第17話 「逆プロ」

逆ナンならず逆プロを突然受けた。

 

 逆ナンパの経験はあったが、正直プロポーズをいきなり付き合ってもいない娘から受けるのは初めてであり、今まで生きてきた中でとても新鮮でピュアな想いが伝わる内容だったので、マジで感動した。

 

「あの~  」文字文字 もじもじ…

 

「何か」しーん scene1

 

「あなたとは結婚できません」

 

「はぁ?」scene2

 

「だから できません」

 

「どういうこと?君逆ナン?」

 

「そういうのではありません」

 

「じゃあ」

 

 シーン シーン 沈黙scene3

 

 

「あなたの蕎麦の食べ方が…」

 

「ああ」テーブルにこぼした蕎麦のつゆを袖で拭く。 scene4舞台袖へはける。

 

 

 

(3年後)

 

 

 私と妻は仲睦まじくキッチンで蕎麦を茹で水で〆てひたすらすする。

 

「あなた 思い出すわね。初めて出会った蕎麦屋」

 

「うん。そうだな。」

 

 今でも妻は私が蕎麦つゆや麺をこぼすのを嫌がる。でも裏返し。本当は好きなのだ。

 

「まったく、もう」

 

「また、やっちゃったな」

 

 妻はしょうもないなという仕草でテーブルを毎日拭いてくれる。

 

 逆は真なりという言葉が私の傍から離れなかった。

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