第3話 待つのが仕事

 プレハブ小屋の中は思ったより広かったが、雑然としていた。

 スチール棚とロッカーが隙間なく壁を埋めている。

 デカいソファ以外には古びたオフィスチェアが一脚。


「この部署って何をする部署なんですか?」

「のんびりしてろー」

「はあ」

「待つのが仕事だ。待つのが」


 オッサンは寝っ転がったまま雑誌を読んでいた。ビジネス雑誌ではなく漫画だった。



「何を待つんすか?」

「ロッカーはロッカーは空いてるとこ使っていいぞ。一番右は俺のだから触るなよー」


 俺の質問は無視されていた。

 答えろよ、と思いながらロッカーを開けると、


「なんか荷物残ってますけど」

「あー、前いたやつのだなー。荷物置いたままやめたからなー」


 俺の前にも誰か居たのかこの部署。


「まあ、適当に片付けてくれー。ただし俺のロッカーには」

「触らないっす」

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