第16話 31.Geo'sPlan(startingurgent)32.№1
「知ってた?」
ちょっと睨んでタップが澄まし顔。
「知ってる」
「やるの?」
「せっかく手に入れたこの…」
と、手を伸ばすノーマーク。
「どうしたの?みんな」
「静かな……のも疲れる」
いつも冷ややかなロンは少し優しい。
「タップ、やっぱりあんたはやる気ね」
「当たり前よ。さ、今夜よスーパーブルドッグスVSファントムキャッツ(フットボールの試合)みんな賭けるでしょ?」
全員が一斉に、
「そうじゃないでしょ!」
と、突っ込んだ。
「じょ…冗談よ。早く助けに行きましょ。あのコの読みのお陰で、あたしずっと負け知らずでいられたのよ。勝ち馬に乗るってやつね」
「またぁタップ!」
「見て」
「何なの?」
反応するタワー。
「ジオの張り詰めたあの顔…」
「ジオにはあたしらが家族なのよ。一人でも欠けたらこの先には行けないの」
「不思議よね。あたしたちを連れ去ったジオと今は共に行動している。本当は恨んでもおかしくない相手なのに今もこんなに…」
ロンは感慨深げに言う。
「そうよ。それが家族よ」
良き理解者、良き参謀と化したノーマーク。
「ジオ?ねぇ、総力戦よ」
「ええ、私も力を尽くす。ノーマークそして来たみたい…あれよ」
ジオは船のデッキにみんなを集める。
「何かが迫っているとしたら、周辺の海は警戒態勢に入る、当然ああいう人も来る」
本船の横に中型のクルーザーが付く。
中から銃を持って、本船に飛び移り、乗船客から金品を巻き上げる。
「彼らに帰る船を譲って貰う」
「だけどこの海域は安全だって」
タップ。
「どうやって彼らを呼び寄せたの?」
タワーが心配そうな顔でジオを見る。
ジオは、大きな目を軽く瞬きする。
(ジオはウィンクが苦手らしい)
「で、コイツらどうする?」
締め上げた首にタワーの指が入って今にも死に至らしめる勢い。
「……グロリアもその弟、ガイもあたしが面倒見たのよ。あたしを誰だか忘れた?ってジオが言いそうね」
と、ノーマークが微笑む。
黙って頷くジオ。
「その辺にしといてタワー」
「そう?…了解」
彼らを勢い良く床に叩きつけた。
「船は頂くよ」
「ドクターがいない内にあたしらはここを出なくちゃ」
双子とその姉の三姉妹、ポーとトーとフーは息の合った所を見せていた。
「でもグロリアは怖い」
背丈が2㍍近くある三姉妹はよく見張り番に回されていた。
長女のポーと次女たち、トーとフー、年齢は21と20と近い。
「へムル、日本人ちゃんと捕まえたかな?」
へムル、颯爽とした少年の名前だ。
「大丈夫よ」
「もうそこまで来ている。あの二人も見えるわ」
マルコムは己の分身(彼の視覚聴覚触覚)を島の彼方此方(最大7カ所)に衛星のように飛ばして警戒を重ねている。
彼は衛星の名をブルームーンと呼んでいる。
「なるほどね。グリーンの連中も本心から動いている訳ではなかったか」
と、悟るマルコム。
飛ばした衛星の形状は空を舞う巨大な無色透明の浮遊物で物質との接触、交わることにより初めて監視体制が確立される。
平時ではマルコムは生物と接触は敬遠していた。
危険行動が伴う動物相手では巻き添えを食う確率が高くなるためだ。
今まさに指導者の帰島、マルコムは形振りを構っていられなくなった。
マルコムは自分の隊に宣言する。
「帰島のタイミングを救出活動のリミットと考えてくれ。既にカウントダウンは始まってるぞ!」
マルコムは考えた。
様々な反応をするだろう。
留まりたい者は僅かな利権のために大局を見落とすだろう。
救出部隊を待つ者は物事の真偽を見誤るかも知れない。
救出部隊とて神ではない。
不信感から自力で島からの離脱を謀る者、彼らには彼らの勇気が試される。
諦めて何もしない者は、この私からすれば論外だが下手に行動を起こすよりは命拾いをするかもしれぬ。
そして指導者に取り入ろうと考える者まで。
やはり、この地には新しい指導者が必要だ。
新しい№1が、
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