AM9:30 D国軍事基地
ホテルから車で移動して一時間程度、彼女達の目的地があった。D国軍事基地…今回の取引相手だ。入口を見れば一人の男が立っており、クレア達を見ると帽子を持って手を振っていた。
「やあ、大尉。調子はどうだい?」
「以前変わりなくです。遠路はるばるご苦労様です」
「出迎えご苦労、大尉。頼むよ」
「えぇ。では、中へ。案内しましょう」
大尉を先頭に、その後ろにクレアと使用人が施設に入った。
──────────────────────────────────────
施設の通路は横に5人程度並ぶ事が出来る位広かった。3人が横で並んで話をしていても、他の通行人も迷惑がらずに通り過ぎた。しかし、子供がこの施設に居て、自分達と同じ通路を歩いている事には驚いていた。
「やっぱり驚きますよね。貴女のような若い人がここに居るのは」
「フフ、だねぇ。しかも今回は特殊部隊が試験運用する為の商品を売り込む為だからねぇ。捕まらないだけマシさ」
「ハハハ、冗談を。……そうそう、確か今回の商品は対オーヴァード用装備一式でしたな。なるほど、貴女が運びそうな代物だ」
大尉は朗らかに笑いながら、武器商人を視界に置きつつ進む。自分と歩いている人間が、自分達が対処しなければならない
「まぁね。色んな国で起こりうる問題だからねぇ、レネゲイド事件は。特にこの国はFHによるテロが酷いじゃないか。だから
「そういう言葉は上層部に言って頂けると…さて、この部屋です」
部屋へ着くと白髪が混じった中年の男が会釈しながら出迎えた。小太りだが、見え方によっては逞しくも見えた。最も、胸に掛けてある、戦利品と称した過剰な装飾が無ければだが。
「やぁ、
「えぇ、よろしくお願いします。大佐。早速ですが────」
相手がどんな相手でも───例えFHでも───冷静に、冷徹に商談を進める。それが、クレア・ランカスターという人間だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます