【コミックス5巻は10月10日発売】創造錬金術師は自由を謳歌する -故郷を追放されたら、魔王のお膝元で超絶効果のマジックアイテム作り放題になりました-
第169話「錬金術師トール、魔王領を旅する(1)」
第169話「錬金術師トール、魔王領を旅する(1)」
魔王城を出発してから、3日目。
俺たちの馬車は、順調に街道を進んでいた。
旅のメンバーは俺とメイベル。文官のエルテさん。
それと、護衛と連絡役を兼ねて、
今は床に置いたカゴの中で眠ってるけど。
目的地は魔王領の北西。
そこでメイベルの両親のお墓参りと、素材探しをするのが旅の目的だ。
「午後には次の町に着くかと思います。
馬車の
彼女は手元の地図を見ながら、
「今日は湖沼地帯にある『オルティアの町』に宿泊します。昨日と同じく、町長と会談を行うこととなりますので、錬金術師さまは、ご準備をお願いいたします」
「あの……エルテさん」
「なんでしょうか。錬金術師さま」
「どうして毎回、町長さんと会うことになってるんですか?」
昨日と一昨日も、俺たちは町で宿を取った。
最初の町では大歓迎を受けた。
町の偉い人が総出で、俺たちを出迎えてくれたんだ。
エルテさんは『お城に一番近い町ですから、皆も錬金術師さまの
それでみんな、俺のことを見にきたらしい。
でも、昨日泊まった町でも、俺は町長さんたちとの食事会に参加することになった。
めちゃくちゃ緊張した。
メイベルが隣にいてくれたから、落ち着いて話ができたけど。
でも、よく考えるとおかしい。
なんで毎回、町の偉い人が待ち構えていんだろう……。
そんなことを、エルテさんに
「それはケルヴ叔父さまが、前もって町長や村長に話を通しているからですね」
あっさりと答えが返ってきた。
「錬金術師さまの旅行の日程と、立ち寄る町について、先方に連絡が行っているのですよ」
「……どうして
「錬金術師さまが無事に旅を続けているか確認するためです」
当たり前のことのように言う、エルテさん。
「そのために叔父さまは町長や村長に、錬金術師さまが到着したらお城に書状を送るようにと、通達を出していらっしゃるのです。だから町の者たちも、錬金術師さまが来ることを知っているのでしょうね」
「宰相閣下が……どうしてそこまで」
「心配されているからです」
「いや、でも、素材採取の旅なんですから。そこまで気を遣わなくても」
「……錬金術師さま。あなたはご自分が、魔王領の重要人物だという自覚が足りないのではないですか?」
エルテさんは目を光らせて、
「本来ならあなたは、大勢の護衛とともに旅をするべきなのです。少人数にしたのは、『おおごとにするべきではない』と、魔王陛下が判断されたからです。代わりに安全確認をするようにしたわけです。これくらい、お許しいただかなくては」
「そういうものですか?」
「そういうものです」
そっか。
そういうものなら、しょうがないな。
考えてみれば、俺も魔王領内を旅するのは初めてだからね。
ケルヴさんが色々準備してくれるのは助かるんだ。
いや、待てよ……これは勇者の世界の言葉で言う『パックツアー』というものかもしれないな。
勇者世界には、そういう旅行のやり方があったらしい。
『必要なものがひとまとめになっている旅行』だそうで、帝国の研究者たちは『水や食料、着替えまでもが袋詰めにされ、立ち寄った町ごとに提供される』という結論を出している。
ケルヴさんが用意したこの旅は、その『パックツアー』に近いものなんだろう。
なるほど。
意図せずにケルヴさんは、勇者世界の『パックツアー』を再現してくれたということか。
さすがは魔王領の宰相さんだ。
あとでお礼の手紙を書くことにしよう。
「でも、できれば……ごく当たり前の、なんのへんてつもない旅をしたかったんですけどね」
「……トールさま」
「……錬金術師さま」
メイベルとエルテさんが、そろって俺を見た。
静かに進む、馬車の中。
ゆったりとした時間の中で、ふたりは──
「普通の旅というのは、もっと馬車が揺れるものだと思いますよ。トールさま」
「こんな静かな馬車って、普通はありえないのでは……?」
「え?」
いや、確かに、快適な旅になるように馬車を改造したけど。
そんなにたいしたことはしてないよ?
