16部隊と進軍

アカリさんがいるところまで戻る事が出来た。


「魔獣」の追撃はからの無かった。


「ど……どうしたんですか?」

今の俺の姿を心配したアカリが声をかける。


「くぁwsrfgtyふじこlp」


あいつらは相変わらず何考えているのか分からん。


俺は俺が見てきたことを全て告げた。


「そんな物が……ともかく、ご苦労様でした。しばらく休んでもいいですよ」


労いの言葉が俺に送られた。


しかし、そんなことをしている暇なんかない。


「隊長、俺はその必要はない。早速討伐作戦を練ろう」


「え?いいんですか?」


アカリさんから見たら、斥候任務を終えて、ヘトヘトであるはず。


しかし俺はオーバーワークには慣れている。


18時間労働なんてザラだったし……


「ああ。大丈夫。それより隊員達のスキルを全て教えてくれないか?」


まずは味方の戦力を知ることが第一だ。


「ええ……? でも……見てもほとんど役に立たないと思いますよ…?」


度肝を抜かれてしまった。


「それは……なぜなんだ?」

俺は真剣な表情になる。


「え……えと、何故ならいわゆる『元々ここにいた人』は強力なオリジナルスキルが使えないようなんです……。 オリジナルスキルが使えるのは私たちのように『異世界人』しか使えないらしくて……」


なにやら原住民は強い方でもスキル有でこっちから見たら常人に毛が生えた程度しかないという。

マジか。ほぼ終わりじゃん。


「因みに、この中でオリジナルスキルが使えるのは?」

最後の希望。


「あー……非常に言いづらいのですが……私とあなただけです……」


「主戦力2人だけ!? それでどうやってあの「魔獣」を倒せっていうんだ?」


俺の本気でせいぜい3割が限度だろう。

アカリさんを俺と同じと仮定すると、どう考えても力不足であろう。


「畜生! ならば……」


必死に考える。


打開策はないか。


その時、俺の頭の中で一筋の閃光が走る。いうならば、「閃き」ってやつだ。


「出来たぜ!最善の方法を!」


いまなら何だって出来る。


そういう確信がこみ上げる。


「よし、全員良く聞け! 今から作戦を発表する!」


その声は希望に満ち溢れているって確信が持てる。


「くぁwせdrftgyふじこlp! くぁwせdrftgyふじこlp!」

ムードぶち壊しやがって。


「静粛にぃ!」


喝をいれてやった。


「今回俺らが戦う相手は、「魔獣」ってやつだ。俺が勝手にそう呼んでる。はっきり言って必ず勝てる保証は無い。だが俺に任せてくれ。危なくなったら安全圏に逃げても構わない。もし死んでも骨くらいは拾ってやるからさ!」


