第一章 魔術に必要なもの
魔術を学ぶにあたって
そもそも魔術とは何だろうか?
この世界には魔術、そして魔法が存在する。勿論全くの別物だ。決して呼び方が違うだけで、内容が一緒というわけではない。
では、魔術と魔法の違いとは何だろうか?
引き延ばしにするのも何なので、結論から述べよう。
魔術は体内のマナを使って構築する術。
魔法は体外のマナを使って構築する術。
そう、この二つの違いは体内か体外かという差だ。
魔術は体内のマナを使用する事で、使用した際に感知され難い。また、陣を書かなくても使用出来るというメリットがある。逆に、体内のマナが無くなれば、魔術を使う事は出来ないし、詠唱式を覚えなければ使えないデメリットもある。
魔法は体外のマナを使用するので、ほぼ無限に使う事が出来る。勿論、枯草の大地と言った天然物のマナが存在しない所では、魔法が使用出来ない。そして魔法は多くの場合魔法陣を書かなければ使えないという点も、魔術とは大きく異なる。
本書は魔術の参考書なので、今回は魔法についてはこれぐらいにしておこう。
さて、魔術と魔法の違いを分かってくれた所で、魔術とは一体何か。その根元について簡単に話しておこう。
魔術とは人類に大きな進歩を促すための道具である。
これは私が魔術を世に流した際に言ったことだ。ちょっと恥ずかしかったりするのだが、決して間違ってはないので、そのくらいの羞恥は我慢する事にしよう。
人に出来る事というのは限られている。歩く、話す、走る、掘る、取る……こう文字に起こしてみれば多いなんて思うが、いざ目の前にしてみると、人間は大した事のない生物だ。
そこで道具というものを、先人達は作り出した。土を掘りたいのであればシャベルを。果実を収穫したければ鋏を。まだまだ沢山あるが、それら全ては人類の発展及び効率化の下に作られたものだ。
だが、シャベルも鋏も、私にとっては進歩の途中だと感じた。そうだろう?だってシャベルはいずれ折れてしまうし、運ぶのにも重かったりする。鋏だって刃毀れしたり、壊れる事もある。
魔術という道具は決して壊れる事のない、言わば最強の道具であると私は自信を持って言える。土も掘れるし収穫なんてお手の物。火も起こせるし、水も生み出せる。
素晴らしい道具であるからこそ、私は皆にも使って欲しい。是非勉強をして楽して欲しいと思い、こうして出版社に怒られながら筆を取っているのだ。
さて、次のページでは遂に魔術の使い方について少しずつ書いていこうと思う。
ただ、魔術の使い方と言ってもいきなり魔術理論の解説をする訳ではない。
魔術は先程記載した通り、体内のマナを使って構築する術だ。生まれながらにして大量のマナを保持する子もたまに居るが、基本的に人間の体内にはマナは多くは存在しない。その状態で魔術を使用すれば命に関わる。勿論安全に考慮したパターン化魔術は安心して使用して欲しい。
そこで体内にマナを貯める方法を、私が初めてマナを見つけた時の経験を踏まえて、伝えていこうと思う。読者のみんなは紙とペンを用意して臨んで欲しい。スケッチとかもして貰うからね。
スライムでも分かる魔術入門書 玄武 水滉 @kurotakemikou112
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