日常の中の異常 その2

学校が終わるとクラスメイト達は部活やら遊びに行くやらするが私はバイトに行く。誰からも誘われないしね。どーせ。

カランコロン

そう音が鳴ってお店の中に入る。

『おはようございます。』

そういうと中からおはよう、と返ってくる。

私のバイト先は隠れ家なカフェだ。なんでも、オーナーの趣味なんだとか。いい趣味してんな。

『オーナー、最近雨ばっかですね。』

着替えてエプロンをしてお客さんが来ないのでオーナーと世間話をしているとカラン、と音が鳴った。

『いらっしゃいませ。』

「1人なんですけどいいですか?」

そう、少し申し訳なさそうに言ってくるお客さん。

『いいですよ。今はどこの席でもあいてますがどうされます?』

そういうとカウンターでもいいですか?と聞かれた。もちろん、と言ってメニューを渡す。

少ししてコーヒーを注文して下さり、入れて渡す。お客様は本を開き読み出した。

「最近、雨ばっかですね。」

そうお客様から声をかけられた。

『えぇ。大変ですよね。』

そう返すと

「お姉さんは雨、嫌いですか?」

『そうですねぇ、嫌いじゃないですよ?』

「なぜです?」

本から目を上げてコーヒーを飲みながら目線をこちらに向けてくる。

『私、普段は自転車で最寄りまで行くんですけど雨の日って歩いていくんです。なんかワクワクするって言うかなんて言うか…。』

そう言うとお客様はそうですか、と言いまた読書を再開した。なんだったんだろう。

その日、お客様はコーヒーが無くなると頼んでを繰り返し結局閉店まで居た。

『お疲れ様です』

そう言ってお店を出るとまだ雨が降っていた。しとしとと降る雨。1番近い駅まで歩いていく。また朝のように読書をして最寄り駅を目指す。

駅で降り、朝は下り帰りは上りの坂を歩いていく。確かまだ食材は残っているはず、と買い物をせずに帰路に着く。あ、ここの花咲いたんだ、とかあ、ここのお店定休日今日なんだ、とか色んな発見をして誰もいない寂しい自宅に帰る。

ただいま、と口にして家に入る。お弁当箱を水につけて先にお風呂に入る。洗濯物を回してる間にご飯をテキトーに作って食べる。洗濯は所謂サンルームのような所へ干す。雨が入ってこないし日は当たるのでちょっと便利。私の住んでいるマンションはなかなか住み心地のいい場所だ。今日の授業と明日の授業の予習復習、課題をやってから寝る。何ら変哲のない私の日常だ。

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