第2話 成績
「eスポーツクラブ?」
僕はとなりの女の子に聞き返す。 いままでの想定にあった、運動部や文化部とは違う。
想像外のクラブだった。
「そうよ!いま話題のeスポーツのクラブよ!」
彼女は目をキラキラさせて元気にそう言った。 それだけで楽しさが伝わってくる。
「eスポーツってなんだっけ?聞いたことあるような」
僕は彼女に聞き返す。
ニュースで聞いたことがあるかもしれない。
そういうテレビ番組もあったかもしれない。
「ゲームの大会よ!いまやゲームの大会は、一回の大会に優勝するだけで3億円。年間100億円近い賞金が用意されているゲームもあるわ」
彼女は説明する。 それはゲームの大会。 もしかしたらオリンピックの競技になるかもしれないと言われている、新しいスポーツだった。
「すごい。普通のスポーツの賞金に匹敵するんだね」
僕は答えた。メジャースポーツ、特にメジャーリーグなんかだと年間数十億円の契約料をもらっている選手もいるから、それに比べると、まだ差はあるかもしれないけれども
かなりの規模の大会になっているみたいだった。
「そう、今後はもっと大きくなっていくと予想されるわ」
彼女は言う。確かにそうなんだろう。まだ僕が聞いたことあるような・・・というレベルでその規模であれば、これからどんどん大きくなっていくように思える。
「たしかに、そうかも。オンラインで大会もできるだろうし」
僕は言った。今後はそこも重要になってくるかもしれない、大人数が一箇所に集まって体をぶつけ合うというスポーツばかりを続けるのは難しいかもしれない。
「そう、そして、普通のスポーツと違って女子も対等に活躍することができる!」
彼女はさらに目を輝かせて言う。
小学生の今だと、まだまだ男女が一緒にサッカーをやったり野球をやったりというのはあるけれども、さらに成長していくとなかなか難しいかもしれない。
「そうか、体格の差がそんなにでないからね」
僕は言った。基本的には画面を見てボタンを押すだけだから、そんなに男女の差は出にくいと思った。
「すごいね、eスポーツクラブは大会とか出ているの?」
僕は彼女の目の輝きに飲み込まれてさらに話を聞いた。 eスポーツの楽しさがしっかりと僕に伝わったくる。
だんだん興味も加速していく。
「もちろん、出ているわ!」
彼女は言う。 そう、ただゲームで遊んでいるわけではないのだ。
他の部活と同じように、全国大会を目指して闘っているのだ。
それは、トップゲームの賞金を把握していることからも伺える。
「へーどのぐらいの成績なの?」
僕は聞いた。
ゲームのプレイ人口も増えている昨今、なかなか勝つのも難しいのだろうと予測される。 それだけの賞金が発生しているなら尚更増えていくだろう。
「そうね、去年は小学校の部は全国一位だったわね」
彼女はさらりと、去年の成績を口にした。 それは全国一位だった。
僕が予想していたものを遥かに上回る成績をおさめていた。
「え、一位?」
そう、目の前にいた美少女はとんでもない実力者だったのだ。
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