トンボ


 芝生に作り上げられた時計塔は

 歯車に緑の匂いと トンボの羽を

  挟んでいる

 動く長針が下を向くたび、

 粉になったトンボの羽が

 きらきらと落ちている

 乾燥した空気がよく音を響かせて

 トンボの羽は

 自動車のガスと混ざると黒くなった

 思い出せない習性の

 どう飛んだのか 

 それを忘れて

 羽が消えた

 。

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