、訊いた。


「プル、ンケ、ルム、ベズで起きると予想されている巨大噴火によって不足する食料のうち、潜水ロボット艇さんによる深海での漁の収穫量の増加分以外の不足を補うには、どうしたらいいのかしら?」

「電源ケーブルを繋いだまま、圧送ポンプで海産物を吸入して、発着港まで送る漁法によって、どれくらい収穫量を増やせるか、予想する必要がありますね…

現在行われている漁のパターンは、発着港での潜水ロボット艇の燃料電池の充電に5時間ほど、発着港から漁場までの移動に2時間ほど、底引き網漁が10時間ほど、漁場から発着港までの帰還に3時間ほどの、計20時間ほどが、1サイクルになっています。」

「20時間?

ということは、毎日、4時間ずつ、漁の時刻が早くなるんだね?」

「…

人間じゃないから、24時間のサイクルには縛られないのね…?」

「そうですね。

充電している間に、必要なメンテナンスをして、充電が終了したら、すぐに出港します。」

「行きが2時間なのに、帰りの時間が3時間になるのは、海産物を運ぶからかな?」

「おっしゃる通りです。

底引き網で採れた海産物は、マニピュレーターでコンテナに移します。

海産物の入ったコンテナは、潜水ロボット艇の艇体の下にぶら下げて、発着港まで持って帰るので、水中での移動スピードが落ちて、帰りの方が時間がかかります。」

「100キロメートル以上を2時間で行くということは、時速50キロメートル以上で泳げるのね?」

「…帰りは、時速33キロメートルぐらいかな?」

「はい。

海産物を網からコンテナに移す間は、漁が中断します。

網には、海底の岩などが引っ掛かることもあります。

その際は、マニピュレーターで、網から引っ掛かったものを外す作業が必要です。」

「ロボットが圧送ポンプで海産物を吸入する漁法なら、そういった時間は必要無くなるだろうね…

とすると、やはり、海産物を採る能率は、底引き網よりも、アップしそうだね…!!」

「…

どれくらい収穫のスピードが上がるかしら?」

「…

正確な予測は難しいですが、30%ほどは増えるかもしれませんね…」

「…

海底に海産物や岩などがどの程度の密度で存在するのか、知らないから、正確な予測は難しいね…

希望的観測をしてはいけないから、10%くらいかな?」

「今は、カンに頼るしかないわね…

20%くらいかしら?」

「…

平均すると20%アップですね…!!

あと、漁をする時間は、10時間から、増えて…」

「発着港に戻らずに、ずーっと漁が出来るはずだね…!!

故障などのトラブルさえ無ければ、ぶっ続けで!!」

「ということは、移動と充電の時間も働けるから…

10時間プラスして、20時間働けるのね!!」

「2倍になりますね!!

とすると、生産量の比率は…

10%×2=20%!!」

「…

それに、圧送ポンプ漁法による収穫スピードのアップで、20%アップするとすると…

20%×1.2=24%になるね!!」

「…

潜水ロボット艇さんによる深海での漁の収穫量は、10%から24%にアップするのね!!

とすると、不足する食料のうちの、14%は、これで賄えるのね?!」

「…

不足する食料は、地上の農耕地での生産が42%ほど、地上の養殖施設での生産が3%ほどですから、計45%ほどになります。

45-14=31%ほど、まだ足りませんね…」

「…

確保出来る発電量を確かめる必要があるね…

地上の地熱発電所の発電量は、15%…

地上の太陽光発電による発電量は、15%…

地下の地熱発電所での発電量は、5%…

地下の火力発電所での発電量は、30%…

地下の原子力発電所での発電量は、35%…

だね。

このうち、太陽光発電は、巨大噴火後、半年間以上は、発電出来ないだろうね…

でも、火力発電所と原子力発電所の発電力に余力があるので、それらの発電所での発電量を増やせば、その15%分は、補えるんだね?」

「はい。

発電量は、巨大噴火後も、100%を維持出来るでしょう。」

「ということは、地下での食料生産も維持出来るね!!」

「…地下での食料生産には、電力が必要なのね。

あとは、不足する食料を、なんとかすれば…」

「31%…

この星の全人口約1000万人の消費量を精一杯抑制しても、おそらく、10%が限界でしょう。」

「…

備蓄されている食料は、どれくらいかな?」

「…

残念ながら、どの国でも、備蓄に回せる食料の生産余力は、僅かしかありません。

おそらく、多くても、1ヶ月分ほどでしょう。どの国も…」

「…

21%も足りないわ…

210万人分も…

どうしたらいいのかしら…?」

「…

とすると、新しい食料生産方法を試してみるべきだね…

水と二酸化炭素から、電力を使って、栄養素と酸素を作るんだ!!」

「…

光合成を…?

