第14話 27.Bye-bye Dr.Island 28.お宝探し

(「僕たちの住まいはここじゃない!」)

島に隔離されていた少年少女たちの14名が暴動を起こした。


これはただのきっかけに過ぎない。

一方兵士たちの中にも指導者の不在が続き、Dr.islandの№2のG・ディーゼルと№4マルコム・ショーの間で戦略的状況判断にブレが生じ、それが大きな溝となった。

№4は民間人側に付き、被験者たちの解放を図った。

(「やったよ!№4アンタは英雄」)

しかし、それが大きな間違いだった。

強い催眠効果のため、すべての被験者に与えた実験の個々の記憶は削除されていたが博士の人体実験は能力の覚醒と共に悪循環が予測されていたものをその時期をほんの少し早めただけだった。

そこに不都合が生じないように更に偏向催眠を施し、蓋をした。


外海で指揮を執る肩甲骨丈の一際鮮やかなグリーンが主体の七色の髪色の大佐は兵士の前に立ち、陣頭指揮を執った。

大佐の名はナターシャ。

ややつり目の女性指揮官。

「あの子(ジオ)は何の罪もないあなたたちに何をやったのか?」

大佐は睨む。

「博士の言いなりになり、執拗に拉致監禁を重ねたか」


博士(指導者)の不在、その主たる理由は戻るに戻れない場所に博士の所在があるからとあった。

仮にこの場に博士が居合わせたなら民間人側に付いた№4のマルコムを躊躇せず消していただろう。

それは何故か、それは指導者が束ねきれないほど彼らは被験者として余りに未成熟だったからだ。

外部と連絡を取っていた№4のマルコム。

「あ~もしもし…えっ?味方はこれだけ!?」

グリーンのベレー帽を被った私設軍隊が独裁国家の体を為すかの島を既に外から解放と攻略にな向かっていた。

「グッバイ岳島、消えてなくなれ」


№2のG・ディーゼルが怖れていたのは指導者の存在だけではなかった。

「これよ!」

外海から侵入を果たした男女が入り乱れた精鋭部隊。

血気盛んな屈強な女性隊員が指指す。

そこに可憐な美少女が蹲る。

「ごめんなさい。こんなことしたかった訳じゃないのよ」

一瞬でベレー帽の部隊が滅んだ。

「こんなこと…ごめんなさい」

女は泣き崩れた。

暗がりの中、懐中電灯の灯りだけが辺りを照らしていた。






「何でまた、あんたと出なきゃ行けないの?」

ロンが喚く。

「だってあたし、病人よ」

クールに受け流すジーン。

「本当、病気よ。まだ彼を憎んでるの?」

そこに更にクールなノーマークも加わって修羅場と化す。

「そうよ!あんたたちを狙ったのはあんたたちがあたしを苦しめてるもんだと思ったからよ!」

開き居直るジーン。

「あら、彼を傷つけたみたいにかしら?」

「ジーン、今みたいに正直になるって大事なことよ」

「分かったわ。もう一つだけ正直に話すわ」

ロンの顔をじっと見つめて、

「あなたの髪型、今日のスカートとぜんぜん似合ってないわ。このまま出るのは考え直して」

ノーマークは吹き出すのを必死に堪えた。


ムーンとチョ(チョチョス)に乗せられた船も港に着いて、乗船する船も変わり、今度は完全に客として乗り込んだ。

ノーマークが篠前恭子、透の母親にトランスフォームして、お付きの者に扮したチームと船のタラップを上る。

「あれ、静か」

「問題ないでしょ」

「なぁんだ。スピもやればできるじゃん」

「そんな訳ないよ。また時間(お昼時)が来るとピーピー泣き出すわよ」

………。

「本当静か」

「大丈夫よ。たまには」

「何やってんの?ロン、タップ」

それに気づきタワーが話しかける。

「スピのことね。さっきジーンといるの見かけたけどジーンに人差し指立ててシーって見なかったことにしてとか口を挟まないでって意味かな?この指」

「タワーそのせい?」

ロンがタワーに上目遣いの態度を取る。

「スピってもしかしてこの船に乗船していないって超笑えるんだけどマジ!マジ!嘘?マジ?」 

タップがこうやって口八丁手八丁でふざけるも、すべてロンがノーマークに報告している。

「あんたららしいわ」

と、返答。


「須ノ上ひよ。ピヨピヨ…」

頭を押さえて激しく動揺するスピ。

「お願い、この名前(こと)は黙っていて」

「だったら言うことを聞きなさい」

「うん」

そこは思いっきり素直なスピ。

「今からヘリに乗ってまたあの島に戻る」

「何でもするわ」

「あたしを治して、ピヨピヨちゃん」

「お願いだから、それ止めて」

「8年前よ。あたしたちはじっと息を潜めて来たの。あたしは博士の被験者になることは最後まで拒んだ。でも当時の彼に滅多刺しにされた…ウフフッ」

「やっぱり、アンタ怖い」

「まだまだよ。怖がるのはピヨピヨちゃん」

「もぅおーそれ止めてって。で、あたしは今アンタのヒーリングをやっているのよ。他にメリットないわよ。治ったら鶏みたいに絞め殺すの?刺し殺すの?どっち」

「馬鹿言いなさんな。……彼よ!」

「今度は何?」

「問題は彼の残したお宝、№3のガイ・ディーゼルが兵で固めてお宝にありつけなかったのよ」

「それじゃ慰謝料ってところね」

「因みに№2が実の姉のグロリアってことはピヨピヨじゃなかったスピも知ってるわよね?」

「………」

ポカーンとして、えーとアレがコレですぐに険しい顔をする。

スピの思考は分かり易い。

「知らなかったのかあー結構長いのに」

ジーンも呆気に取られた。

「うん!」

とても元気なお返事ね。

状況を飲み込めてないスピがとても気掛かりなジーン。

スピ、誘拐しといてなんだけど……(結構)先が思いやられるわ。

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