第216話「魔王ルキエ、観光事業を立ち上げる(4) −すぱ・りぞーとの完成−」

 ──皇太子ディアス視点──




 勇気を、試されているのだと思った。

 大公カロンに、なによりも、魔王領に。

 退くわけにはいかなかった。


(自分はドルガリア帝国の皇太子、ディアスなのだから)


 そんなことを思いながら、ディアスは魔王領に足を踏み入れた。

『すぱ・りぞーと』は国境のすぐ近くだ。

 チラシの地図と案内板を頼りに進んでいくと──



「へい。らっしゃい」



 受付のミノタウロスが出迎えてくれた。


「魔王領の『すぱ・りぞーと』。別名『勇者温泉』に、ようこそ、です」

「チラシをいただいた者だ」

「お名前、うかがってもいい、ですか?」

「少し前に帝国からの客人がいらしただろう。その身内の者だ。名を、ディアスと申す」

「ディアスさま!?」


 同行していたレイチェルがおどろきの声をあげる。

 まさか本名を名乗るとは思っていなかったのだろう。

『すぱ・りぞーと』はチラシを持っていれば入れる。ディアスが本名を明かす理由はない。


(だが、それでは私が、逃げたことになってしまう)


 魔王領にはソフィアがいる。リアナもいる。

 ディアスの姉妹ふたりが暮らしている国で、恥ずべきことはできない。


「ああ。大公カロンさまの、ご身内、です、ね」


 受付のミノタウロスは納得したようにうなずいた。


「遠いところから、どうも」


 深々と頭を下げてから、ミノタウロスは、


「『すぱ・りぞーと』には、ソフィアさまもご協力、いただいてます」

「ソフィアが?」

「お仕事をされたいと言って、色々と『でざいん』『れいあうと』を担当して、くれました。自分も、ソフィアさまの、部下のようなもの、です」

「……ソフィアが、そんなことを」


 信じられなかった。

 帝都では離宮に閉じ込められ、表に出ることもなかったソフィアだ。

 もちろん彼女が『ノーザの町』に派遣されてから変わったことは知っている。

 けれど、魔王領で進んで仕事をするようになっているとは、思いもしなかったのだ。


「ソフィアさまのお身内の方なら、だいかんげい、です」

「そ、そうか」

「では、温泉ですが、どちらを選ばれますか?」

「どちらを、とは?」

「『すぱ・りぞーと』には『初級コース』、『上級コース』あるです」

「なんと!?」


 ミノタウロスは2枚の羊皮紙ようひしが差し出した。

 そこに書かれていたのは──



────────────────────


・ゆったり楽しい初級コースへようこそ!



 純粋に、魔王領のお風呂を楽しむためのコースです。

 新たに湧き出した温泉のほか、自慢の『フットバス』『しゅわしゅわ風呂』をご用意しております。

 入浴中は3種類の『鹿威ししおどし』をお選びいただけます。


 じまんのお風呂をたっぷりと楽しんだあとは、お土産所 (建設中です)でのお買い物をお楽しみください。


────────────────────


・上級コースへようこそ! (真の『勇者風呂』を楽しみたい方へ)



 魔王領の温泉施設のほか、『勇者展示室』をご利用いただけます。

『勇者展示室』には、魔王領の錬金術師T (匿名希望とくめいきぼう)があばきだした、勇者に関する最新の研究成果が展示されています。


(勇者の生態についての研究となります)

(安全性は確認済みです)


 展示室で勇者世界に思いをはせて、温泉を楽しんだ後は『アビスルインダババの館』へどうぞ。


 名状めいじょうしがたい魔獣 (レプリカ)が、あなたをお待ちしております!


