第6話 ネイビー

休日の日曜。

 光線銃を持った怪人が買い物通りに現れた。


 光線銃から放たれたビームを浴びるとズボンの丈が短くなり、みるみるうちにズボンがハイレグになっていった。


〈クレ◯ンしんちゃんかな?〉


 被害を受ける一般人の中に混じりながら私は思った。


「ねぇお兄ちゃんスカートめくりの時も思ったけど、なんていうか…古い…」


 私は近くに居た兄にそう言う。


「古くない!キルカも知ってるから古くない!!」


 そんな事をお兄ちゃんが言っているとビームが命中した。


「ハイグレ!ハイグレ!」


「だから古いって!というかコマネチするな!!」


 ちなみに私にもビームが当たったがワンピースだったためか影響はなかった。

 正確にはスカートの下の下着がハイレグ状になっているのを感じるが見えないのでスルーした。


 流石にレオタードには、ならないようで色んな意味で安心した。


「ソコまでよ!!怪人!!」


 お兄ちゃんと下らないやり取りをしていると一人の少女の声が響き渡った。


 その声の主は紺色のブルマーに二つ結いの柔らかな銀髪をなびかせ左手を腰にあて右手の人差し指を怪人に向かって指しながら言った。


「これ以上、人々にいかがわしい事をするならば、このブルーマーネイビーが貴方を成敗するわ!!」


「ブルーマーネイビー?!」

「新しいブルマー戦士か?!」


 彼女の姿を目にした人々がざわつき始めた。


 今日は彼女の初陣である。だから私は今回、紺野さんに全て譲ってギャラリー側からの見守ることに徹することにした。


 いやー、しかしこうやってギャラリーの一人になって見てみると解るよね……


 この茶番感………


 とりあえず応援だけは送っておこう。


「ガンバレー。ブルーマーネイビー(棒)」


 ギャラリーからの声援に紺野さ…ブルーマーネイビーは脚を見せつけるように開きながらドヤッ顔をすると怪人に向かって走り出しキレイな脚蹴りを決め蹴り飛ばした。


 しかし、怪人は蹴り飛ばされただけでやられてはいない。それどころか反撃とばかりに光線銃を撃ってきた。


 ブルーマーネイビーはコレを器用に避けながら再び攻撃を決めていく。


 だが倒すことができない。


「やはり、ニーソックスを履いてない分。攻撃力不足か」


 お兄ちゃんが言うようにブルーマーネイビーはニーソックスを履いていない。


 意味不明だがアレがあると確かにキック力が雲泥の差がでる。それを履いていない分ブルーマーネイビーはレッドブルマーより蹴りが弱く勝負が中々 着かなかった。


「頑張れ!ブルマー戦士!」


 ギャラリーから声援が来るとブルーマーネイビーは手を腰に当て顔を後ろに向けてウィンクをする。


 そんな決めポーズ取っていたらビームを受けてしまった。


 そりゃそうだ…


 ビームの影響でブルマーはより鋭角のV字状の形になっていくとブルーマーネイビーは頬を赤くした。


「く、ハレンチな…」


 いや、ブルマと大して変わらんだろ。


 違いとしては鼠径部が丸見えなのと臀部でんぶがさっきより見えていることだろうか。

 ブルマが恥ずかしくないのにハイレグは恥ずかしいって もうこれワケわかんねぇな。


 いや、さっきより男性の眼光が鋭くなったからか……

 これだからヤロウって生き物は……


 ブルーマーネイビーは体操服の裾を伸ばし、お尻に食い込んだ柔らかな肉質を隠し、もう一度立ち向かう。


 しかし服を引っ張ったまま動いても上手く動けるハズもなく更にハイレグ化光線を浴びてしまった。


「いやぁ!!」


 ブルマーは原型から大きく形を変え I字ラインへと変形していき お尻も丸見えに近い形になっていくと男達は興奮の声を上げ女性からは軽蔑の目と舌打ちが鳴る。


「紳士なら目を反らそうねお兄ちゃん」


「何を言っている俺にはブルーマーネイビーの勇姿を見届けるという崇高な使命がっ…!あ!キルカやめろ!」


 手が届かないので膝カックンさせてお兄ちゃんの視界をさえぎり、下半身が見えないように座り込む彼女の姿が見えないようにした。


「うわぁぁぁん!!」


「どうした?」


「紺……ブルーマーネイビーさんが泣いちゃってる」


「なに!?情けない!!」


「アンタたちがイヤらしい視線を送るからでしょっ!!!!」


 思わず大きな声を出すと観戦していた男性達が一同に反省した猿のようにシュンと下を向いた。


 ああ…何故かコッチまで恥ずかしい。


「情けないぞブルーマーネイビー!!この程度で音を上げるのか!早く倒して元の格好いいブルマー姿を俺たちに見せつけてくれっ!!」


 お兄ちゃんがお兄ちゃんなりに声援を送る。


「と言うワケで手を退けてくれキルカ」


「ダメ」


 声援を受けたブルーマーネイビーは涙を拭うと体操服を引っ張ったまま立ち上がる。

 裾を左手で引っ張り股の間で前後両方の裾掴みながら怪人に向かって歩いていくと再び光線を撃ってくる。


 正直、体操服によって隠された下半身がどうなっているのかは想像したくないが羞恥に負けず彼女は進み怪人の頭から垂れ下がっていたストッキングの余りを掴み振り回し始めた。


