愉快にキャラ立ちした面々が送る、人族と蛮族の共存を巡る物語
- ★★★ Excellent!!!
本作品の特徴はなんと言っても「打ち合わせを含めて綿密かる濃密に立ったキャラ」と「人族と蛮族の共存というテーマを様々な側面から掘り下げるシナリオ」にあります。
主人公パーティは事前の打ち合わせによって予め「どういった関係なのか」が大まかに決められており、それをもとに「女性三人での三角関係」や「パーティ最年長の保護者枠と彼に養育される少女」といった、見ごたえのある軽妙なRPを生み出す下地がOPから丁寧に整えられています。一方でTRPGのリプレイらしくアドリブで決められていく部分もあって、賑やかなやりとりは全体的にライトな楽しさを提供してくれます。
一方でそれだけでは終わらないのもいいところで、パーティが人族と蛮族、第一の剣と第二の剣の陣営という本来対立している陣営のキャラクターの混成で成り立っており、シナリオではこの「対立する陣営の協調と闘争」が前面に押し出された骨太なストリーが展開されていくのです。一見コミカルなやりとりをしているプレイヤーキャラクター達にも所謂重い過去や秘匿された設定などが存在しており、随所で重厚なストーリー展開に華を添えてくれます。
総じて、「締めるべきところは締めつつも小気味の良く楽しいRPが展開される」良質なTRPGリプレイとなっております。ソード・ワールド2.5(もしくは2.0でも「)の世界観に馴染みがあれば背景となる情報もすぐ頭に浮かんですぐ楽しめる作品です。是非読んでみてください。