第28話
星の海に満ち溢れた生き物たちを見れば…
星の大気の組成を変えた生き物たちを見れば…
彼女は、宇宙に生まれた生き物たちが、生まれ故郷の星を変えて行く様子を、想像しながら、訊いた。
「プル、ンケ、ルム、ベズで起きると予想されている巨大噴火によって発生する火山灰を、居住地の出入口や通気口や、地上の地熱発電所の施設から、出来るだけ安全に、確実に、速やかに、取り除いて、廃棄するには、どうしたらいいのかしら?」
「火山灰が、守るべき施設の上に降り積もる原因は、2つ考えられます。
火砕流に含まれる火山灰が、防壁の上を越えて、落下して来る場合と、大気中に滞留している火山灰が、重力によって、落下して来る場合です。
後者の場合は、降灰のペースが、ある程度予想可能なので、その予想に合わせて、計画的に、取り除き作業を行う人たちが、マスクとゴーグルを着けて、地上に出て、火山灰を取り除いて、車で、廃棄場所まで運んで、廃棄することになるでしょう。
前者の場合は、火砕流が襲来した際に、大量の火山灰が、噴石と共に、一挙に、防壁の内側に降り積もることになるでしょうから、地上で待機している人たちに、危険が及ぶ可能性がありますね…」
「…
確かに、人々が地上にそのまま待っていると、降り積もって来た火山灰と噴石に、埋もれてしまう恐れがあるね…
車や、屋根のあるブルドーザーに乗って、待機していれば、なんとか大丈夫かな…?」
「…
降り積もる火山灰や噴石が多いと、車やブルドーザーごと、埋もれてしまうかもしれないわね…?」
「…
ひとつ重要な事を見落としていました!!
火砕流に含まれる火山灰や噴石は、高温である恐れがあります!!」
「…
そうだった…!!
…
大気中に滞留してから降り積もる火山灰は、気温と同じ温度まで冷えているけど、火砕流に含まれる火山灰は、熱を保っている可能性があるね…!!」
「…
もしそうなら、車やブルドーザーに乗っていても、高温の火山灰や噴石に埋もれてしまったら…」
「…
火山灰や噴石が発する赤外線によって、輻射熱が、待機している人たちの体に伝わって…」
「…
人命に関わるね…!!
そんな高温の環境下では、人間は活動出来ない…
方法を考え直さなければならないね!!」
「…
ロボットはどうかしら?
呼吸の必要が無いから、埋もれても、活動出来るし、高温にも耐えられるはず…」
「…
おっしゃる通りですが、我々の星で、実用化されているロボットには、そのような極限環境下で作業を行えるようなロボットは、残念ながら、まだ、ありません…」
「…
僕たちの地球では、さまざまなロボットが、実用化されているけど…」
「…
深海の底引き網漁をするロボットには、出来ないの?」
「…
潜水ロボット艇は、水の中で活動するよう設計されたものです。
地上や大気中で作業することは、想定されていません…」
「…
潜水ロボット艇って、大きさはどれくらいあるんだい?」
「熱キ水出ル国が運用しているものは、長さ25メートルほどです。」
「…
そんなに大きなロボットなの?!」
「何トンもの収穫物の入った底引き網を曳きながら、長時間、単独で漁をするために、大容量の燃料電池を搭載していますから、その大きさが必要だったのです。
排水量は、200トンほどです。」
「…
重さ200トンか…
船だから、それぐらいあっても、不思議はないね…
推進はスクリュー?
それとも、ウォータージェット?」
「スクリューです。
艇尾に主推進用のものが2基並んでいます。
姿勢制御用に小型のものが4基、艇体に付いています。」
「マニピュレーターは?」
「…マニピュレーターってなにかしら?」
「…
ロボットの手と腕にあたるものです。
マニピュレーターは、4本あります。
いずれも、艇体の外面上を任意に移動させて作業出来ます。」
「…
艇体は、どんな構造なんだい?」
「人間の乗るスペースも含めて、多重構造の超抗力鋼で造られています。
深さ10000メートルの1000気圧の水圧にも、十分な余裕を持って耐えられます。」
「…
そんな深海まで潜るの?」
「…
それなら、火砕流の火山灰の熱にも、耐えられそうだね!!」
「…
火砕流の熱に…?
…
確かに、耐えられるでしょうが…?」
「…
まさか、潜水ロボット艇で…?
…
火山灰を取り除けるの?」
「…
潜水ロボット艇を、防壁の内側に置くんだ!!
