第8話 天は二物を与えず

鏡をみて絶望的に涙を流す超絶美女。

 

「なぜ、私は内斜視なの?」

 

「それは、病気ではありません。あなたの魅力ですわよ」

 

「魅力?」

 

「そうです。そのまま、ありのままでいいのです」

 

 

 美女は病院へ行き手術をする事を病めた。

 

 美女はマルチに活躍していた。モデル、女優、アナウンサー、お天気キャスター、読み聞かせボランティア、親の介護…

 

「おまえの眼を最期に、よーく見せておくれ」母が言う。

 

「はい」


 眼が母に集中する。

 

「私から離れていく・・・・」母は老衰で死を迎えた。

 

 

 しかし、私の人気は衰えない。

 

「あの女優さんの眼カワイイよね」

 

「寄り眼ってキュートよね」

 

「私もしようっと」

 

 

 日本中の女の子が寄り眼にするブームが起きた。1点集中でき運命の結婚相手を特定することも容易になった。世界中の女性たちがHAPPY!占いやマッチングアプリなんて、いらない!

 

 有名女優は嘆く。自分自身の幸は段々と遠のいているから。

 

「私、いつになったら幸せになるの?」

 

 自分の寄り眼が、ガチになる空気をよそに悲しみを隠し、幸福感一杯のドラマの演技に徹する。

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