第3話 ダンジョンの外へ

あの茶番から数時間、少しずつ体を慣らしつつダンジョンの外を目指し、てくてくと歩く。


「へぇ、この槍、まだコモンの装備品なんだ?」

『うん。けど装備レベルは45だから、結構強い方なんだ』


あ、言い忘れてたね。この世界には装備のレアリティとレベルが存在する。レアリティは複数存在し、コモン、アンコモン、レア、スーパーレア、レジェンドレア、プレミアムと6種類存在する。無論、装備のレベルが高ければ高いほど強く、最大100レベルまで存在する。


異世界からやってきた賢者や勇者は規格外だったらしく、レベルは全て9999の常識外の数値だったとか。


考えただけで恐ろしいよ。


「取りあえず、もう少しでダンジョンの外だ。久しぶりの外出だから、少し緊張するな」


そう言って僕は最後の階段を上がり、第一階層へと出てくる。


「一階層。さすがに人の気配はないか……」


本当に一人で来たミチル君。度胸は認めるよ。

でも本当はダンジョン攻略は一人ソロじゃなくて群れパーティでやるもんだよ?


よく最深部まで来れたな……。


森の外へ出て、辺りを見渡す。


相変わらず草原が広がり、きちんと馬車が通れる道が見える。


「さて、と。君の学院はこの森から東だったね」


そういえばこの森から東は結構道が険しかったはず。食べた時にアイテムが無いのは、ここまで来るのに苦労したって感じか。


『あそこの山を越えていったところにあるんだ。カゲミチなら行けるよね?』


空さえ飛べれば苦ではないよ。でも翼を生やした魔物は未だ食べたことがない。現段階では無理だ。どのみち徒歩で行くしかない。


「じゃあ行くか、徒歩で」

『うん。徒歩だね』


ダンジョンを抜けたのは良いけど、次は山を越えるのか……無茶言うよ全く。




しばらく経って山の頂上へ着く。


最初は森やら崖やらで苦労したけど、上り詰めてしまえば後はどうにでもなる。

上から地上を見渡すと、大きな建物を発見した。


「アレが君の学院かい?」

『うん。そうだよ』


あー大変だった。こんなのになるなら途中で鳥型の魔物を食べて空を飛べばよかったよ。見かけなかったけど。


そう考えつつ山を下りたのだった。


それからして学院の近くにある街へと着く。


賑やかな街の風景、時々冒険者を見かけるが、未だ僕が魔物であることは気づいてない。それに昔は魔物を遠ざけるための結界が各国の街や都市に張られてたんだけど、そのような気配がこの街にはない。


かなりの平和ボケが目立つようになったなぁ、人間社会は。


取りあえず、ミチルの家へ向かおう。


学院に行く前に家族に事情を話さねばならないからね。


『大丈夫なの?』

「僕自身、レベルは高めだからね。王国の近衛兵並みの連中なら軽く蹴散らせる。問題ないね」


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