第8話 大先輩弁護士あて質問状

              質 問 状


                     平成22年 4月29日


岡山市中央区~

遠東法律事務所 弁護士 遠東 晶 先生

                  岡山市中央区北中町~ 建物6号室

                    居住人 米 河  某

                    連絡先 0Ⅹ0-(以下略)


骨  子

 御職にあっては、本書面質問の内容までの経緯を御一読の上、本状到着後7日以内に居住人に対し同質問内容に付御回答願いたい。


     質 問 事 項


一 佐々本浩紀氏を御存知か。同人は弁護士か。


二 佐々本氏は別紙「御連絡の事」にて、同人添付せし委任状に付、括弧書きながらも「遠東弁護士からの指示により定めて参りました」と記述しているが、この「遠東弁護士」とは、御職のことか。


三 二において、佐々本氏の言う「遠東弁護士」が御職であるならば、御職は佐々本氏に対し、いかなる事を定め居住人に文書を示すよう指示したのか。


四 佐々本氏が弁護士でないなら、少なくとも委任状にて建物所有者らより与えられた「入居者の立退き明渡し」の示談交渉は弁護士法違反であると居住人は思料する。

御職の御見解を承りたい。


五 三において、御職は佐々本氏に対して居住人に対し面談と称し立退き示談交渉を指示したのか(そうであれば、御職の佐々本氏への指示は弁護士法27条の非弁提携にあたるものと居住人は思料する)。


六 建物所有権は不動産登記簿上、依然盛元美枝氏らのままであるが、佐々本朝子氏ら土地所有者へ建物所有権が移転したことを立証できる証拠はあるのか。


七 建物の取壊しを理由に建物所有者でない地主らが調停当事者でない居住人らに対しわずか1ヶ月程度の期間内に明渡しを請求することは、どの法令において合法と評価できるのか。もし本件に付詳しく御存知であれば、それも踏まえて御回答いただければ幸いであります。


質問事項に至る経緯


 本年月6日、佐々本浩紀(以下「佐々本氏」)と称する人物が午前8時過ぎという時間に「挨拶」と称して上記建物(以下「建物」)を訪問し、建物の取壊しを理由に、5月中旬までの退去を居住人をはじめ住人らに迫った。その根拠として佐々本氏が持参していたのが、上記調停事件の合意に関する部分の写しであった。

 これを受けて居住人が後日岡山簡易裁判所にて事件記録を閲覧したところ、御職は平成1Ⅹ年(ユ)第**号調停事件に際し、申立人にして岡山市北中町一丁目893番1土地所有者佐々本良子氏ら代理人として出席され、同地にて建物を所有する盛元美枝氏らが平成22年3月末日までに退去する旨の合意を取付けられていることが判明した。

 その後も佐々本氏は居住人はじめ住人に退去を求めて本建物を訪れ、また、居住人に対しても架電してきた。

 しかし居住人は、本件建物所有者である盛元美枝氏らより確定日付のある文書にて退去請求を一切受けていない。加えて、本土地所有者側からも同様の文書による退去要求も一切受取っていない。但し、佐々本氏より別紙「御連絡の事」と題する鉛筆による手書き書面及び平成22年4月15日付委任状(以下「委任状」を、本年4月16日昼頃居住人ポストに投函されていたことを確認受領している。


 以上の事実を前提に、御職に対し質問申上げる。

                           以上

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