第3話 モフモフがくる
ああ。なんていい日なんだろ。
一人が寂しいと言ったらモフモフがくるらしい。
あはは。抱っこ出来るサイズだといいな。
そうすれば祈りの場所まで連れていけるから。
はぁ。正直に言うと祈りは退屈。
だけどモフモフのお陰で頑張れる。
私にとってモフモフは最大の癒し。あ。イケメンもいいな。
でも聖女があまり人間を相手にしていい筈がない。
そもそも人間は基本的に邪な存在とされている。
聖職者たちはなるべく人間を避けている。
私は神聖な生き物だなんて差別だよね?
そんなことより念願のモフモフがきたー!
おお! モフゥモフゥ。このサイズなら連れていける!
猫型のケットシーと言う魔物らしかった。
魔物だけどこのケットシーは白くて穢れていない。
あは! それに宙に浮けるらしかった。
なんとも凄い。あとはイケメン。ゴホォ!?
なんでもない。ちょっと喉を詰まらせた。
そうだ! ケットシーに名前を付けよう!
うーん。名前か。モフたんもいいしな~。
私が無断で名前を決めようとしたらケットシーは不服らしかった。
「僕に名前はいらないよ」
え? 嘘ー! この子って喋れるの? あ。それより振られた? 今。
ガーン。ショック。ここは――
「私じゃ不服かな? かな?」
無駄な圧力を掛けてみた。名前を付けたいのにな。はぁ。
「だって僕はだれにも必要とされていないんだ」
うんとそんなことはないような。ここはフォローしないとな。
「そんなこと言わないでよ、今日から君は家族なんだから」
私の言葉にケットシーは驚いていた。
「家族? 僕が? 君と?」
ああ。きっと悲しい人生を歩んできたのね。ここは――
「うん。私にとってモフ――。ゴフォ!?」
まただ。また喉を詰まらせた。
「だ、大丈夫!?」
あ。心配されている。よし。気を取り戻してっと――
「私が一人だと寂しいように君も一人が寂しいんでしょ? 私は独りにしない」
というか猫権を大事にします。私は。だから――
「甘えてもいいんだよ? 私に」
ケットシーは急にモジモジし始めた。か、かわいい! はぁ。モフりたい。
「ほんと?」
ケットシーはそう言ったから私は静かに頷いた。するとケットシーは――
「僕! 僕の名前……決めてもいいよ、君なら」
よしきた!
「んじゃあモフたんでどう?」
「嫌」
そ、即答だった。んじゃここは――
「んーとシルヴァでどうかな?」
「シルヴァ!」
あ。OKが出たみたい。シルヴァの両目が輝いていた。
「ちなみに私の名はミサトだから」
「うん! ミサト! 僕はシルヴァ!」
あはは。相当に気に入ったよう。名付けた甲斐がある。
これで私はシルヴァを独りさせないしシルヴァも同じ。
私は聖女の仕事に嫌気ばかり。たまには癒されたい。
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