第11話 プールサイドでの戦い
7月の朝4時頃。私の朝はココから始まる。
「うるさい…」
涼しいこの時間帯。おそろしく うるさいものがある。
カナカナカナカナッ……
おそらく十、二十の数では無いだろう近くから聞こえるものもあれば遠くから響いてくる声すらある。
大量に鳴かれると風流もクソもなく、ひたすら絶え間なく高い音が響き眠れないので居間にまで下りて行くと、お兄ちゃんも起きてきたので私は「おはよう」とあいさつをしテレビの電源を入れた。
『多発する怪人被害。ブルマー戦士に妨害を仕掛ける謎の青いブルマーの少女。その目的について語っていきます』
ニュースはそのまま私たちとブルーマーサファイアが戦闘を行っていた映像を流し彼女の目的などを報道していった。
『一部では、怪人騒動の原因となんらかの関係があるではと危惧する声もあり今後の動向が気になるところです』
あー…いらん迷惑を掛けてしまった…というかブルーマーサファイアが怪人を倒した事実を報道しようよマスコミ。そこから考えても怪人と無関係なことくらい判るのに
偏向報道だぞ。偏向報道。
「ところで、本当にお兄ちゃんは何も知らないんだよね?」
唐突ながらも私は聞いた。
「ああ、全く知らん。青いブルマーなんて作ったこともない」
あの事件の後にも同じ質問をしたが私は念のために事実確認をした。
「ウソついてないよね?」
「本当だ。ほら、よく見ろハチマキ着けてないないだろ」
言われてテレビに映った写真を見るとサファイアがハチマキを着けていないことが解かる。
「本当だ黒いカチューシャは着けてるけどハチマキじゃない」
「これで無実だと判っただろ」
「じゃあ。なんなの、あの
「さぁな…ただ言えることが二つある。一つは彼女もブルマを愛する者だということ」
「二つ目は?」
「ブルマーが似合う美しい女性だと言うことだ」
「うん…聞いた私バカだった」
こうやって今日も一日が始まる。
※
その日の学校は、やはりブルマー戦士に関わる話題で持ち切りだった。
「青いブルマーの人、何者なんだろうね?」
「レッドブルマーさまに攻撃したのだから、どうせ悪い奴に決まってるわよ。きっと怪人も彼女が送った手下かなにかよ」
黒井さんはクラスの子とそんな話をしていた。
逆なんだよなぁ…
正直。ブルーマーサファイアへの不評被害を無くしたい。
しかし、陰キャの私には発言力など無いのだから何も言えない。なんとも もどかしい気分だ。
「なんか…ブルーマーサファイア…さん。嫌われ者だね…」
別の所で聞きなれない声が聞こえた。
「そりゃ人を襲ってくるような奴じゃね」
「危ない人だよ」
会話をしていたのは転校生がいるグループだった。
おや。転校生くん。今まで気にしてなかったけど何やら喋り方がなんとなく自信なさげで私と何か同属のニオイが…
そんな事を思っていると、その彼が意外なことを言った。
「本当に悪い人なのかな…女性がないがしろにされない社会を作りたいって言ってたし…」
確かにブルーマーサファイアが言うように女性が性的に消費されるのは良くないとは思う。
私には実感は無いけど。あれ以来、自分なりに考えるようにはなったから少しはサファイアの言い分も判るようにはなった。
でも、男性に厳しくし過ぎてアニメ関連にまで規制を強くしてるのは嫌いだ。
えっちでも面白い作品はある! いやマジで!
