3.3 ミドル1:楽園潜入

■エデン到着


(アイリーン滞在開始から)7日目昼にエデン到着。こっちの世界に来てから8日目。


……砂漠の抜け道を通り、下水道を通ったPCたち。

異臭漂う下水道に辟易としながら、エデン内市街地裏、目立たないマンホールから顔を出しました。

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ここは、もう既に人蛮統合国家「エデン」。

アイリーンと同じく、なじみ深い人族の街だ。ただし街の規模感が大きく異なり、エデンは大国の首都並みの大きさと言える。

町中心につながる大通りは多くの人族が行き交っており、特徴的なのは町中央に鎮座する巨大な円形の塔だ。あれがテイダン神殿らしい。

そこの頂上部にはヴァルハラ内を照らし続ける人工太陽アポロンが存在している。

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リアトリス : マンホールからひょっこり。「……二度と通りたくないなぁ、下水道とか言うものは……」

アミ : 「うげー、前やってた下水道掃除の依頼思い出したんだけどー……」

リアトリス : 「ま、じゃあリヒトから聞いた通り、地図貰いに行って……それからティダン神殿とやらにいっておくかい?」

ガイゼリック:「うむ。では、事前に話した通り、神殿へは儂が行っておこう」

リアトリス:「頼む、ギズ……。ティダン神殿とかさ、私はもう絶対入りたくないから、適当にそこらへんでいろいろ噂でも聞いておくよ」

マリーナ:「マリーナも~」ぺっぺってやる~。

リアトリス:「『姉妹』でいっしょにウインドウショッピングでもするか、マリーナ」ウインク。

マリーナ : 「する~♪」

アミ : 「それじゃああたしはギズについていこうかな?」

”ヘーゼル”:わ、私はどうしましょう……。気持ちとしてはマスターと一緒に居たいのですが、一応人族ですので。マスターの代わりに神殿に行って務めを果たすべきか……


GM : では、皆さんがそう話しながら、表通りに出ていざ別れようとしたところ……一人の女性にぶつかってしまいますね。ぶつかった拍子に女性の抱えていた荷物が落ちてしまいました。

リアトリス : おっと、潜入初っ端からトラブル。「ああ、失礼。レディ。貴方ほどの美しい方を視界に入れていなかったとは、私もとんだ不調法だ」

女性(GM) : 「いえ、こちらこそ失礼しました。親切にどうもありがとうございます」……こんな感じの綺麗な印象の女性です。


緑髪の、落ち着いた雰囲気の女性が立ち絵として表示されます。

首元には、なんらかの首飾りらしき鎖が見えます。ペンダントらしいのですが、具体的にどんな首飾りなのかが服に隠れてよく見えません。



■謎の女性


PL一同:……。

リアトリス:えー……一瞬、緑髪に反応して、反射的に首元にかかっているペンダントを見やるけど、まずはそのまま拾うの手伝いましょう。


緑髪、20代~30代くらいに見える女性、ペンダント。

……となると、前に聞いた情報から自分たちの探し人のことを思わず思い浮かべるPC一同。

パーティの探し人「レティーナ・アルトゥール」は、緑髪で、奇跡の首飾りを持っているはず。

そして2話で明らかになった時間の流れのずれのことを考えれば、レティーナ・アルトゥールは現在20代後半~30代前半になっているはず……

なので、この女性も一応特徴に合致するのです。

突然の邂逅にどうする?という雰囲気で顔を見合わせる中、女性の方から声をかけてきます。


女性:「ここらで見かけたことのない人達ですね、エデンに初めていらっしゃった方ですか?」

リアトリス:どうするこれ。「はい」って答えてもいい気がするんだけど、下手にこたえるとまずい気がする。

女性 : 「......三年間この街には新規者はいないはずなのですが、まあそういう事もあるでしょう」

一同:ほーらー!!

”ヘーゼル”:エデン怖くないですか? しょっぱなからでストラップですか!?

リアトリス : ご、誤魔化したい。こほん。「いえ、実は、その……あまり体が強くなくて。とても久しぶりに外に出たんです。人の波に酔ってしまって」と言って、困ったように笑う。 「はじめて、ってわけじゃないんですが、まあ、街に慣れてないのは事実です」

マリーナ : 「です~」

女性 : 「ふふふ、そうでしたか。ところで、素敵な眼帯ですね?」

リアトリス:やだ~!!!!この人怖い!!!!(一同笑)

アミ:あんた絶対怪しまれてるでしょ! 眼帯って!! バジリスク!!