改造したのは2
まずは馬車の車軸に『MAXすべすべ化粧水プレミアム』を塗った獣の皮を巻き付けて、車輪の滑りを良くしてある。あの化粧水は生き物の肌に塗ることで、
その化粧水のおかげで、車軸の回転はすごくスムーズになってる。
馬の負担も軽くなっているみたいだ。
あと、馬車の床下には『
『スララ豆の殻』は『抱きまくら』に使われている素材だ。
これは魔石と合成することで、魔力に反応するようになる。
今回は、魔力で柔らかくなるようにしてある。やや固めの低反発だ。俺やメイベルが座っているだけで、微弱な魔力を吸収して、『低反発クッション』に変化している。
それが
おかげでカゴの中の羽妖精たちは、ぐっすりと眠っている。
彼女たちが使ってるクッションも、同じ素材の低反発だからね。
本当は、馬車の外側にもマジックアイテムを仕込もうと思ったんだけど……それは我慢した。
最新技術を仕込んだ馬車が走ってると目立つからね。仕方ないね。
「本当に……振動と揺れがほとんどありません」
御者席で、エルテさんがつぶやいた。
「まるで、おだやかな水面を進んでいるかのようです……信じられません」
「でも、勇者世界の乗り物に比べればまだまだですけどね」
特に、速度が違う。
勇者世界の旅は、飛ぶように車窓の景色が過ぎていくらしいから。
『通販カタログ』にもあったからね。『映像で体験! 120分で3つの国をひとまわり』って。
2時間で3つの国を巡るなんて、あの世界ではどれだけ高速で旅をしているんだろうね……。
「でも、トールさま。あまりスピードの速い乗り物は必要ないと思いますよ」
「そうかな?」
「はい。あまり速くすると、街道を歩いている人たちが危ないです。安全のために『飛び出しキッド』を配置しなければいけなくなります」
「あ、確かに。そうかも」
街道を高速の乗り物が移動するなら、歩く人を守るためのアイテムも必要になる。
となると『飛び出しキッド』が必要だ。
でも、ひとつやふたつ配置したくらいじゃ意味がない。
100メートルおきくらいに『飛び出しキッド』を並べて、人を
……でも、それだけの数を作るのは、さすがに無理だ。
それに……馬車と『飛び出しキッド』がビュンビュンと行き交う街道って、かなり恐ろしい場所のような気がする。
ルキエが統治する魔王領には合わないよな。うん。
「メイベルの言う通りだ。馬車はあんまり速くしないほうがいいかも」
「これくらいの速さの方が、のんびり旅を楽しめますね」
「そうだね。速度じゃなくて快適性を追求する方が……って、あれ? エルテさん。どうして頭を抱えてるんですか?」
俺が
「いえ……不覚にも、地平線の果てまで『飛び出しキッド』が並んでいるところを想像してしまいました。悪夢のような光景でした。文官として、その街道をどう管理すればいいのか……」
「そういうことにはなりませんから。心配しなくていいですから」
「わかっています。頭では、わかっているのです……」
そんなことを話しているうちに、馬車は
街道の脇には大きな川があり、それがいくつもの支流を作っている。
その向こうには湖や沼がある。
水面が陽光を受けて、きらきらと輝いている。
「きれいな場所だね」
「そうですね。このあたりを避暑地にしてる種族もいるようです」
景色を見ながら、メイベルが説明してくれる。
「水が豊富できれいな場所ですけど……ただ、耕作地が少ないという欠点があります。もちろん、長所もありますよ。大きな川があるおかげで、船を使った流通の拠点になっていますから」
「……なるほど」
河口では、たくさんの人たちが働いている。
水中で船の針路を指示したり、漁をしたりしているのは人魚たち。
力仕事をしているのはリザードマン。
仕事の指揮を執っているのは、獣耳の生えた獣人たちだ。
水中での仕事は人魚。水辺での仕事はリザードマン。地上は獣人。
そうやって、役割分担しているみたいだ。
「人魚やリザードマンの皆さんも、最近は『水の
メイベルは言った。
