第4話 家と学院
戻った僕はまず、ミチルの家族へと顔を出すため、彼の実家へ向かう。
しかし、このままでは彼の家族とはうまく話せるか分からない。
そこで考えた。
「……【
『え?』
この能力は僕の能力で封印してある魂1つを自分の人格に取り入れる能力だ。
と言っても意識を入れ替えるだけって感じはあるけどね。
「つまりこれで僕は家族とも会話できるってこと?」
『そうなる。この街にいる時は君の意思、意識が中心となる。せめて家族との別れを楽しんでほしい。戦闘になった時は体を返してもらうけど』
「うん。分かった。後は?」
『僕に喰われた事は他言無用としてくれ。なんか嫌な予感がするんだ』
ミチルはこくりと首を縦に振り、肯定する。
正直、こうした方が容易い。
ミチルは自分の家の扉を開ける。
「ただいま」
静かに帰還の言葉を飛ばす。それに反応したのか、一人の女性が出てきた。
「ミチル!今までどこに行ってたの!?禁域の森へ行けとまたいじめっ子たちに言われて行ったって言うの!?」
やたらと心配されてるようだ。何だ、いい家族じゃないか。
あれから数時間、彼(僕入り)は保護され、僕に喰われたこと以外の事情を話す。
そして、夜中、彼の自室の中で僕とミチルは会話をしていた。
『フム、勇者と魔王が戦った人魔大戦の時代はもう過ぎていたのか。道理で外が静かで穏やかなはずだよ』
「うん。でも魔王や勇者はまだ存在してるよ。お互いまだ動いていないけど……ある一部の詩人の歌によると停戦協定が結ばれたとか」
停戦協定ねぇ……なぁんか胡散臭いな。
『で、明日学院に行くんだろ?僕はまだ引っ込んどくけど?』
「ボクがいじめられそうになったら体の制御を返すよ」
こうして軽い雑談を終え、ミチルは眠り、夜が明ける。
*
翌日、ミチルはいつものように学院に行く。
挨拶や授業は何一つ問題なくこなしているがここからが問題だ。
「おい、ミチル。ちょっと顔貸せよ」
いじめっ子たちの処理だ。
ミチルは校庭に呼び出され、無理やりな手合わせを強要させられ、ボコボコにされた挙句に所持金を奪われる始末だ。
ある意味山賊に近い奴らだな。
(カゲミチ、変わって)
『お?出番かい?』
戦う前に僕と入れ替わって、代わりに僕が戦闘態勢に入る。
「言っておくが、負けたらまたあの森に行ってもらうぜ?」
「僕が勝ったら?」
そのことに周りの奴らは大笑いする。自分が負けるはずがないっていう自信があるらしい。慢心だなぁ。
「は!勝てたら見逃してやるよ!」
「わかった」
先ず僕は強化魔法を自身にかける。
「【
「お?本気で来るのか?」
「来るも何も、本気で来ないと面白くないでしょ?」
「はは、面白れぇ。このバイド様の剣裁きを往なせるかな?」
バイドという少年はどうやらこのいじめっ子集団のリーダーを務めてるようだな。なら話は早い。
『気を付けてね。バイド君の剣裁きは学院の中では指折りの性能だよ。油断しないで』
了解。まぁ剣が槍に勝とうなんざありがちな話なんだけどね。
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