自分がエロい目に遭うのは嫌だけどフィクションで笑い飛ばしたりドキドキするの良いと思う。
ド直球の下ネタは嫌いだけど。
だから、安易に悪と決めつけずもっと話し合うべきなんだと思う。
私もブルーマーサファイアが悪い人だと思わないよ。転校生くん。
などと勝手にエア会話をして私は盛り上がっていたが周囲の反応はそれとは逆に冷たく否定的で、なんとくソレ以降、彼は孤立したように見えた。
※
4時間目にもなると朝と違って暑くなり。これから始まる水泳の授業にピッタリな気温となっていた。
それぞれ水着へと着替えていくが、そのデザインは人によって異なる。
学校から指定されている点は黒か紺色で派手さがなく露出が少ないものということくらいで比較的自由なものである。
だから私は肌の露出の少ないセパレートタイプのスクール水着を着ている。
例え男子から見られると思っていることが自意識過剰だと言われようとも私はコレで良い。
エロいのはブルマだけで十分です。ハイ。
着替えが終わると先生の指示に従いプールまで移動を開始し、到着すると最初にシャワーを浴びる。
冷たい水に生徒たちは声を上げたり手を合わせ念仏のようなものを唱えながら順々に進んでいく
私もシャワーを浴びて前に進んでいく。
その際、いつも疑問に思っていることがあった。
〈あの謎の階段なんなんだろう〉と。
シャワーの目の前にあるソレは、そのまま真っ直ぐ進めば下りて上るだけのもので別に何処かに繋がっているワケでもない。マジで謎の階段である。
しかし、その疑問が今日、明らかとなった。
きっかけは転校生の言葉だった。
「先生。あの階段なんですか?」
その質問に
「ああ。消毒槽ね。昔は、あそこに入って除菌してからプールに入ってたのよ」
「前の学校にはありませんでした」
「それは効果が薄い上に、ろ過装置付きのプールなら別にやらなくても問題ないって結論になったからね。だからアレは昔の名残」
へー、始めて知った。
「いや~しかし思い出すと懐かしい。死ぬほど冷たくて地獄風呂とか言われてたっけ。いきなり水に入ると心臓麻痺するかもって教師が言っておきながらロクに水にも慣らさずに、あん中 入れたからな~。ソッチのがよっぽど心臓麻痺 起こす確率高いだろって思ってたから無くなって良かったよ。このままシャワーも温水仕様にしてくれないかな~」
なんかメッチャ思い出に浸っているが昔はそんな寒いとこに入れられてたのか…
そんな事を思いながら私はプールサイドに向かい、クラスの皆と集合していった。
整列すると準備体操を行っていき水に慣れるためにプールに近づき足に水を掛けていく。
そんな中で水中に何かが居ることに一同は気づくと一本の触手が水の中から飛び出し女子の一人に絡みついた。
「キャーーーー!!」
異様に長く伸びたタコの脚がいやらしく縛り付けるのを見て直ぐに察した。
怪人だ。
最早、様式美のように混乱する周囲の人々の姿にも慣れてしまい冷めた反応で私は人目のつかない場所まで移動し始める。
こういう時、ボッチは存在を消しても気づかれないので便利である。
ちなみに、よく
細く平坦な体を強調したワンピース型のスクール水着を着た彼女の体はタコの脚によって
「いやぁあ!! やめない!! ゃぁ…!!」
涙目 混じりに懇願しようとも怪人の手…いや脚は止まらずに水着の中へと伸びて行き胸の先へと吸盤を押し付け刺激した。
「ひゅあぁぁぁぁ…ぁっ…!!」
黒井さんには悪いけど、そのまま周囲の目を集めていて欲しいと思いつつ出口への階段を下りて行く。
「キルカさん」
そこで同じくセパレート型の水着を着た
「教室。今から取りに行く」
「そう、分かったわ。それじゃあ私が時間稼ぎをしておく」
彼女が言うと水泳帽を外してそこからハチマキを取り出した。
持ってきてたんだ…いや、助かるけど。
私が感想を抱いている間に
え…それって直に…
「緊急事態だから!!」
私が言わんとすることを理解し彼女は頬を赤くしながら言った。
「そ、そうだよね」
〈私も早く戻って変身しないと〉
そう思って私は教室へと走り出しブルーマーネイビーは救援へと向かった。
※
「そこまでよ怪人!」
「ブルマー戦士だ!」
ネイビーの登場に歓声が沸き上がり戦いが始まると先制してタコ型怪人の脚がブルーマーネイビーの手足を押さえ水の中へ引きずり込む。
だが、彼女も負けじと応戦しタコの脚を噛み切った。
そうやって拘束を解くとタコは赤く膨らみ巨大化していき周囲を驚かすもブルマー戦士は臆することなく攻撃する。
しかし、激しく動けば動くほど水の抵抗も強くなり本来の威力も出せずにあっけなく捕まった。
怪人の脚は巨大化の影響で太くなり今度はさっきみたく噛み切ることすら叶わずに吸盤と脚がブルーマーネイビーの肢体を
「~っ…ッ!!…ッ!!」
タコの脚を口に入れられ叫び声も上げられずに彼女は秘所を吸盤で責められたり胸の先を刺激させられる。
「いやぁ! 頑張りなさいよ!! ブルーマーネイビー!!」
同じく捕まっていた
〈変に…ッ!! 体が感じる⁉ イヤッ!!!〉
ともかく恥ずかしい。早く抜け出したいのに力が上手く入らずに良いようにされていき、どうしていいのか判らなくなっていき混乱していく。
この狂おしい感情に支配されそうになるも抵抗し続けることで赤きブルマーの戦士。レッドブルマーが助けに来てくれた。
彼女は現れると同時に強烈な蹴りを怪人に喰らわせプールの水を波立たせた。
ダメージは強烈だったのかタコ型怪人は拘束を緩めてしまい二人を逃がしてしまう。
水の中に落ちた
「ありがとう…ブルーマーネイビー…」
助けられた彼女はお礼を言って反対側のプールサイドに立つレッドブルマーの戦いを見守る。
レッドブルマーは迫りくるタコの脚を焼いていき最初は戦況を有利に進めていたが
吐き出されたタコ墨により火が弱まってしまうと一気にプールの中へと引きずり込まれてしまった。
びしょ濡れになると炎を起こせずに再び怪人のやらしい攻撃が始まった。
タコの吸盤はレッドブルマーの豊満な胸の先に吸い付き上に持ち上げて放し、乳房が自重で落ちて行くとブルルンッ!と揺れた。
「ひゃぁ!!」
レッドブルマーの高い声が鼓膜に響くだけで理性と関係なく男子たちの欲情が湧いてしまうと先生は男子生徒に見ないように注意した。
「ちょっ! 男子! 見ない!」
顔を赤くした生徒たちは目を逸らしたり他の女子に責められたりして後ろを向かされたりとしている間にもレッドブルマーの体は怪人に襲われていく。
執拗な愛撫に彼女も熱く濡れたものを心の内から感じながら声を漏らしていく。
「はぁあん…ッ!!…ん!! うぁぁぅん!!…ッ!!」
刺激の強さに、お腹あたりや足が震え痛苦と羞恥の感情が快楽の中に溶けるような衝動。ここから逃げ出したいという思いを抱いているだろうことを想像してしまったブルーマーネイビーは自分の不甲斐なさを感じ悔しさに拳を握った。
〈助けたい!! でも私はそうやって突っ走っても、いつも彼女の足を引っ張るばかりだ…きっと飛び込めばさっきみたく返り討ちに遭うだけだ!〉
そう思いながら彼女はレッドブルマーを助けるにはどうすれば良いか考えるも解決策が何も思い浮かばないでいた。
〈私が…私がもっとブルマーを使いこなせてさえいれば…!!〉
以前の戦いでブルーマーサファイアからブルマーの力を引き出せていなことを指摘されて悔しい思いをしたことを思い出し、彼女は更に苦しんだ。
「嫌ぁ!!!」
そこでレッドブルマーの激しい拒絶の声が響く。
見れば彼女の体育着を脱がそうとし、股の間から何から何まで犯そうとする怪人の姿があった。
「たすけて…」
もうココまで来たら恐怖しかなく涙目にすらなっているレッドブルマーの姿を目にしてブルーマーネイビーの頭の中は激しい怒りに支配された。
「やめろぉおおおおお!!!」
彼女の激情に呼応するかのようにプールの水が激しく揺れ動き水の刃が怪人の脚を切断した。
今のは何⁉といった困惑が本人自身にもあったが唐突に理解が追いつくとコレが自分の持つブルマーの秘めた力なのだと確信し、自らの意志に応じて自由自在に動く水を使い彼女はタコを下ろしていった。
この目覚ましい活躍には誰しも息を吞み、ブルーマーネイビーに賞賛が贈られる。
「スゲー!!」
「ブルーマーネイビーかっこいい!!」
「握手してください!!」
尊敬の眼差しと声に、いつものように不敵に笑うことも出来ずに戸惑いながらも「ありがとう…」と顔を赤くしながら逆に普段の声援に対する感謝の気持ちを口にした。
「そ…それじゃあ。この後のプールの授業。楽しんでね」
最後にブルーマーネイビーはそう言い残してレッドブルマーと一緒に去っていた。
「ブルマー戦士…ありがとう…」
今日も
※
「それで、水泳の授業はどうだったんだ?」
夕刻、私は自分の家でお兄ちゃんに今日の一件について話していると質問された。
「怪人の残骸の後始末で、ほとんど終わったよ」
「それはお気の毒だな」
「いいよ別に」
「ねぇ?知ってる?」
「え? なに突然。豆〇ば」
「プールに入って目が赤くなるのって塩素が原因じゃないんだよ」
「へー、それじゃあ何が原因なの?」
「塩素と尿の化合物が目を赤くするんだよ」
「…………………………………誰だよ漏らしてんの…」
そうして今日も一日が過ぎていく…
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