第8話 同期にフル無視される

 出社時間は自由でいい、と言われても俺はまだ定時に出社していた。

 だから、朝のエレベーターに乗り込むと、同期と鉢合わせることもある。


 混雑するエレベーターの中で、連中は来月の新入社員研修の話をしていた。

 俺にはそんな通知着ていないが。


「なあ」


 と、俺が声を掛けると連中は会話を打ち切って黙り込んだ。

 気まずい沈黙が流れ、周囲の視線が俺に突き刺さった。


「……」


 エレベーターが止まる度、誰かが下りる。やがて同期の連中も自分のフロアで降りた。最上階行きは俺だけだった。 


 精々頑張って業務に励んでくれ。

 俺は悠々自適な屋上ライフだ。くそっ。

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