立てて置いてもいいし、場所によっては、横に置いてもいい。
必要なら、高さ10メートルほどの基台を造って、その上に置いてもいい。
スクリューの動力で、火山灰を圧送するポンプを作る。
ポンプにチューブを繋いで、それをマニピュレーターで、降り積もった火山灰に当てて、火山灰を吸い取って、排気側のチューブを、マニピュレーターで、防壁の外に出して、火山灰を防壁の外に排出する。
チューブを必要なだけ長くすれば、防壁の中の全ての火山灰に届くはずだ!!
仮に、高さ40メートルの防壁の上端まで、火山灰が積もったとしても、高さ10メートルの基台にロボットを載せていれば、25+10=35メートル…
マニピュレーターの長さとチューブの長さで、5メートル稼げば、防壁の上端まで届くはずだ!!」
彼女は、虹色の瞳に、まだ見ぬロボットの姿を浮かべながら、言った。
「火砕流に含まれる火山灰を防壁の中から外に排出するためには、潜水ロボット艇を防壁の内側に設置して、スクリューの動力で、火山灰を圧送するポンプを動かして、マニピュレーターで、ポンプのチューブを操作して、火山灰を、防壁の中から外に排出すればいいのね!!」
星の大地に上陸した生き物たちを見れば…
星の大地に生い茂った生き物たちを見れば…
彼女は、星に生まれた生き物たちが、光合成を始める様を想像しながら、訊いた。
「火砕流に含まれる火山灰や噴石を、地上の地熱発電所の施設から、出来るだけ安全に、確実に、速やかに取り除いて、廃棄するには、どうしたらいいのかしら?」
「地上の地熱発電所の施設は、地熱湧出地の地上に、熱水噴出口から熱水や水蒸気を取り込む採取口、輸送菅、熱水と水蒸気を分ける分離装置、熱水を再加熱して水蒸気を発生させる水蒸気発生器、水蒸気を当てて回転させる蒸気タービン、タービンで駆動する発電機、タービンから水を送り出す送水菅、余熱から温水を作る温水器、変圧器などが、建屋の中に設置されています。
居住地の出入口や通気口に比べて、はるかに広大な敷地に、発電に必要な施設が、集中して設置されています。
その周囲を、防壁で囲うことになりますが、潜水ロボット艇1体では、広い敷地全体に積もった火山灰や噴石は、とても処理出来ないでしょうね…」
「…
居住地の主要な出入口と、その最寄りの通気口なら、防壁によって囲われている敷地面積を、潜水ロボット艇1体で、カバー出来るだろうけど…
地熱発電所では、広すぎて、とても無理だね…」
「…
火山灰を圧送するポンプのチューブを、敷地の端まで届くような長さにすることは出来ないのかしら?」
「…
チューブを長くすることは出来ますが、長くなった分、ポンプの圧送力がより多く必要になりますし、火山灰の通っている重いチューブを、吸い取るべき火山灰の積もっている所まで運ぶことが必要です。
高温である可能性のある火山灰が積もった敷地内で、人間は作業出来ません…
ロボットのマニピュレーターが届くのは、艇体から5メートルほどの範囲です。
チューブを、剛性のある固いパイプで作って、長くしたとしても、おそらく、30メートルぐらいが限界でしょうね…
それ以上長くすると、パイプを通っている火山灰とパイプの重さが、重くなり過ぎて、潜水ロボット艇のマニピュレーターでは、支えられないでしょう…」
「…
潜水ロボット艇のマニピュレーターは、深海の底引き網漁をするために設計されたものだろうからね…
網に引っ掛かった岩などを取り除いたりするためのマニピュレーターだろうからね…」
「…
潜水ロボット艇を、地熱発電所の敷地内で、自由に移動出来るようにすれば…?」
「…
マニピュレーターは、4本あって、艇体上を任意に移動させられますが、残念ながら、200トンもの体重は、支えられませんから、足の代わりにはなりませんね…」
「…
潜水ロボット艇を、製造した工場から、海まで運んだはずだよね?
どうやったんだい?」
「熱キ水出ル国の潜水ロボット艇は、首都の地下都市にある工場で造られています。
工場から、海辺にある深海発着港までは、潜水ロボット艇専用の輸送用氷上車で、地表の氷の上を運んだのです。」
「…
200トンもあるロボットを運んだのね?
