第18話 シンクロ手相
「同じ手相を持つ人を3人見ると死ぬよ」
路地裏の怪しい店構えの占い師は断言した。
私はちょっと心が不安定だけど、そこそこオシャレもしてデートも楽しむ普通の女の子。
会社はブラックでもホワイトでもなく「グレー」な感じだけど、いつもくだらない話に付き合うのが唯一の得意技。
特別な人は絶対現れないと思っていた。
偶然隣の席の男性社員が私と同じますかけ線を持っていることを発見する。特に話題に出すことも互いに無かったので自然と時は過ぎた。その方は所帯持ちでもあった。
3年後、会社を辞め、街中をふらりと歩いていたら、見知らぬ男が声を掛けて来る。
「お嬢さん。手相を見せてください」
「えっ やだわ」
「ささくれが酷かったもので」
(この人、私のどこ見てるの?)
思わず指先を隠そうとした時、その男が手を並べてくる。
私の左手と男の右手。ますかけ線が繋がった。いともピッタリと…。
「これって運命の赤い糸ですね」
「そうかしら」
私のささくれた指から流れ出た血がますかけ線と運命線を伝って、新たな世界線が流れ出していた。
「さあ この線に沿って小さな船を浮かべましょう」
「ええ」
今も繋がれたますかけ線上を子、孫、ひ孫、玄孫と長い航海続けている。その船は、我々の掌で永遠に往復しているのである。
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