────────────────────



「…………む、むむむ」

「ディアスさま……」

「受付の方におたずねするが、大公カロンどのは……?」

「チラシを見ること、なく、上級コースを、選ばれました」

「ああ。あの方なら、そうだろうな」


 ディアスはため息をついた。

 

 大公カロンは好奇心のかたまりのような人物だ。

 そんな彼が、初級コースを選ぶわけがない。


「どちらを選ぶか迷っている私は、大公どのに敗北しているということか……」


 それを恥ずかしいとは思わない。

 自分がまだ未熟みじゅくなのはわかっている。

 必要なのは、それを乗り越えようとする思いなのだから。


「レイチェル。君はここに残るといい。君まで危険を侵すことはないのだ」

「ご一緒いたします。ディアスさま」

「ここをどこだと思っているのだ。魔王領の温泉だぞ。しかも『魔獣アビスルインダババ (レプリカ)』もいるのだ。大公どののお身内を危険な温泉に入れることはできない」

「いいえわたしは、ディアスさまの部下です」


 レイチェルは首を横に振った。


「ディアスさまは勇気を出して温泉に向かわれるというのに、どうして待っていられましょうか。どうか、最後までお付き合いさせてください」

「……そうか」

「は、はい。覚悟はできておりますから」


 ディアスとレイチェルの前には『ようこそ。すぱ・りぞーとへ!』と書かれたのぼりばた

 その脇には石碑せきひがある。

 石碑には魔王ルキエ・エヴァーガルドの名前や、管理責任者や技術者、温泉施設の建築に携わった者たちの名前が記されている。

 そこに『デザイン、文字作成協力:ソフィア・ドルガリア』の名前を見つけて、ディアスは思わず苦笑いする。


 石碑の横を通り抜け、ディアスとレイチェルは足を進める。

 その先にあったのは、石造りの廊下ろうかだった。


 まるでダンジョンの入り口のように見えて、ディアスは背中を震わせる。

 いつの間にかレイチェルが、彼の手を握っていることにも気づかない。


 彼は深呼吸してから、歩き出す。

 そして、受付のミノタウロスの『大人2名さま、ごあんなーい』の声を背に、彼らは魔王領の温泉施設に足を踏み入れたのだった。







「ば、ばかな! ばかなばかなばかな!! これが最新の勇者研究だと!?」


 ディアスは声をあげた。


 受付を通り、通路を進むと小屋があった。

 ひとがふたり、やっと入れるくらいのものだ。

 入り口はディアスが来た受付側にひとつ、反対側の壁にひとつ。

 上級コースを選んだ者は、ここを通過することになっているのだろう。


 小屋の壁には、いくつもの紙が展示てんじされていた。

 保存状態は悪いが、おそらくは勇者世界のものだろう。文字を見ればわかる。帝国にも、勇者が残した遺物がある。文字の解読は進んでいないが、勇者世界の文字かどうかは判別できるのだ。


 勇者世界の紙片しへんそばには、この世界の文字で書かれた文書があった。

 おそらくは、勇者世界の文書を翻訳ほんやくしたものだろう。

 解説文もついている。


 これこそが、魔王領最新の『勇者研究』の成果なのだ。


「……魔王領は、勇者について、こんなことまで把握はあくしているというのか」

「……ディアスさま」

「信じられない。これが勇者の生態とは……」


 ディアスの声が震えていた。

 目の前にあるのは事細ことこまかに記された、勇者たちの情報。


 それは皇太子ディアスにとって、予想外のものだったのだ。



────────────────────



SNSえすえぬえすは正しく使いましょう!」


 最近、SNSの利用による炎上えんじょうが増えています。

 あなたの言葉が、思いもよらない炎上を引き起こすことがあるのです!


 言葉には力があること、責任がともなうことを自覚してください。



※ 解説


「SNS」とは「スペシャル・ノータイム・スペル (特別な即時呪文そくじじゅもん)」の略と考えられる。


「特別な即時呪文」は、距離を超えて作用する火炎魔術であろう。

 この文書は勇者世界の、高位の魔術師によって記されたもので、弟子の魔術師に対して魔術の使用に関するいましめを記しているものである。


 この文書がここで途切れているのは残念である。

 勇者世界の資料の中から「SNS」という文字があるものを抽出ちゅうしゅつし、「特別な即時呪文」の研究を進めるべきだと考える。

 宰相閣下さいしょうかっか、許可をください。


 錬金術師T (匿名希望)



