第11話 招待状がきた

 平和協定を結んだ第三国から招待状がきた。


 なんでも奇跡の聖女を一目見たいのだとか。


 はは。私はパンダですか。でもここは行かないと駄目だ。


 じゃないと相手国の王様に失礼だ。


 私は聖女の恰好を止め念願のドレスアップコーディに挑戦した。


 フフ。さすがは身分が高いだけあってどれも着飾っている。


 あ。それよりもなぜかシルヴァもおめかししていた。


 はは。なんて可愛くて時めくんだろう?


 解らないまま私とシルヴァは第三国に辿り着いていた。


 なんて豪華で絢爛けんらんなパーティ会場なんだ。


 転移前の私では考えられないほどの待遇のよさだ。


 うん。待っているあいだに食べたり飲んだりしていてもいいのだとか。


 なんて気前のよさなんだ。転移前の私なんて一円でも安いを目指していた。


 あ。イケメンだ。見た感じは王子っぽい。若いな。って私も若いか。


 嘘。王子っぽい人が本物だったなんて。自己紹介された。もうここはなに?


 あ。私も自己紹介しないと。という訳で自己紹介しました。は。ひざまずかれた。


 えぇ!? 嘘でしょ? こんな私と踊ってもいいの? こんな私なのに?


 あ。手を取られた。もう行くしかない。は、恥ずかしいけど踊るんだ。私。


 転移前も今も私は踊ったことがない。だけどなんなの? このやりやすさは?


 相手のリードが上手いってこと? あは。踊れてる、不思議と。す、凄い。


 お。どうやら王様がきたらしい。王子との踊りは途中で途切れてしまった。


 でも王子はまた今度だねと私にウインクをしてくれた。はぁ。恋しそう。


 こんなにも男性に近付いていい匂いがするだなんて反則だ。は。弱いな、私。


 それよりも気を取り戻して王様を見ると威厳が感じられた。さすがは一国の主。


 ああ。王子にも会えて踊れたし私をこのまま妃にしてくれないかな。


 あーこの世界にきたらもう聖女は無理だ。あっちは功績がないと外出禁止だし。


 自由がある方がいいよね。でも戻ったら戻ったで精一杯また頑張るよ。


 甘い一時をどうも有難う。一時的にだけど自由を有難う。私は元気になったよ。


 今の私はどんな困難も乗り越えそうだ。例えば王様の長話を耐えるとか。


 実際に耐えていると夜がきた。帰るには明日になる必要性があった。


 だから私とシルヴァ以外も第三国に泊まることにした。ふぅ。疲れた。


 束の間の一時だったな。はぁ。楽しい思い出が出来てよかった。


 今日はもうゆっくり寝よう。そうだ。明日も早そうだしそうしよう。


 そうと決めたらベッドに直行しうつ伏せに寝た。はぁ。お休み。シルヴァ。

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