第12話 ファスキヌム

 人気のない山の中。紺色のブルマを穿いた一人の少女は水の入ったペットボトル向かって気合を入れた声を上げていた。


 そんな姿を近くで見ていたレッドブルマーは呟いた。


「なにやってんだろ…私たち…」


 時を遡ること数時間前。宵ちゃんは家にやって来るなり言った。


「特訓をしましょう!」


 え? なに修行編開始?? ダメだよ今の若い子はそういうダレた展開 嫌いなんだから。


 などと私は心の中でボケかましながら聞いた。


「どうしたの急に?」


「キルカさん。ブルーマーサファイアが言ったことを覚えている?」


 7割くらい忘れた。


「…たしかヴェルマーの方程式がどうとか……」


「そう! その予想されている最終定理を理解出来ればブルマーの秘めたる力を引き出すことができると彼女は言っていたわ」


 ブルマーとはいったい……うごごご!!


「私たちはその力を使いこなせてない。その為にも特訓よ!!」


 ごめん。休日返上してまでやりたくないです。


 そう思いながら付き合うのが世の常なので私はついていった。



 そして現在。ブルーマーネイビーは岩の上に置いたペットボトルの水を操ろうと頑張っていたが何も起こらずにいた。


「く…どうして」


「正体不明の力だし仕方がないよ」


 もともと謎理論なので深く考えない方が良いような…


 本音は全く違ったが私は宵ちゃんを慰めた。


 自分でもこういうとこは嫌いだけど、本当の事も言えないのだから仕方がない。


「でも、貴女は炎を操れたわ。どうやって使いこなしてるの?」


「ごめんなさい…なんとなくで使ってるから…アドバイスのしようが…」


「うーん。やっぱりブルマーを穿きこなせているかの違いかしら…」


 すると足腰を鍛えようとブルーマーネイビーは言い、私は面倒ながらも付き合っていった。



 特訓で息を切らしながら汗を流し水を喉に流し込むと、そろそろ帰ろうかと言われた。


 その帰宅途中で怪人を発見してしまった…


 見た目は長くて固……あー、とりあえずモザイク掛けたほうがいいねってレベルのデザインであった。


「きゃああああああああ!!!!」


 さっきまで思考停止状態であった宵ちゃんが声を上げると怪人はコチラに気づいた。


 コッチ見んな。ついでに向かって来るな。


 汚物は消毒だぁーーーーー!!!


 私は炎で怪人を迎撃したが耐えられた。


 振動するなキモイ!!


 物言わぬ怪人が揺れ動くと汚物を見る嫌悪感より、なお気持ち悪い感情を抱きながら戦った。


「こんなモノが町に出たら大変ね。ここで倒さなくちゃ!」


 モノっていうかイチモツ…ともかく宵ちゃんの言う通りここで処分しておかなくては…


 そう思っていると怪人が私の方に向かって突進を開始し火で迎撃を行うも止まることなく、その巨大なが自分の体にぶつかり全身に鳥肌が立ち吹き飛ばされた。


「レッドブルマー⁉」


 心配の声を掛けられるが直ぐに起き上がるが吐き気が襲った。


「うげぇえええ!!!気持ちわるぃ…」


 体に固いゴムを押し付けられたような感覚と生暖かい感触がフラッシュバックし言葉に出来ない不快な感情を思わず吐露してしまった。


 チ〇コビンタなんてギャグでも言うものじゃないなという感想を思い浮かべていると怪人は今度はブルーマーネイビーに向かって突進する。


「いやぁあ!! 来ないでよ!!」


 彼女が全力の蹴りを喰らわせると怪人は大きくよろめいた。


 どうやら見た目通り打撃には弱いようだ。


 触りたくない…


 それは、ブルーマーネイビーも同じなのか怪人に触れた足を地面に擦りつけながら拭いていた。


 しかし、嫌でもなんでも倒すためには仕方がない。やるしかないのだと覚悟を決めると怪人は先っちょを地面につけて震え始め地中に潜っていった。


 逃げられると感じたがそれは違った。


 怪人は穴を掘ってレッドブルマーの下から現れ、彼女は馬乗りの姿勢で高速振動する怪人の上に乗っかてしまう。


「…ッ!! うッ!! ぁ!!」


 下半身から大きく揺れると、お腹に響き気色の悪い感情を込み上がらせソレに付け加えて熱のある感触が太ももに流れる。


 それと逆の感情を生み出しているのは足の間にあるものだけでソレ以外は全部不快で、不快の方が勝っていて羞恥はさらに強く怒りが顔を赤くさせた。


 レッドブルマーは涙目になって何度も何度も拳を叩きつけた。


「キモイ! キモイ! キモイ! キモイ! キモイ! キモイ! キモイ!! やぁぁぁぁぁあああああああああ!!!!!!」


 最後には高温の青い炎を引き起こして怪人は焼き溶かされ塵となった…


 その晩、家に帰ったキルカが、やさぐれた瞳で兄をゴミを見るような目でけなしたのは言うまでも無かった…




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