────────────────────


「……う、むむむ。魔王領は、これほどの研究を……」

「ディアスさま。他にもあります! これは……」


────────────────────



「横断歩道は手を挙げて渡りましょう」


 右見て左、左を見て右、もう一回右。

 あぶないよ。おしゃべりして歩くと、危険だよ。

 ほらよそ見、すぐに車が、とんでくる。


 横断歩道は手を挙げて、旗があったら掲げましょう。



※勇者世界で「自動車」というチャリオットが使われているのは周知の事実である。

 これは、それに対する注意を示したものであろう。


「おしゃべりして歩くと危険」というのは「魔術の詠唱えいしょうが完了してから進め」という意味であろう。

 チャリオットを回避するための身体強化魔術、加速魔術が、常用されていたと考えられる。

「横断歩道」についてだが、おそらくは挙手きょしゅ、あるいは旗状のマジックアイテムを掲げることで現れる、魔法の道ではないだろうか。


 これはかつて召喚された勇者に「虹の橋を渡りたい」と語っていた者がいたことからの推測である。

 現在、魔術で召喚できる橋の研究を始めたいと思っている。

 宰相閣下さいしょうかっか、予算をください。


 錬金術師T (匿名希望)


────────────────────


「勇者世界では身体強化と加速魔術が常用されていただと? 魔術で召喚できる橋だと!?」

「この文書は、子ども向けのようにも見えますが……」

「そうだよレイチェル。勇者世界では、子どもでさえそのような魔術が使えるということだ!」

「……そ、そんな、信じられません」

「……嘘であったら、どんなによかっただろう」


 勇者研究の発表は続いている。


『周辺環境のために、釣った魚 (※食人魚)は持ち帰りましょう』

『交差点で「飛び出しキッド」を見かけたら一時停止しましょう! (※不用意に近づくと襲いかかってきます)』

『公園での球技 (※火球魔術の使用)はご遠慮ください。大変危険です』


(※は錬金術師Tによる注釈ちゅうしゃく


 それらの文書には、ディアスの知らない勇者たちの姿が語られていた。


 いつの間にかディアスは、地面にひざをついていた。

 今まで抱えていた勇者へのイメージが、崩れ去ったような気がしたのだ。


「勇者とはこういうものだったのか。我が祖先は、こんな危険な人々を召喚していたのか……」


 弟のリカルドも、妹のダフネも、勇者になることを目指していた。

 もちろん、ディアスもそうだった。


 だが、それは不可能だ。

 勇者になるには「SNS (スペシャル・ノータイム・スペル)」を使いこなし、日常的に加速・身体強化魔術を使い、術式で橋を召喚する必要がある。

 そんなことは不可能だ。

 ディアスたちが勇者になることは、叶わぬ夢だったのだ。


「いや、そうではない。魔王領の者は超絶のマジックアイテムを作り上げているではないか。あれは勇者に近づくために違いない。しかも……それを実現している」