その専用の輸送用氷上車を、地熱発電所の敷地内で走らせれば…?」
「…
高温で人間は作業出来ないから、リモコンで運転するか…あるいは…
ロボット自身で運転出来るようにすれば…?」
「…
素晴らしい考えですが、残念ながら、地熱発電所の敷地には、施設の建屋が互いに隣接して設置されていて、大型の車両が通れるようなスペースは無いのです…」
「…
となると、ロボット1体では無理ね…
ロボットを何体も配置するのはどうかしら?」
「…
潜水ロボット艇は、何体あるんだい?」
「熱キ水出ル国の潜水ロボット艇は、現在のところ、20体が、底引き網漁に従事しています。」
「…
20体ね…
地上の地熱発電所は?」
「熱キ水出ル国は、世界有数の地熱発電量を誇っています。
10ヶ所の地上の地熱発電所が稼働しています。」
「…
1ヶ所あたり2体か…
ロボット2体で、カバー出来るかな…?」
「…
残念ながら、足りないでしょう…
おそらく、地熱発電所1ヶ所あたり、10体は必要でしょうね…」
「…
そんなに広いの…?」
「…
とすると、別の方法を考えなければならないね…
ロボットを増産することは、可能かな?」
「…
毎年4~5体ずつ製造されていますが、大幅な増産は難しいでしょう…」
「200トンもある船だものね…」
「…
他の国でも同じような状況かな…?」
「熱キ水出ル国が、潜水ロボット艇を、いちばん多く運用しています。
他の国でも、潜水ロボット艇では、地上の地熱発電所を、火砕流の火山灰から守るには、ロボットの数が足りないでしょうね…」
「…
どうしたらいいのかしら…?」
「…
ローテクなんだけど、ひとつ、考えがあるよ…」
「ローテクですか?」
「どんな考え?」
「屋根を造るんだ…
火山灰や噴石が、敷地に落ちて来ないように…」
「屋根を?」
「…
火砕流が襲来するけど、壊れないかしら?」
「火砕流に含まれる重い岩石などは、防壁の高さを越えないから、屋根には当たらないはずだ…
先に、防壁を造るんだ。
そして、時間があるようなら、屋根を、防壁の上に、掛ければいい。
屋根の形は、火山灰や噴石が、上に溜まりにくいように、十分に鋭角な、切り妻屋根がいいと思う…
火山灰や噴石が大量に降って来ても、防壁の外に落ちてしまうはずだ…
側面から、火砕流の火山灰や噴石が、ぶつかって来るから、壊れないように、鋼鉄の支柱と、鋼鉄の屋根板で造るのが、いいと思う…」
「…なるほど…
問題は、建設が間に合うかどうかですね…」
「…
防壁が完成してから造るから、時間が問題なのね…!!」
「建設が間に合うなら、屋根でいいと思うけど、間に合わないなら…
屋根が出来る前に、巨大噴火が予知されたら…
その場合は、潜水ロボット艇に助けてもらうしかないかもしれないね…!!」
彼女は、虹色の瞳に、ホッとした表情を浮かべて、言った。
「火砕流に含まれる火山灰や噴石から、地上の地熱発電所を守るには、防壁の上に、丈夫な切り妻屋根を掛ければいいけど、間に合わない場合は、潜水ロボット艇に助けてもらうことになるのね!!」
星の空を漂う生き物たちを見れば…
星の空に浮かぶ生き物たちを見れば…
彼女は、星に生まれた生き物たちが、海や地上から、色とりどりの空を見上げる様を想像しながら、訊いた。
「防壁の上に掛ける切り妻屋根の建設が、噴火に間に合わなかった場合、地上の地熱発電所を、火砕流の火山灰や噴石から守るには、どうしたらいいのかしら?」
「現在のところ、潜水ロボット艇は、地上の地熱発電所1ヶ所につき、2体しかありませんから、固定して設置すると、その周囲の半径30メートルほどの範囲しか、火山灰や噴石を取り除くことが出来ないでしょうね…」
「…
潜水ロボット艇が移動出来ればいいんだけど…
発電所の敷地内には、ロボットが移動出来る余地が無いんだね?」
「潜水ロボット艇は、長さ25メートルほど、直径は、5メートルほどの、魚雷のような形をしています。
地熱発電所の敷地内では、大きすぎて、ほとんど移動出来ないでしょう…」
「…
人間ぐらいの大きさだったらね…
この星には、人型ロボットはいないのかしら?」
「…
人型ロボットはいますが…
火砕流の高熱に耐えられるような、極限環境下で活動出来るロボットは、残念ながら、まだありません…」
「火砕流の高熱に耐えられるロボットは、潜水ロボット艇だけなんだね…
…
移動さえ出来ればなあ…」
「…
水があれば、泳げるんじゃないかしら…?」
「…
水ですか?
