第13話 護身術の師範バルガス
あれから無事に帰ってこれた。
今を正直に言えばあの暗殺者に対抗したい。
だから私は護身術を習うことにした。
どうして護身術なのか。それは剣=血を連想させるから。
聖職者たちは剣はいくら正当防衛でも握らないらしい。
ちなみに私も例外ではない。はぁ。教わりたかった。
でもでも! 今日はなんと! 護身術の師範バルガスさんがくるとか。
はぁ。凄く緊張する。私ってこんなに緊張しいだっけな。
「きたよ。ミサト」
どうしてかは解らないけどシルヴァもいた。とバルガスさんが私に会いにきた。
話せる距離になるとバルガスさんは立ち止まり厳つい顔を笑顔に変え始めた。
「貴女が聖女様かな」
「はい! 私が聖女のミサトです! 今日はよろしくお願いします!」
「うむ。挨拶の出来る子だ。自己紹介もな。感心したぞ。儂の名はバルガスだ」
「はい!」
「では……始めようとしよう。どこからでも攻めてくるといい」
バルガスさんは護身術を披露するつもりのようだ。参考になるかな。
いちようだけど今の私の恰好は聖女でもドレスでもない。
今の恰好は実に動きやすい。とにかく攻めればいいんだよね? 攻めれば。
私は勢いよく走り出した。なにをしたらいいのかなんて判らない、本当に。
取っ組み合いをしようと近付いて気付いた時には私の体は宙に浮いていた。
え? 嘘? あ。このままだと地面にぶつかる? と思ったら寸止めされた。
バルガスさんは器用にも私が地面にぶつかる前に止めてくれた。ふぅ。
「動きがなってませんな。では今度は儂から行こうか」
バルガスさんは言う前に私を地面に置きそれから喋っていた。凄い腕力だ。
私は倒れることなく立っていた。だから素早く振り向き身構えることが出来た。
と言っても私は素人だ。出来る訳がない。どうしても弱腰になりそうだ。
癖が酷いと言えるくらいに私は手を出す。すると即行で腕を握られた。
不味いと思い力押しをするが負けてしまった。く。駄目。拘束された。
あ。今になって挑むことへの恐怖心が湧き出てきた。これは不味い。どうしよ。
だけど時間もバルガスさんも待ってくれない。ああ。また宙に浮いていた。
またかとはこういうことを言う。はは。今日はこれの繰り返しになるようだ。
私はなんとしてでも暗殺者に勝ちたい。だから今を懸命に生きようとしていた。
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