「うりゃあああああああああ!!!」


「なに!!なにが起こったの!?」


 何も見えない兄が聞いてきたので私は答えた。


「ブルーマーネイビーが怪人のストッキングを掴んで空中で回してる

というかストッキング被ってビーム撃ってくるって、まんまパクr「オマージュです」


 私が言い切るよりも早くお兄ちゃんは言った。


臼井うすい 儀人よしと先生ごめんなさい…


 そんな事を思っているとブルーマーネイビーが怪人を地面に叩きつけてた。


 大きな破砕音を立てて石畳いしだたみめくれ土埃を上げると怪人は動かなくなりハイレグ状態が解除され元通りになった。


「おおー!!やったー!!」


 歓声が上がると私はお兄ちゃんの目元から手を離しながら言った。


「あぁ…また町に余計な被害を…コレの修理代どうすんの?」


「なんだキルカ。そんなことを気にしてどうする」


「気にするでしょ…普通……」


 直すのだってタダじゃない公道であれば税金が使われる。そして、その税金の無駄遣いの元凶が私の兄なのだから余計である。


「とりあえず今この場で誰も気にしてないんだから気にするな」


 確かに誰も気にした様子もなくブルーマーネイビーに称賛を送りながらカメラで撮影を行い、また彼女もちょっとノリノリでポーズなんかを取っていた。


 心の奥底で説教したい気持ちになったがいんな私にはそんな度胸もなく色も情緒もない風貌でこの場を見つめていた…


 府愛知ふえち市は今日も平和です…



月曜。

 学校では新たなブルマー戦士の話題で持ちきりだった。


「あー、知ってたら見に行ったのになぁ」「ブルマー戦士って他にも居たんだ」


 そんな声が私の席の後ろから聞こえてくる中。黒井さんの反応は違った。


「あんなのただの二番煎じじゃない」


 二番煎は怪人の方なんだよなぁ…と思いつつ黒井さんの反応には少し驚いた。

 同じブルマー戦士でも好みがあるようで黒井さん曰く、ブルーマーネイビーはレッドブルマーに憧れたただの目立ちたがり屋らしい。

 写真を撮るときは脚を強調したポーズで写ったり、ネット上の動画では名乗り上げたり泣きじゃくったりとみっともない姿が多いとのことだ。


〈いや、レッドブルマーも涙目で顔真っ赤にしたり逃げたりと醜態の限り尽くしてるんですが…それは…〉


 とにもかく気に入らなかったらしい。個人の趣味嗜好と言うのは本当に謎だ……


 ところでこの酷評に怒りをにじみ出している人がいる。


 ご本人ブルーマーネイビーだ。


「黒井さん。さっきから貴女は何を言っているのかしら?目立ちたがり屋?それは貴女の勝手な妄想でしょ?」


 おおーいケンカするんなぁ…


「はぁ?!じゃあなんだって怪人を倒した後に直ぐに立ち去らずにポーズなんか取ってるって言うのよ?」


「写真を撮りたい人たちの思いに答えただけでしょ?チョット気づかいしただけで目立ちたがり屋扱いとか」


「アンタ動画、見てないでしょ思いっきり調子乗ってポーズしてたら攻撃受けてる姿とか超ウケるし。アレ見たらホント萎えるわよ」


 あー、アレは私でも擁護できないわ…


「じっ…実際で見たワケじゃないでしょ!実際は歓声とかも凄かったんだから!」


 苦し紛れの言い訳にしか聞こえないけど、その一言で周囲のクラスメートが食いついた。


「え?!紺野さん実際に見たの!」

「スゲー」

「どうだった?」


 一気に人が群がると黒井さんは逆に離れていき私の方へとやってきた。


「ばーか。レッドブルマー様のがずっとカッコイイのに、ね?Gカップ?」


 何故にソコで私に話を振るの黒井さん…あとGカップじゃありません。


「好みは人それぞれ…だし…」


 正直、ここで賛同してしまうと紺野さんと対立しそうなので無難な回答を返しておいた。


「好みの話をしてるんじゃなくて良し悪しの話をしてるの!解ってないわねアンタ…」


 その良し悪しが趣味趣向で決まるんだよなぁ……


 しかし、余計なことは言わず、ただ黙って黒井さんの意見を聞くことに徹した。


「まずスタイルが違うでしょ。レッドブルマー様は脚はキレイだし胸から腰のラインまで完璧。ブルーマーネイビーは胸がチョットあるだけで脚は少し細めだし、もやしみたいで頼りないし何より体が硬い。脚が全然、上がってない。レッドブルマー様はもっとかかとを高く上げて強烈な一撃で相手をやっつけるの!」


 黒井さんは子供のように目を輝かせ「それでね。それでね」と続けてどんどんレッドブルマーについて語っていった。


 他の人から見ても私って、そんな風に見えてるのかな?

 スタイルが良くって優しくて着飾らずに ひた向きで真っ直ぐ諦めずに羞恥心なんかにくじけず戦う、みんなのヒーローに……



〈中身コレって知ったら絶望するだろうな…………〉


『憧れは理解にもっとも遠い感情だよ』て偉い(?)人も言ってたもんね…


 だからと言って、こうしてレッドブルマーの正体に気づかずに話してる黒井さんの姿を滑稽だとは思わないけど、こんな風に憧れを持たせてしまった以上、正体を知られてイメージを壊すようなマネは絶対にしたくないと私は思った。


