後日談
「星奈!荷物……これだけ?」
「ああ、必要な物は向こうで揃えればいいだろう?」
そんな声に多少の呆れを感じながら彼女の余りにも少ない荷物を眺めた。
貯金しててよかった……。
そう短く息を吐けば星奈ちゃんは僕の前に立ち顔を覗き込む
「どうした?」
そのキョトンとした顔と声に僕は全てがどうでも良くなってしまう。
僕はこれからこの可愛い天才と2人でここを離れる事を選んだ。
彼女の親は酷い虐待を繰り返すとんでもない人で、それから逃れて護るにはこれしか方法が無かった。
大人を頼る、とか、説得、とか。
色々考えを巡らせた末、結局こういう結末に行き着いた。
いわゆる、駆け落ち。というやつだ。
今は若気の至りとか、世間を舐めてると言われるかもしれない。
でも、僕はそれでもこれが最善で最決だと思うし絶対に後悔もしない。させない。
きっといつか笑い飛ばせる日が来るって僕は知っているんだ。
星は、消えてから数年後に再び輝きを魅せる。
そんな風に2人でずっと輝ければそれでいい。
いや、それがいい。
「それにさ……」
星奈ちゃんが口を開き照れたように視線を巡らせる。
「なんにもなくても、互いが居れば、それが幸せ。だろう?」
はは!確かに!なんて僕は大きく笑う。
幸せの形は多種多様だけど、これが僕らの最幸なのだ。
僕のシリウス ゆゆ @yuyu08167
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