きまった……緊張するなこれ。


そして俺の「魔獣」討伐作戦の内容を話した。


「という内容だ。分かっただろうな?」


皆は一斉に首を縦に振った。


「本当に大丈夫だろうな……」


俺らは進軍を開始した。


信用できない。

バカだからこそ、怖い。

何しでかすか分からない。


けれど、今は歩くしかない。


俺らは進軍を開始した。


心配なんて無い。

なにせこの俺が考えた作戦なんだもの。


と自分に言い聞かせているが、はっきり言って、不安であった。


自分の作戦に不備がある訳ではない。他の隊員達のよく分からない行動のことだ。


俺の作戦にどのくらい支障をきたすのか分かったもんじゃ無い。最悪犠牲者が出てしまうかもしれない。それだけは絶対に避けたい。


無知って1番怖いんだよな……


「そろそろ……あ、やっぱだ。 『バインド』」


突撃しようとする隊員をさっと捕らえる。


「あの野郎……『道中はノーダメで行きたいから勝手に行動するな』とあれほど言っておいたのに……」


極めて遺憾である。


「オリジナルスキル習得『粛正』」


何これ。


やべぇスキルを習得してしまった。


そうして、またお縄になった隊員を引き寄せた。


そうだ。もういっそのこと全員縛って置こう。

これなら勝手に行動はしないだろう。


「あらら……すみません。 また片付けさせてしまって……本当に……ダメな隊長ですね……」


アカリさんが自分を責める。


「いえ……。隊長に負担は出来るだけ掛けたくないので……。 それに隊長は攻撃の要なんですから。十分役に立っていますよ」


俺は精一杯フォローした。


「は……はい。確かにそうですが……」


否定しないのかよ。


猛烈に突っ込みたくなったが、グッと堪える。


「そういや、俺が来るまでこいつらどうしていたんですか?」


「あ……いえ……一人一人『お仕置き』してるんですけど……全く効果が無くて……『お仕置き』が足りないのかなぁ……」


あ、やばい。

この人、やばい奴だ。


急に鳥肌が立った。


俺は心の中で、決してアカリさんに楯突かないでいようと心掛けた。


「どうしたのですか? 顔青いですよ?」


「いやいやなんでもない!なんでもないからっ!」


変わった性癖の奴なら天国の豪華フルコースみたいだが、そんな感情が一切分からない俺にとっては、脅威でしかなかった。


そんな会話をしてたらそろそろあの「魔獣」のいる所の近くであると分かった。


とうとうあいつと戦う時がきたか。


「全員、止まって」


俺の中では緊張感が高まる。

まぁ、隊員達

あのバカども

はそう思っているとは微塵も考えられないな。


この辺りで……一応しておくか。


「そろそろ「魔獣」がいる所だ。しつこいと思うが、作戦の復習をする。」


俺は入り口でした説明をもう一度言う。


「いいですか、ここから油断は禁物です。いつ襲いかかられるか分かりません。」


アカリさんが場をまとめる。


それから数分後、俺はさっき「魔獣」と戦った覚えがある所にたどり着いた。


「確か……ここら辺に……っ!」


俺はあの時と同じの殺気を感じた。


「お出ましだせ。いいな⁉︎」


その数秒後、周りの木々が吹き飛ばされた。


来た。


そして、


グルァァァァァァアッ!


「魔獣」は雄叫びをあげる。


「さあ、行くぞ!」


作戦、開始だ。



「さあ、戦闘開始だ」


上手くいくといいんだが。


「まず手始めに……『落雷

ライニングストライク

』」


高圧の雷が沢山落ちて来る技。


勿論、「魔獣」に電気系の攻撃は効かない。


だから、「魔獣」の周りに雷を落とした。


こうすることで「魔獣」の動きを止めることが出来る。


「魔獣が……全く動かない……どうして……?」


アカリさんが不思議に思う。


「知ってますか? 脳は電気信号で体に司令を送っています。それに干渉して「魔獣」の筋肉に『動くな』と擬似的な命令を出しているんです。だから今の間に遠距離攻撃お願いします。」


これでアカリさんの火力に依存するけど戦いを有利に進めることが出来る……


そう思っていた時期が僕にもありました。


「わーわーいけいけー」

隊員が勝手に攻撃しようとする。


あーんの野郎……。


「バカ! そっちには……」


そのまま雷に突っ込む。


「あばばばばばばばばばばばばば」


隊員の断末魔(?)が響き渡る。


「全く……。あれほど言ってるのに……『バインド』ー」


だいぶ使い慣れたな〜この技〜


「あわわ……『クリアランス』……」


隊員達の状態異常とHPが回復する。


さらっとこんな難しいスキルを使えるとは……流石隊長だな。


そういや読者の皆には言っていなかったな。


この世界には、スキルを使うのにSP(精神力)を必要とする。強いスキルほど沢山のSPを必要とする。

やら昔、むっちゃ強い勇者的ポジションの奴が神龍みたいなやつにそういうの付けてって願ったから出来たらしい。


え?メタい?気にすんなこんなこと。


とにかく、安易な考えでスキルは連発出来ない。


まぁ、バインドは簡単だからな。


「よし、全回復出来たな」


「さて、本来の仕事をしなきゃ。『ランドマイン』!」


アカリさんがそう叫ぶと、「魔獣」の下の地面が爆発する。


ちなみに「ランドマイン」は日本語で地雷だ。


そして「魔獣」の身体が浮き上がる。


「母なる大剣

マザーズ・ソード


その瞬間、地面から剣が飛び出る。


それだけでも凄いのに、その剣が「魔獣」の膓を切り裂い

た。


上空で当たったため、血の雨が辺りに降り注ぐ。


そろそろ動かないと、主人公の面目が立たない。


え? またメタい?


気にすんなよ。禿げるぞ。


俺は「魔獣」が地面に激突する前にもう一撃。


「『シールドクラッシュ』」


VIT無視の無慈悲な一撃が「魔獣」を襲う。


これであと一回。


思ったよりアカリさんの火力えげつない事も分かったし……。


「これならなんとか…….」


ウガァァァアアアッッ!!!


そんな筈無いか……。めんどくさい。


「アカギさん……きますよ」


「ああ。分かってます」


第二段階ってやつか。


さぁ、戦いはまだ続く様だね。


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