植物のように?」

「…

栄養素を合成するのね?」

「糖質、タンパク質、脂質、全て合成出来るはずだ!!

化学的に!!」


彼女は、虹色の瞳をキラキラさせて、まだ見ぬ合成食品を思い浮かべながら、言った。


「巨大噴火後、半年間以上、不足する食料のうち、14%は、潜水ロボット艇さんによる深海での漁での増加分で補えるし、10%は、消費量を精一杯抑制して、残りの21%は、水と二酸化炭素と電力から、栄養素と酸素を合成する方法で、補えばいいのね!!」



宇宙に浮かぶ、別の惑星を目指した生き物たちを見れば…


宇宙に浮かぶ、別の惑星にやって来た生き物たちを見れば…


彼女は、宇宙を旅した生き物たちが、別の惑星に、初めて降り立つ様子を想像しながら、訊いた。


「水と二酸化炭素と電力から、栄養素と酸素を合成する方法で、不足する食料を補うには、どうしたらいいのかしら?」

「…

解決すべき問題がふたつあるようです。

まず、電力が足りるかどうか…?

210万人が半年間以上食べる食料を、生産し続けるために、必要な電力を、どうするか?」

「…

巨大噴火後も、現在と同じ発電量を確保出来るはずだね…」

「…

発電量を、100%から、さらに増やすことは出来ないかしら?」

「…

火力発電所や原子力発電所を新たに建設すれば、発電量を増やせるでしょう。

しかし、建設には、何年もかかるでしょうね…」

「噴火に間に合う方法を見つけなければならないね…

…太陽光発電は使えないし…」

「…電力を節約するのはどうかしら?」

「…

潜水ロボット艇の電源と、圧送ポンプに必要な電力は、大幅な節約は難しいでしょうね…」

「…

車は、電気で動いてるんだったね?!」

「はい。

ほとんどが燃料電池で走っています。

国によっては、地下都市の天井にある架線から、パンタグラフで電力を得ながら走る自動車もあります。」

「…なら、車の使用を減らせば、節電出来るわね!!」

「…

パンタグラフ…

電車は…?」

「電車は、我々の星では…

大陸間鉄道だけですが…」


私たちは、顔を見合わせた。


「…

巨大噴火が起きたら、大陸間鉄道は、走れなくなる…

電力も要らなくなるんだわ!!」

「…

そうだ!!

大陸間鉄道の駆動用の電力が、全部、余るんだ!!」

「…

確かに…

大陸間鉄道用の電力は、全て、合成食料の生産に回せますね!!

大陸間鉄道の運転が再開出来るのは、軌道に積もった火砕流の残留物や火山灰を取り除いて、降灰量も減ってからになるでしょうから、早くても、噴火後、半年間は、走れない可能性が高いですね…!!」

「その余った電力で足りないようなら、車の使用を減らしてもらって、補えば、合成食品を作れるわね!!」

「食料の生産に必要な電力は足りそうだね!!