「水辺でのお仕事にぴったりだって、皆さん、よろこんでいらっしゃいました」
「そっか。よかった」
自分の作ったものが普及するのはうれしいな。
魔織布は大きな布に魔石を合成するだけだから、あんまり手間がかからないし。
最近は職人さんに布をつなぎ合わせてもらって、それを広間の床いっぱいに広げて、俺がささっと魔石を合成するという手順で作ってる。
これだと100人分くらいを、いっぺんに作れるからね。
「『オルティアの町』で最も数が多いのは獣人たちです。彼らは、髪が長いのが特徴ですね」
御者席でエルテさんが言った。
「獣人の中には、獣の姿に変身できる者もおります。髪が長くないと、そのときに体毛が足りなくなってしまうそうなのです。そのために、獣人は髪を伸ばすのが習性となっております」
「それで髪を結んだり垂らしたりしてるんですか」
男性も女性も、長い髪を三つ編みにしたり、紐で結んだりしている。長さは、腰のあたりまで。
邪魔じゃないのかな、って思うけれど、獣人の人たちは、伸ばした髪を尻尾で叩いて、コントロールしていた。獣人は運動能力に長けてるっていうけど、すごいな……。
「やっぱり、旅に出てよかった」
今まで見たことない光景が目に入ってくるのが、すごく楽しい。
自分が魔王領の一部しか知らなかったことが、よくわかる。
魔王領の人々の助けになるためには、みんなのことをもっとよく知らなきゃいけないからね。
だから旅に出て、自分の目で魔王領を見て回りたかったんだ。
許可をくれたルキエや、旅の手配をしてくれたケルヴさんに、感謝しないとな。
「間もなく『オルティアの町』に到着します。町長と面会することになりますので、ご用意を」
「わかりました。ところでエルテさん」
「なんでしょうか。錬金術師さま」
「そろそろ『錬金術やってます』のチラシを配ってもいいですか?」
「その話、まだ続いていたのですか!?」
びっくりされた。
旅に出てから、何度もお願いしてるんだけどな。
『魔王領の人たちとわかりあうために「錬金術やってます」のチラシを配ってもいいですか』って。
みんなのことを知るには、それぞれの希望や悩みを聞くのが一番早いからね。
だからチラシを配って、錬金術の依頼を受けようと思ったんだけど。
「そういうことは……帰り道にしていただけませんか?」
「やっぱり、そうなりますか?」
「はい。町に着くたびに依頼を受けていたら、時間がかかってしまいますからね。旅の行程が遅れれば、陛下や、ケルヴ叔父さまも心配されるでしょう」
「……確かに、そうですね」
「まずは目的地に着くことを優先してください。その後なら、チラシを配っても構いませんよ」
「わかりました」
仕方ないな。ケルヴさんにはお世話になってるからね。
エルテさんの言う通り、錬金術をやるのは帰り道にしよう。
帰り道なら存分にやっていいみたいだからね。うんうん。
「……いえ、トールさま。存分にやっていいわけではないのでは」
「……なんでわかったの。メイベル」
「お顔を見ていたら、なんとなく」
俺の顔を眺めながら、照れたように笑うメイベル。
俺は、少し考えてから、
「……お願いだよメイベル。帰り道では、ちょっと多めに錬金術の仕事をやりたいんだ。見逃してくれない?」
「……そういうお願いをされると、困ってしまいます」
「……短時間で済ませるから。ないしょにして欲しいんだ」
「……ずるいです。私にトールさまのお願いを断れるわけがありません」
「……ありがと。メイベル」
「……ちょっとだけですよ」
俺とメイベルは顔を見合わせて、笑った。
「仲がよろしいのは結構ですが……すべて聞こえておりますよ。この馬車、静かなのですから」
気づくと、エルテさんがジト目でこっちを見てた。
全部、聞こえてたみたいだった。
静かな馬車には、こんな欠点があったんだね……。
そんな話をしているうちに、俺たちは『オルティアの町』に到着したのだった。
「これはこれは! 高名なる錬金術師さまにお目にかかれて光栄ですぞ!」
