第二十六話 混戦
『まったく、とんでもないところに乗り込んでくれたものだの……。あやつの様にはなりたくない一心で、余計な真似をしたのではないか? 別にあのような者を見殺しにしても、誰も責めはせぬであろうに』
ベルゼビュートが呆れた様に、だが、どこか楽しんでいるかのように言う。
俺は
力は奴の方が上だ。
「ゴブァァァ!」
「うらぁっ!」
弾いて即座に前に転がり、床を蹴ってその場を逃れた。
「ああ、だけど、俺が俺を責めるんだ。俺に、理想を通せるだけの力を貸してくれ、ベルゼビュート!」
魔獣達が陣形を組む様に動く。
厄介な
「《イム》! 《イム》!」
二回続けて魔法を発動する。
まずは敵を暴くところから始まる。
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種族:《ゴブリン》
状態:《通常》
Lv:10
VIT(頑丈):21
ATK(攻撃):23
MAG(魔力):8
AGI(俊敏):21
称号:
《鬼族[--]》《底級魔獣[E]》
特性:
《暗視[E]》《大繁殖[E]》
闘術:
《闇足[E]》
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……性能的には
それに
単体なら余裕を以て対処できるだろうが、複数なのが厳しい。
闘術の《闇足》は知っている。
足の裏に闘気の膜を張り、足音を消し、かつ歩行速度を早めた移動ができる、というものである。
利便性が高く、《
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種族:《ホブゴブリン》
状態:《通常》
Lv:20
VIT(頑丈):58
ATK(攻撃):54
MAG(魔力):18
AGI(俊敏):45
称号:
《鬼族[--]》《低級魔獣[D]》
《火の素養[F]》
特性:
《暗視[E]》《大繁殖[E]》
闘術:
《闇足[E]》《響声[D]》
《火装纏[D]》
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……さすがに強い。
《響声》は闘気を腹に溜めて大声を上げて相手を退かせる技で、《火装纏》は手にしているものを発火させる技だ。
「《イム》!」
続けて、
マニの《炎槌カグナ》では通らなかったが、《太古の知識》を有する《魔喰剣ベルゼラ》を用いての《イム》ならば通るはずだ。
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種族:《ゴルド・マイマイ》
状態:《通常》
Lv:30
VIT(頑丈):24
ATK(攻撃):14
MAG(魔力):28
AGI(俊敏):78
称号:
《中級魔獣[C]》《黄金色の魔蝸[C]》
《水の心得[D]》
特性:
《暗視[E]》《オド感知・底[E]》
《金の渦殻[C]》《黄金の煌めき[C]》
闘術:
《毒水[D]》《粘弾[D]》
《水浮月[C]》
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通った!
レベルに反して耐久力はなく、攻撃力も低い。
だが、俊敏性は相応にあり、魔力も最低限は持ち合わせている。
それになにより、厄介そうな特性と闘術を持っている。
【《金の渦殻[C]》】
【黄金色の輝きを放つ渦模様の外殻は、D級以下の魔法干渉に対して高い耐性を持つ。】
【また、打撃攻撃に対して通常時の[VIT×4]相応の耐性を誇る。】
……ギルバードの《イリュージョ》を弾いた特性か。
「これはさすがに奪えそうにない……か」
『妾の力で無力化はできるが……貴様には適合できぬであろうな。性質が違い過ぎる』
【《黄金の煌めき[C]》】
【黄金の煌めきは人間種・魔獣・悪魔を問わず、あらゆる生き物を引き寄せる。】
【また、魔力の低いものを魅了し、崇拝させ、自身の都合よく扱うことができる。】
……なるほど、
だが、集められるのは人間だけではなかったのだ。
逃げ回って,
最後に気になるのは……これか。
あまり聞いたことがない上に、C級の闘術だ。
【《水浮月[C]》】
【自身の身体を瞬間的に液体化させ、物理攻撃を透過させる。】
【魔力消耗が激しいため、瞬間的にしか発動することはできない。】
な、なんだこの闘術は。
あの素早さの上にこんなものを持っていたのならば、真っ当に戦っていたのでは倒しきれるはずがない。
俺の剣を擦り抜けたのも《水浮月》の力だったのか。
こんな闘術が
レベルが高く、《イム》が通り辛い相手とはいえ、この闘術を保有していることが知らされていないのはあまりに酷い。
……前にも予測していたが、やはり、自身の旨味がなくなるからと討伐経験のある者が黙っているからなのだろう。
冒険者間の脚の引っ張り合いは珍しくはないが……これで今までに無用な死者が出たこともあったのだろうと思うと、あまりにやるせない。
「ゴォッ!」
……確実に
D級二体を捌くのは危険過ぎるし、距離を置いて隙を窺っている
「《プチデモルディ》!」
剣先から魔法陣が輝き、その中央を通り抜ける様に、金色の瞳を持つ悪魔の少女、ベルゼビュートが姿を見せる。
「フハハハハ! やはり自分の身体があるのは、気分がよい!」
ベルゼビュートが腕を振るい、右側の
「這いつくばっておれ、下等魔獣めが! この妾の御前であるぞ!」
ベルゼビュートに怯え、左の
今が狙い目だ、《魔喰剣ベルゼラ》に魔力を溜めて《暴食の刃》を放ち、腹部を斬った。
「ゴヴ……!」
接触部から、
俺がもらうのは《火装纏》だ。剣を振り切ったとき、確かに奴の力が俺へと入ってくるのを感じる。
この闘術ならば、
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