残る問題は…?」

「…

合成食料の生産を、いつ、開始できるかが、問題ですね…

210万人が食べる合成食料を、半年間以上生産し続けるには、大規模な製造工場が必要です。

全く新しい食料生産方法なので、我々の星には、そのような工場はありません。

可能な限り、急いで、工場を建設しても、合成食料の生産を始められるのは、かなり先のことになるでしょう…」

「…どれくらいかかりそうかしら?」

「…

確かにね…

世界中の地下都市か、その近くに、それぞれ、その地下都市か、その国の人々が必要とする合成食料を製造する工場が、必要になるね…!!」

「…

建設開始から、合成食料の生産が始められるまで、早くても、おそらく、1年以上はかかるでしょうね…」

「…

噴火に間に合わないと…

足りなくなるわ!!」

「…

出来るだけ建設を急ぐしかないと思う…

噴火に間に合いさえすれば…!!」

「…

しかし、間に合わなかったら…

210万人の人たちが、食べるものが無くなります…!!」

「…

仮に、今から1年以内に、巨大噴火が起きるとしたら…

たとえば、今から半年後に、噴火が起きるとしたら…

合成食料の生産が始まるのが、今から1年後としたら…

噴火後、半年間経ってから、ようやく、合成食料の生産が始まることになるわね…

その半年間に、食料が不足するのに!!」

「早ければ、噴火の半年後には、火山灰の降灰量も次第に減って来て、地上の農耕地での食料生産も、再開出来るかもしれない…

もちろん、日照量もまだ少ないだろうから、生産出来るといっても、少しずつだろうけどね…

その頃に、合成食料の生産が始まるとしたら…

遅すぎるね…」

「備蓄されている食料で、1ヶ月ほどはもちますが…

5ヶ月間は、210万人分の食料が足りなくなりますね…!!」

「…

備蓄されている食料って、何人分なの?」

「この星の全人口1000万人分です。

その1ヶ月分ほどは、各国の非常用備蓄食料として、どの国でも、備蓄されています。」

「…

1000万人の30日分…

ということは、210万人なら…

1000×30÷210≒142.8…」

「143日分?!

4ヶ月半以上分だわ!!」

「…

なんと…

私としたことが…?

うっかりしていました…!!」

「食料が不足するのは、210万人だけだから…!!

あとの790万人の人たちには、今よりも10%、食べるものを減らしてもらうことになるけど、ずっと、必要な食料は生産出来るから、備蓄食料は、全部、210万人の人たちに割り当てられるはずだね!!」

「そうね!!

でも、まだ…

半年間、6×30-143=37日分足りないわ!!」

「…

210万人の37日分…」

「…

どこかに食料が無いかな…

食料になりそうなもの…?」

「…

地上の農耕地と養殖施設の食料は?」

「地上の農耕地で栽培している農作物と養殖施設で養殖している水産物は、巨大噴火が予知されてから、噴火までの数日間の間に、可能な限り、収穫して、食料に充てます。」

「…

噴火までに収穫しきれなかった農作物と水産物は、残念だけど、火砕流と火山灰に襲われて、埋もれてしまうだろうね…」

「…

みんな助けてあげたら…」

「…?

みんな?

農作物と水産物を?」

「…

助ける?

それって、野菜や生き物たちを、どこかに、生きたまま、避難させるってこと?」

「…

そうよ…

地上の生き物たちを、みんな、地下に避難させるのよ!!」

「…

地下に…?

どこにですか?」

「…

地下農場や野菜工場や果物工場は、たぶん、移せる余地はほとんど無いと思う…

最大限効率良く、地下のスペースを利用して、生産を続けているはずだからね…」

「…

地下都市よ!!

地下の居住地に、生き物たちを避難させるのよ!!」

「…

地下都市?」

「…

あっ!!」

「…

地下都市なら、農作物に必要な、光も、水もあるわ!!

ジャガイモは、土さえあれば、どこにだって植えられるわ!!

家庭の庭でも、ベランダのプランターでも、部屋の中でも!!」

「…

ジャガイモを…

家庭に…?」

「…

地下都市は、気温も暖かい…!!

農作物を植えるスペースも、いっぱいあるね…!!」

「そうよ!!

養殖している生き物たちも、水槽さえあれば、どこにでも、避難させられるはずよ!!」

「…

地上の農作物や養殖している生き物たちを、全て、避難させるとすると、巨大噴火が予知されてからの数日間では、間に合わないでしょうね…」

「…

今すぐ、避難を始めればいいよ!!

可能な限り、急いで、地下都市に移してあげるんだ!!」

「そうよ!!

みんな助けられたら、地上の食料生産は、全部、地下で続けられるわ!!」

「…

噴火後も、100%の食料生産が…!!」

「…

スゴイよ…

星美さん!!」


彼女は、虹色の瞳を輝かせて、人間たちと生き物たちが、一緒に暮らす地下の街並みを思い浮かべながら、言った。


「地上の農耕地で栽培しているジャガイモなどの農作物と、養殖施設で養殖している生き物たちを、地下都市などの居住地に避難させて、栽培と養殖を続ければ、巨大噴火後も、食料の生産を100%維持出来るのね!!」

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