第2話

4月後半土曜日ついに待ちに待ったこの日がやってきた。



そう"握手会"である。



僕、上地涼はアイドルグループ S.I.Pのオタクである。S.I.Pとは Super Idol Projectの略である。7人のメンバー構成で人気はそこそこである。その中でもぼくは雨音史帆というメンバーのオタクである。グループはもちろん好きだけど推すならこの人好きなのはこの人という典型的な〇〇しか勝たんという面倒くさいオタクであると自重している。


定期的にはあるとはいえ「推しは推せるときに推せ」という誰かが残した言葉のようにぼくはいま全力で推しメンを推せていると思う。


さぁこんなことを考えているうちに午前10時に並んだ待機列もうすぐで開始時間の12時になり握手会が開始されようとしている。人は多いがまぁこんなものだろう…… とにかく暑い!


「準備が整ったところから始めてください」



会場内にアナウンスが入り握手会が開始した。握手会とはCD一枚につき一回握手ができるため6枚CDを買ったぼくは今日6回握手ができる。すべて史帆ちゃん行きなのですが……



僕より前に並んでいる人がどんどん握手を終えてもうすぐ僕の番である。この瞬間は人生で一番吐きそうな瞬間と言っても過言ではないのだが、隙間から見える推しメンを見た瞬間そんなことは忘れてしまう。


「お時間でーす 次の方ー」

綺麗な茶色の髪、真っ白な白い肌ぱっちりとした目そしてモデルのような体系の女の子が見えた。推しメン今日も最強にかわいい


さぁ僕の番だ


あらかじめ話そうとと決めていたことを頭に浮かべ握手をしようと手を出そうとした瞬間だった


「あ〜! りょーくんじゃん!!久しぶり〜今日もイケメンさんだね〜」



「…… えぇ!!!いきなりすぎるよ!!!」

こんなこと言われると思ってなくて戸惑ってしまったそれはずるいって……


「ごめんごめんw 今日もたくさん来てね!」


「ほんとにw じゃあまた来るね」

なんていう会話をして1度目の握手を終えた。可愛いぞ、可愛すぎるぞ推しメンいきなりずるいじゃないか!これが中毒になってしまう理由である。曲が好きなのはもちろんなのがこういう接触イベントはなんともたまらんのでやめられないのである。現にいま顔がニヤけすぎて見てはいないが自分の顔が気持ち悪いことになっているのがわかる。さてループするか


「あのすいません」


「はい なにか」

唐突に肩を叩かれて振り返る


「上地くんだよね?」





なぜこの現場で僕のことを知っているんだ






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隠れアイドルオタクな僕が同級生のひよっこアイドルを全力で推す @sobalov

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