 改めて魔王領のおそろしさを実感する。

 勇者の生態を知り、それでも勇者に近づこうと挑戦を続ける者たち。

 それを率いる魔王の覚悟と、くじけずに進み続ける勇気。


 そんな魔王と友好関係にあること……それは、とても幸いなことだ。


「で、殿下!? ディアスさま。大丈夫ですか!?」

「心配させてすまないね。レイチェル。もう大丈夫だ」


 ディアスはひざを払って立ち上がる。


「先に進むとしよう。招待客が、無様な姿は見せられないからね」

「大丈夫なのですか……ディアスさま」

「なぁに。覚悟が決まっただけだよ」


 あれを見て心が折れなかった大公カロンを、ほこりに思う。

 あの人に……なにより、魔王領に負けるわけにはいかない。

 そう思いながら、ディアスは足を進める。


 やがて「カコーン」という音が聞こえてくる。

 見えてくるのは、湯気をただよわせる露天風呂だ。


『男湯』『女湯』と書かれた看板もある。文字に見覚えがある。おそらくは、ソフィアが書いたものだろう。

 それを見つめながら、ディアスはため息をついた。


「……私は先に進む。レイチェルは、温泉を楽しんでくるといい」

「え? ディアスさまは、どうされるのですか?」

「私にはまだ、やるべきことがあるのだ」


 ディアスは通路の先に視線を向けた。

 そこには、黒い壁に囲まれた小屋があった。


 小屋には『魔獣アビスルインダババの館』と書かれた看板が掲げられていた。


 ここにいるのは本物のアビスルインダババではない。レプリカだ。

 だが、構わない。勇気を試すにはちょうどいい。


(勇者ならば……ここでおくすることなどないはずだ)


 ディアスの頭の中にあったのは、『勇者記録』に書かれていた、超絶の勇者の姿。

 それを一心に思い浮かべて、ディアスは『魔獣アビスルインダババの館』に足を踏み入れる。

 いつの間にか隣に来ていたレイチェルが、彼の手を握っている。

 彼女も、覚悟が決まったのだろう。

 その手のぬくもりを頼りに、皇太子ディアスは伝説の、名状めいじょうしがたい魔獣が住まう館へと足を進める。


 そして──





 ──数時間後。『ノーザの町』で──



「……ただいま戻りました。大公カロンどの」

「うむ。よいお顔になられた」


『ノーザの町』に戻ったディアスを見て、大公カロンは満足そうにうなずいた。


「それで、『魔獣アビスルインダババの館』はどうだったのかな?」

「意外でした。改めて、あの魔獣の真実を知った思いです」

「やはりか。では問おう。名状しがたき魔獣『アビスルインダババ』の正体とは?」

「……はい」


 ディアスは深呼吸して、答える。


「『魔獣アビスルインダババ』とは、勇者の変異体へんいたいだと思われます」

「やはりか」

「実に名状しがたき姿をしたあの魔獣は、時に勇者であり、時にSNS (スペシャル・ノータイム・スペル)を使いこなし、左右を見回しながら旗を掲げ、虹の橋を召喚していました」

