後輩2

「あれ、詩乃しの先輩? 何見てるんですか?」

「お、はるくん。見ての通りお花だよ! 朝からすんごい癒される〜」

「癒されるのはいいですけど、場所をもうちょっと考えましょうよ。ここ大通りの歩道ですよ?」

 そう、私は今大通りの端に座り込んで、咲いている野花を観察しているのである。

 なんという花だかは忘れてしまったが、この色合いが心の疲れを取ってくれるのだ。

「ほら、もういくよ。詩乃」

「おやおやはるくん、今の態度はなんだい」

「いやもういいじゃん。これでも彼氏なんだからね。わかってる?」

 お分かりだろうか。はるくんは私の彼氏である。こんな世話の焼ける彼女などいらなくならないのだろうか、と何度思ったことだろう。……一緒にいてくれて嬉しいから、そんなこと言わないけど。

「ごめんねはるくん。行こっか」

 彼に手を引かれるがままに学校へ向かう。


 校舎に着くと、必ずこう言われる。

「変な人について行っちゃダメだよ。あと僕以外の男のところに行ってもダメだからね」と。そして必ず聞き取れない言葉も着いてくる。


「──詩乃みたいな可愛い人が連れ去られないか心配すぎる」

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