第44話 旋風機

街角で「旋風機」を買った。前からウインドウ越しに欲しいと思っていたものだ。どんな涼しい風が出るのだろう

どんな柔らかな首振りが

どんな音色なの

どんなリモコン…


「マジか…」


段ボールを開け、手間暇かけて組み立てようと思っていたが、開けると既にもう組み立てられた完成品であった。


「ポチ」


普通のリモコンで起動させる。


「♪♫♪♫♪♫♪#♭♫♬♪♫♪」


聴いたことのない心地よい音楽が風と共に流れる。波の音のような川のせせらぎのような。


「涼し過ぎる」


この商品は口コミならぬ、風コミであっというまに世界中に売れに売れた。


今年の夏もまた平和に過ぎる。


晩秋から戦闘態勢に入る。見えない敵に向い自分自身それぞれがステルス装置を身に着ける。


誰の目にも見えていない「ステルスSEAサバイバルゲーム旋風」が流行し、皆見えない中で闘ってる。





海風が懐かしい…深海から久々に姿を現した男は、海辺で「旋風機」を回し母なる音を漢字る。


「押忍召鱚」

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