第10話 その服どうなの……?

 玲香「買い物に付き合ってちょうだい、ほんの数分で終わるから」


 そう言われて、わたしたちはショッピングモールに来た。


 未咲「なに買うの? 香水?」

 玲香「そんな贅沢なもの買うわけないでしょ。広告で気になってた服を買いに来たの」

 未咲「玲香ちゃんだったら何でも似合いそうだけど、そんなに気になったの?」

 玲香「ええ、最高に気に入ったわ」


 そう言って、珍しく目を輝かせる玲香ちゃん。


 未咲「そのまなざし……なんだか期待できそう!」


 わたしの予想は、大きく裏切られることになる。


 玲香「これよ」

 未咲「えっ……」


 目の前には、同年代の女子が絶対に着なさそうな服があった(要するに幼い)。


 玲香「どうかしら?」

 未咲「どう、と言われても……」


 わたし自身、近しいものがあるとはいえ、ここまで振り切る玲香ちゃんを正直見たくはなかった。


 未咲「わたしのほうが似合うと思うんだけど……」

 玲香「どういう意味よ、それ」

 未咲「えっと……推して察してください」


 顔を逸らすわたし。お願いだから鏡見て、玲香ちゃん……!

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