…
毎日、深海に潜って、漁をしていますから、もちろん、泳げますが…
地熱発電所には…水は…?」
「…
ある!!
熱水が、吹き出てる!!
地熱で温められた温泉が…!!」
「…
そうだわ!!
地下から噴出してる熱い地下水を、発電に使わずに、防壁の中に貯めればいいのよ!!
敷地内に熱水を満たして、そこで潜水ロボット艇を泳がせれば、自由に移動出来るわ!!」
「…
防壁の中に、地下水を…?」
「…
熱水だから、プル、ンケ、ルム、ベズのマイナス数十度の気温の中でも、凍結しない!!
熱水噴出口から採取した熱水を、そのまま、防壁の中に貯めればいい!!
大気に触れる水面から冷やされるけど、下から、熱水を供給し続ければ、貯まった水全体の温度を0度以上に保てるはずだ!!」
「…
天然の温泉みたいにね!!
そのお湯の中を、潜水ロボット艇が自由に泳いで、降って来た火山灰や噴石を、ポンプで吸い取って、防壁の外に出せばいいんだわ!!」
「…
火山灰や噴石は、気泡だらけで、軽いので、水に浮くものが多くあります。
防壁の内側に降って来た火山灰や噴石の一部は、貯まっている熱水の水面に、浮かんだ状態で、堆積するでしょうね…!!」
「…
水中から、ポンプのチューブの吸入口をマニピュレーターで操作して、水面の火山灰や噴石を吸い取って、防壁の外に排出すればいいんだ!!」
「…
ひとつの発電所に2体ロボットがいるから、燃料電池の電力が減って来たら、充電して、交代で作業してもらうことも出来るわね!!」
「…
発電所だから、充電は…
採取した熱水の全てを、防壁の内側に送って、貯めている時は、発電出来ないだろうけど、一部を発電に廻せば、燃料電池の充電に必要な電力は、発電出来るだろうね…!!」
「…
防壁には、出入口の扉があるはずですが、火砕流の重い岩石などの直撃に耐えられる、頑丈な扉ですから、水密性を保つことは難しくないでしょうね!!」
「…
敷地内の施設の建物から、水が漏れてはいけないわね…?
どうしたらいいのかしら?」
「…
敷地内全体に、防水シートを覆い被せれば…
施設の建屋も、全部まるごと、シートの下になるように、防壁の内側全部を、防水シートで覆えば、水は漏れないはずだ…!!」
「…
水よりも重くて、底の方に貯まった火山灰や噴石も、潜水ロボット艇なら、容易に、圧送ポンプで吸い取って、防壁の外に排出出来るでしょうね!!」
「…
圧送ポンプは、潜水ロボット艇のスクリューの動力で動かすのよね?
だとしたら、ロボットが泳ぐことは出来るの?」
「…
ポンプの動力は、潜水ロボット艇の推進用のふたつのスクリューから取ることになるけど、このロボットには、姿勢制御用の小さなスクリューが、4基あるんだよね?
それで、泳げるはずだ…
ゆっくりだろうけど…」
「…
姿勢制御用のスクリューでも、推進は可能でしょう!!
スピードは出ませんが、防壁の内側を泳ぐには、十分ですね…!!」
彼女は、虹色の瞳をキラキラさせて、湯煙を上げる温泉で気持ち良さそうに泳ぐロボットを思い浮かべながら、言った。
「防壁の上に掛ける切り妻屋根の建設が、噴火に間に合わなかった場合、地上の地熱発電所の防壁の内側に、地下から噴出している熱水を貯めて、その中に、潜水ロボット艇を泳がせて、降り積もる火山灰や噴石を、圧送ポンプで吸い取って、防壁の外に排出すればいいのね!!」
星の空に飛び上がった生き物たちを見れば…
星の空を滑空する生き物たちを見れば…
彼女は、星に生まれた生き物たちが、海や地上から、大空へと、初めて飛び立つ瞬間を想像しながら、訊いた。
「地上の地熱発電所を守るために潜水ロボット艇を防壁の内側に泳がせる場合、居住地の出入口や通気口を、火砕流の火山灰や噴石から守るには、どうしたらいいのかしら?」
「熱キ水出ル国の地上の地熱発電所は、10ヶ所、潜水ロボット艇は20体ですから、もし、全ての地上の地熱発電所で、防壁の上に掛ける切り妻屋根の建設が、噴火に間に合わなかった場合、各発電所に2体ずつロボットを割り振ると、居住地の防備には、ロボットを割り当てられないことになります。」
「…
各発電所に、必ずロボットが2体必要なのかな?