リアトリスは魔眼を封じるため、普段右目に眼帯をつけているのですが。

いかんせん目立つので、眼帯=バジリスクと紐づけられかねないのが怖いところ。


リアトリス : 「……そういっていただけると嬉しいです。幼いころに流行り病で目をやってしまってからずっとこれなんですが、こうして眼帯をしていると、いろいろと言われがちなもので」ちょっと目を伏せて。

アミ:いけしゃあしゃあと嘘を……

リアトリス:あれだけ「バジリスクだってことはバレないように」ってあらゆる方面から言われたんだよ! 嘘くらい吐くだろ!!(必死)

女性 : 「病で片目を……」じろじろリアトリスは見られた感じがしますね。

リアトリス : くっ……「その……眼帯って、あまりよくないイメージでしょう? 蛮族だと間違われたりだとか、いろいろ。だから……」ため息つきつつ、瞳を潤ませる。

マリーナ : 「おねえちゃん、なかないで~」

リアトリス : 「ごめんね、マリーナ。しっかりしてないお姉ちゃんで」


白々しい嘘ながら、必死で誤魔化そうとするリアトリス。

PL一同笑いながら、「いや、これ、実際バレるとまずいんだよね?」とざわざわ。


リアトリス:このまま逃がしてくれ~~~~(一同笑)

女性 : (コロコロ)(突然のシークレットダイス)

リアトリス:ねえGM!? そのダイス何!? やめて!!!?(一同爆笑)

”ヘーゼル”:こっわ。あまりにも怖すぎるでございます。

GM:ふむ……(メモメモ)


女性はじっとPCたちを見つめていたように見えましたが……

不意に、深々と頭を下げます。


女性:「これはとんだご無礼を働きましたわ。失礼のお詫びと言っては何ですが、よければこの地図と軽い説明を私がいたしましょうか。あまり外にお出にならないなら街の配置などお詳しくないのでは?」

リアトリス : 「まあ。ありがとうございます、お優しい方」口に手を当てて目を丸くする。

マリーナ : 「ありがとう~♪」

リアトリス:……許され? 許された? バジリスクだって突き出されなくて済んだ??

”ヘーゼル”:許された……んじゃないでしょうか……いえ、なんもわからんですが……

ガイゼリック:わからん。が、まあ、話の流れに乗っておこう。実際、説明を受けられるのはありがたい。

女性 : 「では、こちらが現在のエデン内地図になります」


女性が説明を始めると同時に、画面に地図が表示されます。


一同:お~。


女性:「西側が人族領に隣接していたこともあり、人族主体の市街区となっております。

逆に東側は蛮族領土に隣接していることもあり、スラム街となってますね。

治安もあまりよろしくないので特に用事がない限り近づかないほうがよろしいかと。

街中心に国教であるテイダンの神殿があります。塔のような形状をしており、頂上部には人工太陽がありますね。

北部にはテイダン以外の神殿区画ですね。

最後に南部にはこのエデン内の食糧基盤を支える大農園地帯が広がっております」


女性が順に説明するのをじーっと聞くPCたち。


マリーナ:シティアド(※シティアドベンチャー)の気配~。

リアトリス:まあ、シティアドするにしても、今はこれだけ聞けば十分かな。

ガイゼリック:うむ。行きたいところへの道のりは大体わかったな。

GM:さて。女性はそれだけ説明すると、にこにこと微笑んでいます。ほかに聞いておきたいことありますか?

リアトリス:あー……

アミ:なんかある?

