第19話 くり~む
8月の終わり頃。
冷房が効いた暗い部屋の中でコイル鳴きと呼ばれる電子機器の特有の高い音が響く一室で年老いた女性がパソコン画面の光に照らされながらキーボードを叩いていると後ろから13~4くらいの髪の長い黒髪の女の子が話しかけてきた。
「どう? 何か解かった?」
「おお、
「そう…」
「だが、レッドブルマーと接触していた女の子のことなら少し解ったぞ」
年老いた女性の言葉に少し落胆するやいなや次の希望を示された。
「お前の弟、
※
「というワケでアンタの同級生
家の居間で姉がそう言った。
いや、無理だし…同級生って言ったって赤の他人。ましてはコミュ障 気味で転校してきて間もない自分にそんなことが出来るわけがない。そもそも…
「俺じゃなくて自分で聞いてくれば良いんじゃないかな…」
「同級生のアナタのが何か話す可能性が高いかもしれないじゃない」
「無理だと思うけど…そもそも、まだ夏休みだし」
悪いけど力にはなれない…と言うかブェルマーの最終定理とか意味わかんないし関わりたくない…
それでも姉は、なんでも良いから情報を集めてこいと命令し、とりあえず家を後にした。
※
「暑い…」
意味もなくただ勢いだけで外を出た純は独り
あてもなく、どうしようか考えてると自然と涼を求めて足がコンビニへと向かっていくとその途中で突然、冷たいものが当たり頬に手をやった。
「生…クリーム?」
そこから飛んできた方向に目をやると生クリームの絞り袋から手足を生やした二足歩行の謎の存在を目にする。
「いやぁあああ!! 怪人よ!!」
近くを歩く住民が叫びを上げた。
これが今、
〈でも…なんで生クリーム?〉
そう疑問に思っている間にも怪人はクリームを飛ばし夏の暑さに負けて露出した女性の肌に付着する。
「もう! 服が汚れちゃう」
口元や胸元に白いクリームをつけて困り顔をする女性の表情に男性は、いらん想像力と刺激が走り、
そんな相変わらずやることが幼稚で被害と呼べるかどうかも解らない事態に人々は困惑しているといつものように彼女がやって来くる。
「ああ!! 見てブルーマーネイビーよ!!」
紺のブルマーに二つ結いの銀髪を
〈うわぁ…ブルーマーネイビーだ…初めて見た…〉
下着同然の履き物にピッタリと女性の肉質に食い込むブルマーに視線が吸い寄せられると、よくあんなものを穿けるなと純は心の中で思う。
〈姉ちゃんもそうだけど、男からイヤらしい目で見られたくないと思うくせになんで女の人って露出した服を選ぶんだか…理解できない…目線の置き場所を考えなくちゃいけない身にもなってくれよな…〉
しかし、一人がいくら紳士ぶったところで他の野次馬たちの視線はブルーマーネイビーに集まっていく。
特に意味も無いはずなのに
そんな彼らのありようも年頃な純には不快に感じた。
〈そういう反応するから女性も嫌な顔するんだろ…やめろよ良い大人が鼻の穴 大きくして魅入るのなんか…〉
そういうのが男の肩身を狭くする原因なんだと彼は思った。
「きゃあああ!!」
突如、ブルーマーネイビーの声が上がり反射的に純は視線をブルマー戦士に向けると白い液体を被って濡れてしまった彼女の姿が目に入った。
尻もちをついた姿勢から肌色と薄ピンク色のキャミソールの下着を見られた怒りと羞恥が混ざった表情に思わず生唾を飲むと、匂いから牛乳だろと思われる白い液体を脚から垂らしながらブルマーネイビーが直ぐに立ち上がった。
「食べ物で遊ぶんじゃない!!!!」
怒りの声に合わせ上げた両手の上に水球が生まれ、ソコから水がレーザービームのように伸びて行き怪人をハチの巣にしていった。
「おおー!!」
見事、敵を撃破し声を上げる観客にVサインを送るとブルーマーネイビーはその場を去っていた。
〈あ、姉ちゃんになんでも良いから情報 集めて来いって言われてたんだった〉
※
ブルーマーネイビーは何時ものように跳躍しながら戦いの場から去っていた。
だが、その途中…
「⁉」
木の枝か何かに引っかかったのかハチマキがほどけて変身が解けてしまった。
しまった。と
※
〈やっぱ居ないよな…〉
人間離れしたスピードで去っていくブルマー戦士を追う事なんて出来るわけがないと思いながら走っていると純の目に紺色のハチマキを握る少女の姿が映った。
〈あれ…? たしか、あの子って同じクラスの…〉
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