第4話 茜色

茜色の朝日に向かって皆こぞって拝むが、くれない色の夕陽には、誰も拝んで

 

 朝日は朝焼けで祝杯をあげ、夕陽は夕焼けでやけ酒をくらう。

 

「わたしの娘はきれいな朝焼けをイメージして茜という名前にしたの」

 

「あらそう。私の娘は夕焼けをイメージして紅という名前にしたわ」

 

 

 

 夜明けまでどちらが切ないかとか美しいとか儚いとかの口論となる。

 

 

  

 朝焼けには、誰しもが涙くれる。

 

 しかし、夕焼けには誰も涙くれない。

 

 

 そして、陽がまた暮れる。同じ陽なのに。一番涙するのは太陽のような君だけ。

 

 輝いている人が一番泣いている。

 

 煌きとまたたきとがどちらが輝いているか嫉妬し合っている。

 

 

「わたしの息子は一番きらめいているから………」

 

「私の息子こそ瞬く間に数式を解くから………」

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