「なにボーッとしてんのよGカップ」


 突然そう言うと黒井さんは私の胸を鷲掴みしてきた。


「ひゃあっぁ!!」


 思いっきり潰すように握られると先っぽにズンッっとした鈍い痛みを感じるので思わず声が出てしまう。


「ねぇ気になってんだけどアンタ胸 縮んだ?」


 私は顔をブンブンと横に降って答えた。

 スポーツブラに変えたから控えめに見えるようになっただけでサイズは変わってはいない。


「ホントぉに~ウソついてるんじゃないでしょうね?」


 彼女は無邪気な顔を見せながら指をうねらせながら私の胸を揉みしだいていった。


〈ふぇ~ん。えっちなのはノーセンキューだよ~〉



 下校時間になると紺野さんは私と一緒の帰り道を歩いていた。


「おのれ黒井くろい 優莉ゆり言いたい放題 言ってくれて」


 まぶたを水平にしながらも眉を不機嫌に吊り上げた表情で紺野さんは言った。


「キルカさん。次の怪人出現は何時いつ?!」


「そう言われても私にも…それより帰り道違うけど良いの?」


「コレくらいは大丈夫よ……

……ハッ!?」


「どうしたの?」


 突然なにかに気づいたように紺野さんが声を出した。


「ブルマーのことで気を取られ過ぎていて大事なことを聞くのを忘れてた……怪人って……なに?」


 本当に今さらだよ…


「……実ハ私ニモ解ンナインダー(知ってるけど言えるわけない)」


「そうなの…?じゃあどうして戦っているの?」


「オ兄チャンガ、偶然スゴイ発明ヲシテ ソレヲ人助ケニ役立テタイト思ッテ」


「偶然に偶然が重なったってこと?」


「ソウソウ」


「信じられないわ……でもこうして不思議なことが起きている以上、それが事実なのでしょうね」


「事実ハ小説ヨリ奇ナリッテ言ウシネ」


藤井ふじい そう◯……りゅう◯うのおしごと!……うっ…頭が……


「ところで喋り方がなんか変じゃない?」


「普段カラ喋ラナイ セイデ滑舌ガ悪クテ…」


「そう」


 ムリヤリ誤魔化すとポケットの中に入れていたハチマキが震えた。

 お兄ちゃんからの連絡だ。内容はもちろん怪人出現の知らせたであった。



 場所は市役所の近くであった。

 ソコにデカい毛糸玉のような怪人が縄を伸ばし道行く人を縛り女性の胸や股を締めつける。

 その惨状に一人の中年男性が言った。


「くそぉ、コイツが噂の怪人とかいうヤツか!全然、人の形もしてないクセして!しかし、なんて卑猥なんだ!私の亀甲縛りされた姿なんて妻にも見せたこと無いのに!」


 相も変わらず性別を問うことなく怪人は人々を襲っていた。


