第15話 29.スピの絵日記 30.太陽の街

今日の主役はスピ。

とても元気で明るい子。

正義感で動くと言うより、その場の空気で動く子。

本名は、須ノ上ひよ。

これは絶対本人の前で言わないで。

「本名は、須ノ上ひよ…」

ジーンにからかわれるこの頃。

「だから、それ止めれー!!」

もう、スピはカンカン。


いつしかジオのことをジオ姉と呼ぶようになったり、時折、ノーマークをノーマと呼ぶ。

ロンが天敵で、タップとは相性が良く、タワーとは張り合っているつもりでいる。

(全然敵わないくせに)

そしてノーマークをボスと思っている節もある。

ジオはやっぱり優しいお姉さん的存在のようでついつい甘えてしまう。


概要説明はスピに任せよう。ではスピ頼むね。

あ、あたしが…?

えっと、ここからね。

№4のマルコム・ショーというオジサンが、ある日、世渡り上手なジーンというお姉さんを刺しちゃいました。

№3のガイ・ディーゼル(上官)の命令だったので仕方がなかったようです。

№3は別のすてき(大富豪)な女性に目がクラクラ行っちゃって深い仲だったジーンと揉めちゃいました。

悪者はいつも男とは言うけど。

マルコム・ショーは、実は島思いの穏健派でした。

スピの目がウルウルしている。

日本人の側近を抱えているようで島の全体を知り尽くしている。

島(岳島)は元々が、日本の持ち物でしたという話はあまり浸透せず、ドクターが領土を主張するよくある話です。

「ちょっと、スピ何泣いてるのよ?」

ジーンが心配しているのはスピが泣いているからではなくて、

「だってマルコムが…」

ヤバいと戦くジーン。そこで一喝!

「マルコム・ショーはあたしを刺したの!もう、悲しくならないで」

「だって、これ見て」


泣き出すと三日三晩止まらない所や無茶をして時々ミラクルを起こすスピをジーンは非常に警戒している。

こんなところでアレやられちゃ敵わないわ。

スピを健気に見守ることにしたジーン。

お姉さん役のジオの絶え間ない苦労を痛感するジーン。

一方、島に降り立ってからの戦況はマルコム・ショーの隊は掻き乱されていた。

グリーンのベレー帽の部隊に所属する精鋭の戦力が殺がれたためだ。

ただ大佐は諦めないで次の戦略を立てている。すでに知将として名が通っているお方だ。

この出来事はマルコム等にもすでに伝わっていた。




20代の前半の女性ら三人が15~6歳の女性を責め立てる。

「ところで、あんたのホラームービーは、あたしたちを救いに来た解放軍を殲滅させたのよ」

一人の美少女がイタズラっぽい笑みを見せる。

「まったくあんたの存在がホラーだよ」

「これからどうすんだよ!」

10代前半の男の子がいきり立つ。

「彼らは味方じゃない。味方の振りして私たちを騙そうとしていたのよ」

「信じられない」

「あの街にはどうやって行くんだって私に聞いていたのよ」

三人の中のリーダー格が立ち上がる。

「信じられないけどここは元々日本人の地、彼らにならこの地を任せられる。あたしらが祖国に帰った後でも」

「僕もそれに賛成だよ。ここには娯楽がない。弟たちも元気がない。だから強い日本人に助けて貰う」

何処からか子供の(ような)泣き声が聞こえる。

「待って誰か来る」

「しっ、ちょっと声が大きい」

「ジーンの嘘つき!もう、みんな知ってるじゃん!あたしの名前」

「良い名前じゃない。須ノ上ひよってさ。日本人っぽくて」

「本当にそう思う?」

「ほら、行くよ!ひよこちゃん」

スピとジーンが通り過ぎると男の子がついて行こうとする。

呼び止めるでもなく、通り過ぎる男の子に

「ほら、これ持って行きなさい」

と、リーダー格は1台のスマホを投げた。

「サンキュー」

受け取った男の子は実に颯爽としていた。

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