第7話 尊
6月 最初の休日の午後。その日は私の家に紺野さんが来た。
私は さっそく居間に案内し、お茶を出すとお兄ちゃんを交えて会議を始める。
ちなみに休日だが お母さんは仕事で居ない。
「では最初に現在のブルマーの性能がニーソックスありきの設計についての問題から話し合いましょう」
うん、なんとなく察してた……まともな会議にならないだろうなって。
「ニーソックスを履いていてはブルマーの神聖さを十分に伝えられない。だからと言って履かなければ怪人との戦いに後れをとる。このことからもニーソックスなしでの脚力向上は急務だと言えます」
紺野さんは、そう言って向かい合うお兄ちゃんに言った。
「改善か…それは難しいな…」
「なぜ⁉」
二人は真剣な面差しで会話をする。
「アレの開発には非常にコストが掛かる…」
「予想はしていたけど、いったい…どれ程の額が掛かっているのかしら?」
「いや、金銭面の問題より俺の精神状態のが重要なんだ…ッ!!」
「え?! そ、それはどういうことなの?!」
え っ ち で ム ラ ム ラ し て る 時 で し か 発 明 で き な い ん だ !!
流石に紺野さんも色を無くしたように無表情に呆然とした後に「はぁ˝っ!!」とドスの聞いた声でキレた。
「ふざけてるの?」
「大 真 面 目 だ」
次の瞬間。紺野さんは、お兄ちゃんの頭を殴り叫ぶ。
「最っっ低ぃ!! 下品! 不潔!!」
〈うん、確かに女の子の前で言う言葉じゃなかったよね。でも殴っちゃダメだよ紺野さん〉
そう思いながら、お兄ちゃんは後頭部にタンコブをつけながら顔を上げると言った。
「テンポとキレは大切だが 殴るのは良くないぞ。
「何をワケのわからない事を…というか反撃しなければ、ずっとセクハラに悩まされるでしょう!この前の話だって十分セクハラだったのに!」
「ともかく、エクスタシー状態じゃないと開発できないから改善は無理だ」
「だったら、えっちな本でも買ってきて早く開発して下さい」
紺野さんは顔を赤くしながなら言う、しかし兄が言うには、その程度のモノを使った所で開発力は上がらないそうだ。
だからって妹で発情しないで欲しい…
「しかたがない…それでは次の議題。キルカさんがブルマー姿を嫌がっている問題について」
おや?それもセクハラでは紺野さん………
しかし、陰キャなので何も言えずに流されるまま流される。
「キルカさん。どうしてブルマー姿を嫌がるの?」
「え…いや…だって、あんなのパンツと何も変わらないし…」
目を逸らしながらも私は聞かれるままに答える。
「パンツとブルマーは別物よ!!」
「お、同じだと思うけどな…」
思わず小声で返すと紺野さんは否定した。
「じゃあ聞くけど水着と下着は同じものなワケ?」
そう言われ私は反射的に「いや水着は水泳用の服だよ!」と返してしまった。すると…
「ブルマーも同じよ。アレは運動用の立派な服よ。だから下着とは全くの別物。貴女が嫌がっている理由は貴女の勝手な思い込みなのよ」
恥ずかしがる必要なんてない。と表情で物語ながら良い笑顔をコチラに向けてくる。
あらためて力説されると〈アレ?…だとしたら水着って結局、下着と同じじゃね??〉と思うようになってしまった。
「でも…できればブルマーじゃない方が嬉しいかな…」
私は苦笑いを浮かべながら言うと紺野さんは静かに「そう…」と一言 口にし、諦めた…
と、思わせて続けてこう言った。
「そうよね、ブルマーなんかより最新のバインダーブルマー方が良いわよね」
「は?」
ごめん。いま なんて言った??
「バインダーブルマーって何!?」
聞きなれない単語に困惑しながら叫ぶと紺野さんは「そんな知らないだなんて」といった表情でショックを受けていると、お兄ちゃんがスマホを
そこには太ももの付け根より少し上くらいの位置でベルト(?)のようなものが左右に巻き付いたブルマーの画像が映っていた。
「これがバインダーブルマー…まぁ…普通のブルマよりはマシ…かな…」
普通ブルマーよりスポーティーなデザインだったので私は つい口走ってしまうと「やっぱりソッチの方が好みなのね」と今野さんに言われてしまった。
「ふむ、キルカは機能性重視なタイプか。確かにバインダーブルマーには次世代のブルマの可能性を感じる…難しいが開発には積極的に取り組んでみよう」
「あ…いや…別に穿きたいワケでは……」
「遠慮するな」
してない
「しかし、バインダーブルマーはバインダー部分が食い込んで 思わぬエロさを生み出す。そんなブルマーを自分から選んでくれるなんて お兄ちゃんは嬉しいよ」
「そうやってイヤらしい目で見るからキルカさんも抵抗感が強くなるのよ!!」
穿きたくないと私が言うより早く紺野さんは怒った。
いや、そういうの関係なく穿く気がしないけど…
「とりあえず、どちらも問題解決には開発を待つしかないのね…」
紺野さんはそう言った。
アッ…ハイ…もう私バインダーブルマーを穿かせる方向なんですね…
陰キャに人権はない…
そう思っていると次の議題を紺野さんが上げた。
「残る問題は、学校にいる間に怪人が現れた場合の対応についてね…これは…差ほど重要ではないけど一応、話し合っておきましょうか」
いや!!!ソレ!!!一番重要ぉ!!!
