第12話 かき氷いるか?

 それは、わたしが下校しているときでした。


 瑞穂「(なんか、誰かがあとをつけてきてる気がする……)」


 その予感は的中していそうでした。なので、わたしは思いきって声をあげることにしました。


 瑞穂「誰ですか、わたしの後ろにいる人は!」


 その人は、見知った顔をしていました。


 うみ「ちっ、なんだよ……もうバレちまったか」

 瑞穂「ってうみさんじゃないですか! ま、まぁなんとなくそんな気はしましたけど?」

 うみ「いや、絶対に思ってねーだろ」

 瑞穂「いーえ、思ってました! うみさんってそういうところありますから、ほんと気をつけてくださいね?」

 うみ「まぁいいや、そんなことよりさ……かき氷いるか?」

 瑞穂「はぁっ?! なんでまたいきなりそんなもの……」

 うみ「いいからいいから。ほら、口開けてみろって」


 下手をすれば、そのまますんなりかき氷がわたしの口に入っちゃいそうでした。


 瑞穂「いやですっ。というか、なんで冬なのにそんなもの買っちゃったんですか?」

 うみ「いやー、なんか急に食べたくなっちまって……」

 瑞穂「はぁ……つくづくわたしとうみさんって、なんだか分かりあえない関係といいますか……」


 わかりやすくため息をつくわたし。うみさんといるとほんと疲れる……。


 瑞穂「しかたないから食べてあげますけど……」

 うみ「おっ、その気になったみたいだな。安心しろ、すくうやつは清潔だからな」

 瑞穂「そんなこと気にしてませんっ」


 そんなことを言いながら顔が真っ赤だ。ほんとわかりやすいやつ。


 瑞穂「~~~~っ!」


 頭をおさえる瑞穂。身体ちっさいし、いろんな要因があるからこうなるんだろう。


 うみ「まったくどうしようもないなぁ、お前は……しゃーない、あたしが全部食べるか」


 こいつにいいとこ見せようみたいなこと思ったかどうかはわかんねーけど、

 調子に乗ってあたしもつい搔き込んでしまった。


 うみ「いってぇ~~~~~~っ!」


 ふたりしてばかみたいに苦しんでいた。

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