オルティアの町長さんは、灰色の髪を持つ獣人だった。
頭の上から三角形の獣耳が突き出ている。背中の方では大きな尻尾が、左右にぶんぶんと揺れてる。
町長さんは人なつっこい笑顔で、俺に向かって手を差し出した。
「わしは『オルティア』の町長で、グェルン・アッシュドンと申す。副町長もご挨拶に来る予定なのだが……彼はリザードマンのリーダーでしてな。彼は、少し忙しいようでして」
「気にしないでください」
俺はグェルンさんの手を握り返して、
「それに、皆さんが忙しいのはわかります。先ほど、川でお仕事をしているのを見ましたから」
「そう言っていただけると助かるのだ」
グェルンさんは灰色の髪を揺らして、うなずいた。
左右に広がった髪はまるでたてがみのようだ。
獣人は獣の姿に変身できるそうだけど、この人は
「町の者は皆、交易所に
「あちらの工事が終わったら商品を送れるように、ですね?」
「
「とんでもない」
俺は首を横に振った。
「俺はただ、その場にいただけですよ。交易所の設営を決められたのは、魔王ルキエ・エヴァーガルド陛下と、『ノーザの町』のソフィア皇女さまです」
「ふふっ。
グェルンさんは、くんくん、といった感じで、鼻を鳴らした。
「においも、姿形も違う種族たちを結びつけたのも、錬金術師どのの力量あってのこと。おかげでこの町も活気づいておる。錬金術師どのには感謝しかないのだよ」
「そう言っていただけると、うれしいです」
グェルンさんは身体が大きい。ライゼンガ将軍といい勝負だ。
でも、おだやかな笑顔を浮かべてる。
ライゼンガ将軍もそうだけど……魔王領にいる人たちは、身体は大きくても優しい人が多い気がする。
そのあたりは帝国と正反対だ。
やっぱり、トップに立つ者の違いだろうな。
そんなことを考えていたら、ルキエのことが気になってきた。
ケルヴさんから俺がどこにいるかは聞いてるはずだけど……俺からも手紙を出した方がいいな。
町長さんに頼んで、書状を送ってもらおうかな。
「どうか今夜はうちで夕食を……おぉ、セーラ。戻っていたのか」
不意に、グェルンさんが廊下の方を見た。
そちらの方から、誰かが近づいていたらしい。
でも、俺たちは気がつかなかった。
やっぱり獣人のひとたちは、気配と音に敏感みたいだ。
「……は、はい。父上。それと、お客人の皆さま……」
廊下の方を見ると、小柄な少女がいた。
髪の色はグェルンさんと同じく灰色。
腰まで伸びた髪を三つ編みにして、緋色のリボンで結んでいる。
彼女は柱の後ろに隠れて、じっとこっちを見ていた。
着ているのは灰色のワンピースだ。その裾をぎゅっ、と握りしめてる。
「『オルティアの町』に……ようこそ。歓迎、いたします」
「こらこら、セーラよ」
グェルンさんは苦笑して、
「客人の前で隠れているのは失礼なのだ。出て来て、あいさつをするのだよ?」
「で、でもでも……父上」
「どうした?」
「今日は髪が──で、リボンがうまく────なくて」
「最近は天気が悪いからな。だが、それと礼儀作法は別の話だ。こちらに来るのだよ。セーラ」
「……は、はい」
セーラと呼ばれた少女は、ぽてぽて、といった感じで、こっちに歩いて来る。
それから、スカートをつまんで、一礼して、
「は、はじめまして。セーラ・アッシュドン、です。町長グェルンの娘で、町の仕事のお手伝いをしています」
「はじめまして。錬金術師のトール・カナンと申します」
俺はセーラさんに一礼した。
「素材探しの旅の途中で『オルティアの町』に立ち寄らせていただきました。明日にも出発しますけど、帰りにもまた立ち寄らせていただきますので、その時はどうかよろしくお願いしますね」
「ご、ごていねいに。えっと……ありがとうございます!」
ぶんっ。
セーラさんは勢いよく頭を下げた。
しゅるん。
その拍子に、髪を留めていたリボンが、ほどけた。
次の瞬間──
「あ、ああああああっ!」
セーラさんの髪が、ぼわん、と、膨らんだ。
まるで、獅子がたてがみを広げたように。
「あ、あわわわわ……は、恥ずかしい……です」
