PERTH
砂樹あきら
第1話 接点(1)
すべてのことに時期がある。
旧約聖書 コーへレート書 3章1節
「ここで間違いないのか?」
鋭い目をした男が尋ねた。
彼らはこの不思議な場所に一堂に会していた。
二つの大きな石の壁が扉のように合わせられ、そそり立つこの場所に。
紅い袴をはいた巫女服姿の少女がコクリとうなずいた。
長い黒髪を後ろで束ね、翡翠色の大きな瞳がある場所を見つめていた。
「生前、
「ここが…ね」
「
「……」
「そりゃ、記憶力、良すぎじゃねぇのか。8歳か9歳そこそこのガキがそこまで覚えてる方が不思議だね」
「俺は
「あ~、はいはい。勝手に言ってろ。筋肉バカのくせに」
「体力のない頭でっかちよりゃぁ、数段マシだね」
「二人ともこんな時にそんなことやめてくださいっ」
蒼い顔で金髪に青い目の外国人が騒いでいた。
「ハリー、なにビクついてんだよっ!お子ちゃまだな~」
「大丈夫だって、心配するな。俺ら二人がいれば怖いモンないって」
「んんんっ!」
「あ、訂正。三人。」
「バカ…。リリーを忘れるなんて」
「俺はできることなら連れてきたくなかったんだよ!」
「それは
「なんだよ。悪いのか?」
「いや、別にいいんだけど。」
「その奥歯に物が挟まった言い方、やめてくれ」
「いいのか?」
「何が?」
「バラして?」
「・・・・」
「・・・・」
リリスの顔が真っ赤になった。
それを見た國充も真っ赤になった。
「・・・・」
直之はこれ幸いと話題を変えてきた。
「しかし、」
「ん?」
「
数歩進みながら、目の前にそびえ立つ壁を見てぽつりとつぶやいた。
國充も頭を掻きながら彼に近づいた。
顔は照れくさい顔から元に戻っていた。
「ああ。惜しい人を」
「でも、」
悲しそうな目をした少女はうつむきながら呟いた。
「義父は自分の死期をわかっていたと思います」
「?」
「自分が愛用して琴がひとりでに鳴り始めたのです。それを聞いてから何かを悟ったように白装束に身を包み、舞を舞い…そして、」
「そうだったのか」
(私をご自分の娘のように愛してくださった。)
「ま、その遺言でもあるわけだが」
「『この地の封印には必ず神道、密教、キリスト教の三派を揃え、事に当たること。』だろ?」
「リリス、その理由も聞いてるのかい?」
「はい。あの、」
PERTH 砂樹あきら @sakiakira
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