リアトリス:ほら、……一応、カマだけかけとこうかなと。

アミ:あ。まあそっか。


先ほど出合い頭にPL陣の脳裏をよぎった、「この人がレティーナ・アルトゥールじゃないか?」という話。

若干やりとりにひやひやしたこともあり、この女性とあまり長話はしたくないのですが……

何もせずに逃がしてしまうにはあまりにも探し人に特徴が近すぎる。


リアトリス:というわけでギズ、ちょっと付き合って。

ギズ:ん? おう。

リアトリス:この女性に「ありがとう。貴方みたいな親切な方に会えて本当によかった」と微笑みついでに、くるっと振り返ってギズを見る。「ああ、そうだ。ギズのおじさま?」

ガイゼリック:「ふむ」

リアトリス :「アーシャ・アルトゥール?さんの依頼の話、この方に聞いてみたらどう? 確かおじさま、ここに落ちてくる前は、人探しを頼まれてたって言ってたよね。『レティーナ』って名前の……」

アミ:またいけしゃあしゃあと……

女性 : 「…………」


じ、と首をかしげてこちらを見やる女性を横目に、ガイゼリックは深くうなずきます。


ガイゼリック : 「左様。儂らは元は人探しで赴いておってな」

女性 : 「依頼を受けてここまでいらっしゃったのですか?」

ガイゼリック : 「ああ。この魔域の外で受けた依頼さな。まぁ、その後魔域へ飛ばされたのは不幸な事故であったが……我らも我らでこのまま呆けてるつもりもないでな。少しずつではあるが情報を集めておるわけなのだよ。不用意に我らが飛ばされたということは、探し人がここへきている可能性もさもありなん」

女性 : 「そうでしたか…………残念ながら私はレティーナ・アルトゥールという人物は知らないですね」

アミ:あら残念。

ガイゼリック:……ふむ。

女性 : 「ああ、申し遅れました。私、レアと申します。しがないティダン神官をしております」


レアと名乗った女性は聖印を取り出し、丁寧に礼をします。

本当に「レティーナ」とは無関係なのか、誤魔化されたのかはわかりませんが、違う、と言われては手の出しようもなく。


ガイゼリック : 「失敬。儂はギズという者、つまらん老いぼれよ」

レア : 「ギズさん、ですね。そちらの素敵な眼帯のお方のお名前は?」

リアトリス:げえ、こっちに話振るなよ。この隙にさっさと姿くらませたいと思ってたのに……

GM:させませーん!

リアトリス : くっ。「……リアン。リアンと申します。こちらは妹のマリーナ」とっさの偽名。

マリーナ : ぺこり。

“ヘーゼル” : 「従者の“ヘーゼル”と申します」

アミ : 「アミ・フォセッタ。ヘーゼルと同じパーティーのよしみで一緒に行動してるわ」

レア : 「パーティー???」

アミ:……えっ? そこに疑問符つけるの?

レア:「皆さんは冒険者なのですか? これはずいぶん懐かしい単語を聞きましたね」

アミ:えっ……

ガイゼリック : 「やはりこの街では物珍しいかね」

レア : 「ええ、エデン内では争う事は神官たちが対応しますからね。冒険者という粗暴ものの役職は淘汰されました」(さらり)

PL一同:こっわ!!!


当然のように自分たちの常識が通じないことに突如戦慄するPL一同。


アミ:もうこの街、なにが地雷かわかんないんだけど!! 怖すぎるんだけど!!

マリーナ:沈黙は金~?

リアトリス:なんかこう、常識がまるっと違う気がする……。

レア : 「……ところで皆さまエデンの住民証明票はお持ちですか?」

一同:住民証明票???

リアトリス:言った傍から常識外の言葉が出てくる!!

レア : 「皆さん、エデン内情に疎いようなので説明すると。エデン内は完全な鎖国体制を築いてから、全住民に証明書を配布しまして。それがなければ買い物、移動手段等のサービスを一切を受けることが出来なくなっているのです。もしそれをお持ちでないならば、役所の方に行って申請に行かれたほうがいいかもしれません」

ガイゼリック:……はあ。面倒な。いや、知れてよかったが……

マリーナ : ふかぶかとおじぎ~。

リアトリス:「……ご親切に、ありがとうございます」心からの笑顔。……うわーん。これ絶対こっちが不法入国者なのバレてる!! その上で親切サンキュー!!(一同笑)

レア : 「ええ、こちらこそ荷物を拾っていただきありがとうございます」といってリアトリスに握手を求めますね。

リアトリス : ふふふふふ。なんでここで私指名なんだよ。したくねーが?(素直な気持ち)


さっきなにか、出会い頭に謎のダイス振られてましたからね。

ひくっと顔を引きつらせながら、ここで断るのも怪しすぎると手を差し出しかけるリアトリス。

そこをガイゼリックが、話題を変えて遮ります。


ガイゼリック : 「時に神官殿。ベルベットという名に聞き覚えはないか?」

リアトリス : さ、サンキューギズ。話がそれたのと共に自然に手を戻す!