セーラさんは真っ赤になってうずくまる。
彼女は恥ずかしそうに、ぼさぼさにふくらんだ髪を押さえて、
「お客さまの前で……こんな……やっぱり今日は、人前に出るべきじゃなかったのに……」
「気にしないでください。獣人の方々が髪を伸ばしている事情は、知っていますから」
獣人の中には、完全に獣の姿に変身できる者もいる。
その時に髪の毛が体毛に変化するため、髪を伸ばしている……だったっけ。
「そ、そうなのですけれど、セーラの髪がこんなになってしまうのは……湿気の問題で……」
セーラさんは真っ赤な顔で、首を横に振った。
「この町は湖沼地帯にあって……その分、湿気がすごくて」
言われてみれば。
確かに、町に入ってから、なんだか空気がじめじめしてる気がする。
「……私も、少し髪が重い気がします」
「……自分の気のせいではなかったのですね」
メイベルとエルテさんもうなずいてる。
ふたりも髪は長い方だ。でも、獣人のグェルンさんやセーラさんほどじゃない。
獣に変身できる獣人さんは、髪をすごく伸ばす風習があるからね。
その分、湿気の影響を受けちゃうんだろうな。
「セーラの言う通りなのだ」
グェルンさんは困ったような顔で、
「この町は水運の要で、多くの者が水辺で作業をしている。だが、今年は少し気温が高いせいで……湿気がひどいのだ。そのため、髪の長い獣人は、髪が広がり、ぼさぼさになってしまうのだよ……」
「そうだったんですか」
「セ、セーラも、髪のお手入れはしてます。でも、湿気のせいで、追いつかなくて。この髪は……恥ずかしいのもそうですが……視界をふさいだり、動くのに邪魔になってしまって……」
セーラさんは涙目だった。
グェルンさんはそんな彼女を見ながら、ため息をついて、
「もうしわけないのだ。お客人にする話では、なかったですな」
「構いません。むしろ、話してくれた方がうれしいです」
この旅は、俺が魔王領の人たちのことを知るためのものでもある。
獣人さんたちに悩みがあるなら、知っておきたい。
俺がちゃんと、ルキエのサポートができるように。
「俺は、魔王陛下直属の錬金術師です。陛下は『自分の代わりに領内を見てくるように』とおっしゃいました。ですから、問題があるなら話してください」
「ですが……」
「……いいですか? エルテさん」
俺はエルテさんの方を見た。
エルテさんは諦めたように、うなずいて、それから苦笑いした。
よし。許可はもらった。
「では、これを見てください」
俺は『超小型簡易倉庫』から、『錬金術師やってます』のチラシを取り出した。
それをグェルンさんとセーラさんに渡して、
「錬金術師トール・カナンは、ただいま仕事の依頼を受け付けています。『オルティアの町』に滞在中に解決できることなら対応します。できなければ、後で対策用のマジックアイテムを送ります。もちろん、なんでも解決できるわけじゃないですけどね」
俺が言うと、グェルンさんはしばらく迷っていたようだった。
それから彼は、涙目になってるセーラさんの方を見て──
「わかりました。お話いたしましょう。本来なら、魔王陛下直属の方にお話しするほどのことではないのですが……」
そうして、町長のグェルンさんは獣人の悩みごとについて、詳しい話を始めたのだった。
──────────────────
【お知らせです】
いつも「創造錬金術師」をお読みいただき、ありがとうございます!
読者の皆さまのおかげで、書籍版3巻の発売が決定しました! ありがとうございます!
ただいま刊行に向けて作業中です。
書き下ろしも追加していますので、どうぞ、ご期待ください。
「創造錬金術師は自由を謳歌する」は、コミカライズ版も連載中です。
ただいま、第3話−5まで、更新されています。
次回更新は11月23日です。
「ヤングエースUP」で読めますので、ぜひ、アクセスしてみてください。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます