第9話 新雪心
「今日も早朝出勤だ」
冬期間、除雪業務で稼いでいる俺は、毎日積雪量を独自の理論で計測している。
「こころなしか、溶けているな」
それを確認し、除雪トラックを走らせる。
明朝、さらに積雪が溶けている。昨日あんなに雪が積もったのに。
同僚に聞く。
「お前の家の前の積雪何センチだ」
「センチメンタルってとこですかネ」
相棒は冗談ばかり言うので、本心が分からない。
「そうか。わかった」
俺の計測ではもう全て解けた。
「明日、プロポーズしよう」
俺は長年付き合った愛する者にプレゼンと愛の言葉を投げかける。
「いつも、ありがとう、これ」(エアプレゼント)
「親切心だけ頂くわ」
彼女は俺のプレゼンは一切ウケてくれなかった。
ーーー彼女は真面目な人間で、笑うということを忘れ去っていた。
当然答えはNOだった。
「なあ、相棒。俺の新雪心深すぎたかな?」
「8 センチメンタルってとこですかね」
相棒の雪ダルマが一緒に泣いてくれ、雪の下深く溶けながら言った。「不快イイだったんっスかね」
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