1体でも、火山灰や噴石を吸い取って、防壁の外に排出する作業は、出来るはずだよね?」
「…
作業自体は出来るでしょうけど、燃料電池を充電している間は、作業がストップしてしまうわね…
作業完了までの時間が2倍になるはずね…」
「…
各発電所に1体ずつロボットを割り振ると、居住地の方には、10体を割り当てられますね。
熱キ水出ル国にある居住地のうち、人口の多い順に、10の地下都市に、ロボットを1体ずつ割り振ると…
熱キ水出ル国の総人口の90%以上が、ロボットに守られた安全な居住地に住むことになりますね!!」
「…
熱キ水出ル国の総人口は、どれくらいなんだい?」
「100万人ほどです。」
「…
そんなにいるの?!」
「…
ということは、90万人くらいの人が、10の地下都市に住んでるんだね?」
「はい。
残りの10万人ほどの人たちは、各地の地熱湧出地にある大小さまざまな居住地に住んでいます。」
「…
その人たちは、住んでいる居住地に、防壁の建設が出来ない場合は、人口の多い10の地下都市に、避難してもらえばいいわね!!」
「…
防壁だけでは足りないよ!!
火砕流の火山灰や噴石から、出入口や通気口を守るには…
潜水ロボット艇か…
…
防壁の上に掛ける切り妻屋根が…」
「…
そうですね!!
居住地の出入口や通気口を守るのにも、切り妻屋根が有効ですね…!!」
「…
ホントだわ…!!
地熱発電所よりも、防壁で囲われてる敷地が、ずっと狭くなるから、屋根も、ずっと小さなものでいいはずね!!」
「…
とすると、居住地でも、防壁の上に掛ける切り妻屋根の建設が、噴火に間に合えば、潜水ロボット艇による作業は必要無いね!!」
「…
おっしゃる通りですね!!
居住地に必要な屋根は、発電所の屋根よりも、ずっと小さなもので済むでしょうから、建設にかかる時間や物資やコストや人手やエネルギーも、ずっと少なくて済むでしょうね!!」
「…
もし、何かの理由で、屋根の建設が、噴火に間に合わなかった場合は、ロボットに助けてもらえばいいのね!!」
「その分、地熱発電所での、火山灰や噴石を取り除く作業にあたるロボットが、減ることになりますが、作業完了の時間が2倍になるだけでしょうから、大きな問題にはならないでしょうね…!!」
「…
燃料電池に充電するプラグを繋いだまま、泳がせて、作業が出来れば…?」
「…
充電しながら作業…?
そんなこと出来るの?!」
「…
可能かもしれません…!!
…
発電所の施設の電源から、防水のケーブルを伸ばして、ロボットの充電用コネクタに、プラグを繋いだまま、作業させれば…!!」
「…
電流を流すプラグとコネクタは、水に触れると、漏電などの故障が起きるから、水に触れないように、プラグとコネクタを繋いだあと、その周りに、オイルを塗って、防水性のテープや接着剤などで、被覆する必要があるね…」
「…
充電しながら作業出来れば、1体でも、2体分の早さで、作業出来るわね!!」
「ロボットですから、故障などのトラブルが無ければ、何十時間でも、何日間でも、休み無く働けます!!」
「…
電源ケーブルは、水より重いから、所々に、浮き袋などの浮きを取り付けて、浮力で重さを打ち消せば、潜水ロボット艇が泳ぐ妨げにならなくなるだろうね!!」
彼女は、虹色の瞳を輝かせて、それぞれの持ち場で孤軍奮闘するロボットたちの姿を思い浮かべながら、言った。
「居住地の出入口や通気口を、火砕流の火山灰や噴石から守るには、防壁の上に切り妻屋根を掛ければいいけど、屋根の建設が、噴火に間に合わない場合は、潜水ロボット艇に助けてもらえばいいし、その場合の地上の地熱発電所では、1体の潜水ロボット艇に、電源ケーブルを繋いだまま、泳がせて、火山灰や噴石を取り除く作業を続けてもらえばいいのね!!」
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