「私のときは食人魚と戦っていたな」

「おそらく『魔獣アビスルインダババ』とは、異形と化した勇者が、この世界に流れ着いたものなのでしょう。それが長き時を経て、魔獣という伝説に変わったのかと」

「あり得る話だ」


 それから大公カロンは、咳払せきばらいして、


「良き経験を積まれたな。ディアス殿下」

「大公どののおかげです」

「ところで、温泉はどうだったのだ?」

「…………あ」


 忘れていた。

『アビスルインダババの館』が衝撃は大きすぎた。

 その手前に温泉があったことなど、すっかり忘れてしまっていたのだ。


「まさか、大公どのは……?」

「無論。温泉に入ってから魔獣の館に入ったとも」

「大公どのには敵いません」

「『出口アンケート』とやらも書いたぞ」

「……き、気がつきませんでした」


 皇太子ディアスは頭を抱えた。

 自分はまだまだだ。

 だが、それに気づけたことは大きい。魔王領には感謝しなければならない。


「帝都に戻ったら、魔王に書状を出すことにします。『すぱ・りぞーと』を利用させてもらったお礼と、アンケートの回答も兼ねて」

「それがいいだろう」

「ですが大公どの。あの『すぱ・りぞーと』は、帝国民には?」

「利用するならば初級コース限定とするように、布令ふれいを出すべきだろうな」

「同感です。民の精神こころを守るためにも」

「うむ。それがよかろう」

「……そうですね」


 腕にしがみついているレイチェルを見ながら、ディアスはうなずいた。

 ちなみに大公カロンの腕には、いまだに副官のノナがしがみついている。

 ふたりの姿にため息をつくのは、『レディ・オマワリサン部隊』のドロシーだ。


「……私は『すぱ・りぞーと』に行かなくて正解でした」


 大公カロンとディアスをうならせ、文官レイチェルと副官ノナをおびえさせる施設──魔王領の『すぱ・りぞーと』。

 その威力に、ドロシーは震えるばかりだった。


「……大公さま。大公さまぁ」

「おびえなくてよい。私が隣におるからな」


 大公カロンはそう言って、ノナの頭をなでた。

 それから、ディアスの方を見て、


「では、帝都に帰るとするか。ディアス殿下」

「はい。大公どの!」

「仕事は山積さんせきしておるだろうな。まぁ、私も手伝おう。武官や文官どもを黙らせるくらいの仕事はできると思うぞ」

「大公どのには、もっとご指導いただかなければ困ります。これからも──」


 こうして皇太子ディアスと大公カロンは、肩を並べて帝都へと帰還きかんしたのだった。





 ──その後、魔王領で──



「あのな。トールよ」

「どうしましたか? ルキエさま」

「『すぱ・りぞーと』の利用者から、苦情が来ておるのじゃが」

「苦情ですか?」

「『アビスルインダババの館』の手前に、『勇者研究』の展示施設を置くのはやめて欲しいとのことじゃ」

「どうしてですか?」

「館に入ると、毎回、異形の勇者が現れるからじゃな」

「……あ」


 気がつかなかった。


『魔獣アビスルインダババの館』には『精神感応素材せいしんかんのうそざい』と『抱きまくら』を組み合わせたものが設置されている。

 だから館に入ると、心の中にある『恐れるもの』や『心残り』が具現化ぐげんかされるわけで──


「『勇者研究』の展示を見たあとだと、勇者を思い浮かべちゃうわけですね」

「あの研究はインパクトがあるからのぅ」

「無難なものを集めたつもりなんですが」

「それはお主の基準であろう。まったく……」


 それから、ルキエは難しい顔になり、


「さらに帝国では最近、勇者についての怪文書が流れておるそうじゃぞ」

「怪文書?」

「『ノーザの町』を通して入手した。このようなものじゃ」


 ルキエは数枚の羊皮紙ようひしを差し出した。

 そこに書かれていたのは──


『勇者は魔獣だった!? 「魔獣アビスルインダババ」と勇者の関係とは!?』

名状めいじょうしがたき勇者の正体とは?』

『次々に語られる新たな伝説。各貴族が「当家にはアビスルインダババの新たな伝承でんしょうが」と言って皇帝一家に近づく者が続出!?』


 ──そのようなことだった。


「……『勇者研究』の展示は、やめた方がいいですね」

「……それがよかろう」


 俺とルキエは顔を見合わせて、うなずいた。



 その後、『すぱ・りぞーと』に掲示していた『勇者研究展示室』は撤去てっきょされた。

 さらに、設備の改装も施された。

 使いやすくシンプルに、わかりやすくするためだ。

 そうして改装が終わったあと、俺とルキエは温泉に入りに行ったんだけど──



「……改装担当が、脱衣所からの通路に細工をしたようじゃな」

「……同じお風呂に入るようになってましたね」



 ──なぜか俺とルキエは背中合わせで、一緒のお風呂に浸かることになったのだった。


「……ところで、改装の責任者は誰じゃったかな?」

「……ソフィア皇女が『お仕事がしたいです』と言って、名乗り出てました」

「……なるほど。あの者が余とトールを一緒に入浴させようとたくらんだのじゃな?」

「……どうしてそう思うんですか? ルキエさま」

「……脱衣所の戸の隙間すきまより、本人がのぞいておるからじゃ」

「……なるほど」

「……もう一緒にお風呂に入ってしまってもよいのではないか……?」


 そんなわけで、俺とルキエとソフィアは、魔王領の温泉をたっぷりと楽しむことになったのだった。

(ちなみに、脱衣所からの通路は後で直したらしい)



 そしてその後、魔王領の観光施設は無事にオープンを迎えて──


『温泉好きなら魔王領へ!』

『魔獣好きも魔王領へ!』

『勇者に興味のある者は────』


 ──そんな感じで、魔王領・帝国領から人々が訪れる、人気施設になったのだった。




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