レア : おや。「……ベルベットちゃんのお名前をどこでお聞きに?」

ガイゼリック : 「"ちゃん"?」

レア : 「いえ、彼女とは旧友でして。実は私も2日前から行方知らずの彼女を探していたのです」

PL一同:行方不明!?


ここで突然の新情報。


“ヘーゼル” : 我々の探し人、行方をくらませすぎでは??

マリーナ:話がややこしくなる予感~。

レア:「……もしよろしければ、あとでお話を伺っても良いですか?」

ガイゼリック : 「いや、あとでと言わず。これも何かの縁と見た。詳しく話を聞かせてもらえんか」

レア : 「いえ。まずは住民証明書を発行してくることをお勧めします」

ガイゼリック:……む。

レア:「……この街の現状がよくお分かりになられるとおもいますよ」


意味深な言葉。


レア : 「……それともし申請でお困りのことがあれば。こちらの酒場にいらっしゃってください。今私もそちらでお世話になっているので、皆様の力になれるかも知れません。店主も親切な方なので」


レアはさらさらとメモを描き、地図上の一か所に印をつけました。


ガイゼリック : 「ふむ……、では後ほど伺わせてもらおう。ともあれ、まずは役場かね」(と言いつつ、リアトリスとマリーナに、お前ら先行ってこい視線)

リアトリス : OK。「そうですね。レアさんからもおすすめされましたし、先に我々で役場へ行ってきますね」というわけで先に離脱を……

レア:させぬ。「おっと足がつってしまいましたぁ」わざとらしくリアトリスに倒れこみます!


一同爆笑。


リアトリス:ちょおっw ダメだ! もうなんかダメだ、この人からは逃げられない!笑

マリーナ:GMの『絶対逃がさない』って意志を感じるの~!

リアトリス:観念しました。紳士気取ってるPCがまさか、ここで避けて淑女を地面に叩きつけるわけにはいかない。正面から受けとめますよ……w


ため息をつきながらも、倒れ込むレアに手を伸ばし、身体で受け止めるリアトリス。

レアは、倒れこむ拍子に耳打ちします。

「その眼帯、決して誰にも見せてはいけませんよ、バジリスクのリアンさん」


リアトリス : ……はあー……「ありがとう。本当に親切なお方」苦笑して、助け起こす隙にこっちも耳打ち。

レア : 「失礼しましたわ。では、皆さま。また後程お会いしましょう!」といってレアと名乗った女性はその場を去っていきます。

リアトリス : 大きくため息をつきつつ、「バレてるんだもんなぁ……」とぼやく。

マリーナ:あのダイス、魔物知識判定だったかな~?

ガイゼリック:だろうな。じっと見てきた、とは言われたしな……。

リアトリス:まあ、うん。ポジティブに考えよう。「子犬、ちょっとこっちに来い」

“ヘーゼル” : 「むむ。はい」

リアトリス : 「変装させろ。眼帯なしの「私の顔」を幻影で被せるだけでいい」……助言はありがたく聞いておこう。

“ヘーゼル” : 「成る程。承知致しました」【ディスガイズセット】を使います。(コロコロ)達成値は21です。「はい、出来上がりまして御座います。あなた様の御姿に、少しでも近づけていれば良いのですが……」

リアトリス : 「ありがとう」と言っておでこにキス。

“ヘーゼル” : もー。

アミ : 「……」渋い顔


謎の女性との邂逅で、幸か不幸かエデン内の「常識」を薄々とわからされてきたPC達。

まずは忠告に従っておこうと、住民証明書の発行をするために役所に向かうことにしたのでした。


リアトリス:……第一印象から、もう、嫌な予感しかしないんだが。住民になるためには第二の剣の神の踏み絵をします、とかそういうこと役所で言い出さないよな……?

GM:はっはっは。


――あとから思えば、その方がマシだったかもしれない。

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