第9話 別人のようなオッサンにビビる

「どーしたんすか、その恰好」


 オッサンがスーツを着ていた。

 髪もセットして、無精ひげも剃っていた。

 いつものだらしない姿とはまるで別人である。


「あー、ちょっとなー。呼び出されたんで会議行ってくるわー」

「会議!?」

「すぐ終わると思うから、お前はいつも通りやっとけー」

「あっはい」

「ガラケーだけはちゃんと持っとけよー」

「了解っす」

「じゃあなー」


 オッサンはかったるそうな足取りでプレハブ小屋を出て行った。


「……」


 このプレハブにひとり、って新鮮つーか、なんか嫌だな。

 オッサンはずっとひとりでここにいるんだよな、と思ったが、


「いや、前に誰かいたんだっけか……」


 そいつも何かやらかしてこの部署に来たんだろうか。

 じゃあ、あのオッサンは? なんでこの部署にずっといるんだ……?

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