「私としては今まで通りで良いと思うのだけれども、キルカさんはコレを気にしてるみたいね」
「うん…だって正体がバレたら大変だよ…」
「どうして?私は正体がバレてもいいけど」
「どうして?って、だって恥ずかしいし…ソレにヒーローだと思ってる人が正体を知ったらきっとガッカリすると思うよ…」
ついでにマッチポンプの件がバレたらと思うと……
「まぁ騒ぎになると面倒だろうからなソコも次の改良でなんとか出来るようにしておこう。それまでの間は二人で上手く誤魔化してくれ」
こうして、まともじゃない会議は終えると紺野さんを玄関へ送り届ける。
「それじゃあ、また」
そう言って彼女が玄関のドアを開けると目の前に
「なにこれぇ……」
また、お兄ちゃんでしょ?これ。今度はキョンシーかよ如何にもってポーズとって
で?今度はどんなエロいことすんだよ。
そんな悪態を心の中でついていると紺野さんはポケットからハチマキを取り出しながら言った。
「怪人?! まさか私たちを直接 倒しに来たというの⁉」
させない。そう言いながら紺野さんが言いながら変身すると私も渋々ながらハチマキを頭に巻く。
そうするとキョンシーは直ぐに紺野さんの
すると彼女はこっちを振り向き私を押し倒して脚に手をかけた。
「え⁉ ちょっ…!!紺野さん!!」
これは明らかに操られている。そう思ってキルカは紺野さんについている お札を剥がそうとするが彼女自身の手によって防がれる。
その後、ブルーマーネイビーはキルカのニーソックスを下へと下ろしていった。
「ああ…なんて綺麗な脚…」
うっとりとした視線でブルーマーネイビーは脚を
「ひゃぁ!! くしゅぐったい…」
ゾワゾワふわふわ こそばゆい感覚は小脳が予想外の刺激に混乱を起こし自律神経が過剰に反応することで起きる感情である。
本来は不快感として処理されるものが形を変えてキルカの中に流れると無意識に逃れようと体がクネり動いてしまう。
体に思うように力が入らず赤くした顔を
「お兄…また…ふひぁひゅぅいっ!! 変なの作って…」
キルカは笑いながら 兄、
「悪いがコレは俺のせいではない。あの怪人は百合の波動で目覚め。百合の可能性を感じる場所に現れ。百合の花を芽吹かせる程度のことしかできないのだからな」
「十分おかしいからっ!!というか、それじゃあ紺野さんはレズっ気があったてこと⁉」
「いや!それだけでは本来ヤツは目覚めないハズ! キルカ!お前もその子に何か感じたたんじゃないか?」
「何かって?」
「そうだな、例えばカッコイイと思ったりチョット良いかなって思ったり…」
………あ。この前 お姫様抱っこで運ばれた時とか…
いやいやいや!!あんなんで百合扱いかよ!!百合判定ガバガバだな!!オイ!!
「とりあえず助けてよ。お兄ちゃん」
「百合の間に男は不要!!!!ただ遠くから見守るのみ!!!!!割り込む者が居れば絶対排除!! それがあの怪人。ソンシーだ!!なので俺はソンシーの味方をする」
「ちくしょうぉおおお!!役に立たねぇえ!!」
そんなアホなやり取りをしているとブルーマーネイビーは太ももに頬ずりをした。
「んん…っつ!!」
「ああ、きめ細やかな肌…そして弾力…全てがブルマーを穿くために生まれてきたといわんばかりの脚だわ…こんなに綺麗な脚をニーソックスなんて無粋な物で隠してしまうなんて勿体無い…」
「紺野さん…もぅやめでぇ…」
半笑いながら涙目になるキルカを
「正直レッドブルマーの脚には憧れていたの…私の脚は貴女より少し細いからブルマーを穿きこなせてないの。だからお願いもう少しだけ見させて」
紺野さんの潤んだ瞳で上目遣いされると何故だが断りに
そういえば普段は胸ばかり見られててソコしか話題が行かないけど、こんな風に脚を褒められたのは初めてかもしれない…
「そ、そんなに私の脚って…キレイ…かな…」
キルカは視線を逸らしながら頬を赤らめ言った。
「とっても…」
「……そう…言って…貰えるのは嬉しいけど……見るのは、程々にね…」
その瞬間。怪人ソンシーは灰になって消えた。
<< 突 然 の 尊 死 !!!! >>
ついでにお兄ちゃんもラ〇ウみたいなポーズをとって死んでいた。
「たっとぉぃ……」
いや、よく見たら生きてた…
※
ソンシーが尊死した。ことにより紺野さんも元に戻り一件落着となった。
「うう、操られていた間の記憶がなんだが
思い出さないで下さい。
「正確には操られていたというより欲望が解放された状態だな」
お兄ちゃんがそう言うと、紺野さんは顔を赤くし私に向き合って頭を下げた。
「ご、ごめんないさいキルカさん。もしかして私 すごい恥ずかしいことを…」
あ……なんとなく思い当たる
「ッ…大丈夫だよ気にしてないから」
「つまり、紺野さん相手なら太ももを自由に見ても触っても気にしないということかっ!」
私が気を使った言葉に対し お兄ちゃんが余計なことを口にすると紺野さんは顔を真っ赤にした。
「失礼しましたっ!!!」
そう言い残して彼女は走り去っていった…
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