第29話 「666」

ぼくは意を決して友人に告げる。

 

「とてつもなく恐ろしい、史上最悪の数字の配列を発見した」と。

 

 友は「いったい、それは何だ」と真顔で尋ねる。

 

「1000000000000066600000000000001」

 

 

「あっ、それなら知ってる」

 

 友は軽くリアクションし、重い言葉を発する。

 

「それって、ベルフェゴール素数だろ。俺ら悪魔の中じゃ常識さ」

 

「俺らって、ぼくも悪魔!?」

 

 

 ぼくは悪魔だったことを真摯に受けとめる。

 

「じゃ行くぞ」

 

「どこへ」

 

「宣告さ」

 

「何を宣告するの?」

 

「まあ ついて来いよ」

 

 彼は薄いみどり色の公衆電話BOXに入り、おもむろに受話器を取る。ダイヤルを回している。

 

「えーと 03の1の次0が13回、666の次また13回、よいしょ 1 最後にどっこいしょ 03 ああ ダイヤル回すの面倒くさいなぁ えっへん あー あー ワンツー宣告します!」

 

「だれに宣告したの?」

 

「お前の一番嫌ってるやつに決まってるだろう」


 パンチ OUT!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る