 これが……男女平等ッ……!?


 なんてバカなこと考えてないで助けに向かう。


「おお!君がレッドブルマーか!早く助けてくれ、身動きが出来ずにこのままでは何か目覚めてしまいそうだ」


「市長!お気を確かに!」


 近くにいた男性が声をかけてきた。


 市長が変態になっちゃうのは嫌だな……


 しかし縄はほどけそうにない。


「さっきハサミやカッターで切ろうとしたけどダメだったんだけど、いけそうかい?」


 あ、ヤバイ……無理だコレ……


「だ、大丈夫ですブルーマーネイビーが怪人をやっつけてくれればほどけますよ」


「う……くぅ…」


 もう負けてた。

 即オチ2コマじゃないだから、もう少し粘ってよ紺野さん。


「縄が擦れて痛い……」


 太ももに縄を擦りつけられブルーマーネイビーは涙目で泣き言を吐いていた。


 思ってたけど紺野さん意外とポンコツ……


「わかる…わかるぞ。私も必死に抜け出そうとして縄が擦れて皮膚に焼けるような痛みが程好く走ると快感で…」


 ブルーマーネイビーの羞恥に濡れる姿を目にしながら息を荒くしながら市長は言った。


 もう手遅れかもしんない…この人…


「とりあえず。避難を…!」


 私が出来る限りのことをしようとすると右脚に縄が巻きつき引っ張り上げられ逆さ吊りにされる。

 体操服の裾が下に垂れお腹が少し見えた状態から胸を強調させるように縄が絡みつく。


 本当に身動きも取れず肉に食い込んでいく。


「ん…ッ!!」


 痛みに表情が曇ると今度は等間隔とうかんかくに結び目がついた縄が股の間を蛇のように滑っていった。


「きゅぅ……ん…!」


 最初に痛みが次いでビリビリする刺激が頭の中に流れていった。

 歯を食い縛ると変な汗が流れてきたがした。


 脚から痛みが、その間からは痺れた羞恥を…


 混ざる感覚に胸を締めつけお腹から震えていくと、ほんの一瞬だけ縄の締まりが少しだけ緩み再び締まった。


「~~~~~~ッ!!」


 全身に電気が走ったように刺激に思わず目をつむり涙がこぼれそうになる。


「ぁ…」


 自分でも驚くくらいに色のある吐息が漏れ出た。

 それが異様に腹立たしく気分が悪い。


 このままビリビリとしたまま頭が溶けるような感覚に成すすべもなくなぶられるのかと思うと余計に濡れる。


〈イヤだ……いままで一番 恥ずかしい〉


 体に流れる感覚はやがて熱を帯びて酷い風邪を引いた時のように肉体の境界が曖昧になりボンヤリとした熱さだけを感じるようになると もっと強い刺激を求めるように頭の中が熱くなった。


