日常の中の異常 その4

次の日も雨が降りお客様はカフェで勉強をしていた。

学校が始まりそろそろテストということでほとんどの授業は自習に変わる。テストの直前の土日はバイトは入れていない。結局勉強はしに行くんだけどね。

来週にテストが控えているため学校帰りにカフェに行き勉強をする。カフェは私の家と学校のちょうど中間の駅を降りて少し歩くとある。

カラン、と音を立てて店内にはいる。

「あれ?バイト入ってたっけ?」

オーナーに聞かれる。

『いえ、今週は入ってないんですけどテスト勉強させてもらおうかな、って。ダメでした?』

「ふふ、いいよ。」

そう言って奥のテーブルを使わせてくれた。

「今日は晴れたねぇ。」

そうオーナー、紫苑さんに声をかけられる。

バイトの時はオーナーと呼んでいるがプライベートでオーナーと呼ぶと仕事じゃないんだから!と少し怒られるため名前で呼ぶ。オーナーは神楽 紫苑(カグラ シオン)さんといって年齢不詳のイケおじである。

「今日は分からないところある?」

『いえ、まだ。』

今日はアイスティを注文すると私の好きなグレープフルーツティーを作ってくれた。ガムシロップを1つ入れて、カラカラとストローを回す。課題をやりながら分からないところをまずは教科書で調べる。それでも分からなかったら紫苑さんに聞く。

今日はお客様、来ないんだなぁと思いながら課題を進めていく。

「根詰めすぎは良くないよ?休憩する?」

そう言って今日はいちごタルトを出してくれた。タルトを食べて休憩がてら外を見る。まだまだみんな遊んでいる人もいる。ギリギリの赤点ラインを攻めたりする人もいる。ただでさえ髪の色とか目の色で目を付けられているので成績は落とせない。

1時間ほど休憩してからまた勉強再開だ。もう一度グレープフルーツティーを注文して勉強に集中する。

「あ、そこ間違ってるよ。」

ティーを持ってきてくれた紫苑さんが指さして教えてくれる。

『え、どれですか?』

「ここ、ここ。これ、引っ掛けだよ。本当はこっちの公式使うの。」

そう言って教えてくれる。所々教えてもらいながら閉店まで居た。今日はお客さんが何人かいて勉強頑張れ、と応援してくれた。

閉店なのでお会計を済まそうとすると毎回要らないと言われてしまう。ほんと、紫苑さん、何者なんだろう。

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