昼休み

「キーンコーンカーンコーン」

昼休みの始めのチャイムだけなぜか毎回副校長が口でいう

たまに副校長が歌う日もある

いつものように俺は屋上に向かおうとコンビニのレジ袋を持って席を立とうとすると

「晴樹!今日は一緒に食べよ!」

毎回雪乃が一緒に食べようと声をかけて俺の答えを聞かず勝手についてくる

「今日『は』じゃなくて今日『も』だろうが」

「私とずっと一緒に食べたいの?やだープロポーズはまだ早いってー」

今日もこいつはいつも通り自分の勘違い妄想ワールドに入っている

「晴樹、今日も屋上だろ?付き合うぜ」

拓哉はなんだかんだ中学からずっと一緒に昼飯を食べてる

まあ親友だし当然っちゃ当然か

「その当然ができることに俺らは神様に感謝しないとな」

「ナチュラルに人の心読むなよ」


《屋上》

夏の炎天下で汗が額にじんわりと滲む

「ほんと誰もいないよなここ」

「みんないすやテーブルを使いたいんだろう。屋上にはそれがないからな」

そういいながら弁当箱をあける

「お、今日はえびふりゃーか」

「拓哉、方言」

「ああ。すまん」

拓哉は小さい頃から愛知で育ってきたらしくたまに方言が出る

それが恥ずかしいのか普段はあまり出したがらない

俺も聞いたことがあるのは二人だけのときだ

「俺は別に構わないんだがよ、俺以外誰もいないからって気抜きすぎだぞ」

「そうだな。気をつけなきゃな」

「俺は別に愛知出身なの知られたところで悪いことはないと思うんだけどなぁ」

拓哉はふわっふわの卵焼きを一口で頬張っている。

「俺のコンプレックスだ。そこには触れないでくれ」

「了解」

弁当の端っこに鎮座しているべったら漬けを取りながら

「そういやお前県大会いつやっけ?」

「来月」

えびフライがそんなにおいしいのかいつもより笑顔だ

タタタタと足音が聞こえる

次の瞬間バン!と音を出しドアが開く

「ハル!」

汗を流した雪乃が息を上げている

何かあったのだろうか

「どした?」

急げと言わんばかりに

「晴香ちゃんが!とりあえず保健室来て!」

その言葉を聞き終わる前に体が動いていた

晴香!!!

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