 その熱が外に排出され縄が焦げつき縄が切れた。


 そして、キルカが地面に落ちると緩んだ縄をほどきながら立ち上がった。


 縄の怪人は再びキルカを締めつけようと腕に絡めついたが、今度は縄が発火し千切れる。


 燃えるレッドブルマーの姿にブルーマーネイビーは締めつけられた状態で驚いていた。


「キ……レッドブルマー…?」


 声をかけるも聞こえていないのか返事もない。


〈なんか……凄く体が熱い…〉


 ボンヤリとした熱にただ漠然と怪人に近づき触れ燃やしていった。


「おおー!!」


 歓声が上がると縄は解け、人々は解放されていった。


「大丈夫!?」


 直ぐにブルーマーネイビーが駆けつけフラフラなレッドブルマーを支えた。


「大丈夫…ちょっとボワボワした感じだけど…」


 健闘を称えてか拍手が聞こえてきた。だけど今日は紺野さんは決めポーズをするような事もなく私をお姫様だっこをして、その場を去っていった。


 なんだか守られてるような気分でチョット嬉しく特等席から見る彼女の姿は少し格好良かった気がした。


〈コレで変態さんブルマー好きじゃなかったら、もっと良かったのになぁ〉


 そんなことに思いながら知らずうちに私のまぶたが落ちていった。



 夕食時。家でお兄ちゃんが声をかけてきた。


「いやー、大変だったなキルカ」


「あー…うん…もう大丈夫だから」


 軽く返事をし私はお兄ちゃんに聞いてみた。


「そう言えば燃えたんだけど」


「え?萌え」


「ファイヤーの方」


「ああ。今日の戦いのことか、おそらくブルマーから排熱される熱によって燃え上がったんだろうな

しかしキルカ自身は無傷な様子を見るに やはりブルマーの性能は素晴らしいものだな」


「いや、ブルマー関係ないだろ」


 冷静に突っ込んでいると居間のテレビからニュースが流れてきた。


『今日。午後の3時頃に府愛知ふえち市市役所近くに怪人が出現。またも謎のヒーローに助けられ事なきを得ました

これについて町の人の反応は?』


 ニュースキャスターの言葉の後にインタビューの映像が流れ始めた。


〈この前の服屋の店長さんだ〉


『とっても良いだったよ。店の駐車場を壊しちゃったら大きくなったら弁償するって言って』


──迷惑では無かったですか


『いや、迷惑だなんてそんな。ブルマー戦士が現れた店だっていって人が集まるようになったし、むしろプラス』


 映像が移り変わりインタビューに答える人が変わる。今度は若い男性だ。


──どういう印象を持たれましたか?


『めっちゃキレイでしたよ』


──服装についてはどう思いますか?


『ちょーカワイイ。男からしたら嬉しいですよね♪』


 その後も好意的な発言ばかりをまとめ放送を続けいった。


「どうだキルカ。やっぱりキルカは可愛くて優しくて最高なんだ。みんな認めてくれてるぞ」


「マスコミの印象操作だよ……マッチポンプだって知ったら盛大な手のひら返しが見れるよ」


「マスコミ怖ぇぇええ!」


「素で犯罪行為に手を染めてるお兄ちゃんが一番怖いんだけど」


「でもヒーローが現れたことで経済効果もあったからプラマイゼロでしょ」


 親指を立てて良い笑顔を見せるが女性からすればマイナスに振り切れてる。


「プラスなのは男だけでしょ…」


「やめて……マジで責められると…贖罪しょくざいのしかたがわからなくて死にたくなる…」


 お兄ちゃんが突然、絶望のオーラを吹き上げた。


「あーーー!もう!!お兄ちゃん本当にメンドクサイッ!!」


 本当に扱いに困る。

 しかし、こんなんでも お兄ちゃんはお兄ちゃんであるから本気で突き放すこともできない自分も困り者だ。


『─市はブルマー戦士の活躍が、よりしやすいよう怪人との戦いででた損害は市が全面的に補償できるようにするとのことです』


「え?」


「お?」


 テレビから流れてきたニュースに思わず二人して反応してしまった。


「良かったなキルカ。これでコレからは心置きなく戦えるぞ」


「都合が良すぎて逆に怖い………」


「二人ともそろそろ御飯できるからテーブル片付けておいて」


 私の不安など気にせずに今日も日常が過ぎ去っていく。

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